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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
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70話

新撰組の詰所があった場所は今では観光名所となっていた。

亡くなった隊士を祀る墓もあり、伊東くんのテンションも上がっ

ていた。


「あぁ〜やっぱりいいよな〜!」

「昔の事が見れるのはいいね」

「でしょ!やっぱり荒川くんなら分かってくれると思っていたよ!」

「う…うん、そうだね」

「じゃー今度は〜」


パンフレットを眺めながら考えると、亮太からストップがかかった。


「二人とも食事にしませんか?そろそろいい時間でしょ?」

「あ、そうだった。この近くの茶そばが食べたくてさ〜」

「茶そば!いいね、僕も食べてみたいかも」

「なら、ここですね。有名店らしいですよ」


すぐに地図を指す亮太にぱぁっと喜ぶ二人はすぐに店に向かった。

地元では食べられない味に舌鼓を打つと、次の目的地を探す。


「えーっと、ここからバスでこっちか…」

「こっちでも行けるけど…そっちのが良さそうだね…」

「ちょっと先に行っててくれますか?目的地はここですね。じゃ〜

 先に出ますね」

「亮太?」

「何かあったのかな?雅くんが荒川くんのそばを離れるくらいだか

 ら何かあったんでしょうね…僕らはそのまま行こうか」

「う…うん、そうだね」


さっきから何か視線を感じると思った亮太は一旦、別行動を取る事

にしたのだった。

女子達はさっき巻いたはずだ。

となれば、もう一つの可能性は……


前にもあった事なので、今回もないとは限らない。

静雅の身に何かあれば、約束どころではない。

その前に命がけになる。

まだ、大事なところには指一本触れていないのに、こんなところで終

わるわけにはいかない。


離れていくと、視線も消えた。

路地一本離れただけで、あの粘着質な視線が無くなったのだ。


明らかに見られていたのは自分じゃない。

となると、狙いは………


スマホを取りだすと、組員に連絡を入れる。


「今から嵐山へ行ってそのあと太秦へ向かう。手出しできないように

 見張を強化してください」

「…」


連絡を入れ終わるとなにくわぬ顔で戻ろうとした。


「すいませーん。ちょっといいですか?」

「なんですか。俺、地元の人間じゃないんで…」

「いえ、私達観光で来ていて〜一緒に回りませんんか?」

「結構です。俺、可愛い子待たせてるんで…」

「そうですか…残念、その子も一緒に……」


スッと鞄から出てきたものを叩き落とす。

二人組の女性だったが、立ち方が見るからに怪しかった。

ぺったんこの靴といい、明らかに観光と言いながらおしゃれは上だけ

とは今どきの女性にしてはおかしかったのだ。


ナイフが路上に落ちると、周りの視線が集まる。

即座にスプレーを出すと、二人は走り出す。


逃してたまるか!


落ちたナイフを拾い上げると即座に投げた。

投擲は得意な方だ。

いくら他に人がいても、当てられる自信があった。


女の足にヒットすると、近くの組員が近づく。


「大丈夫ですか?こちらで手当てしましょうね」


そういうと逃げられないように掴むと車へと押し込む。

もう一人には逃げられたが、一人から事情を聞けばいい。


まずは一匹、だがあの視線の相手ではない。

亮太は二人を遠くから眺めながら後を追うように追いかけたのだった。

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