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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
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66話

風呂に入ってキスして…それから。


亮太の手が身体中を弄るように触って来て…


身体が…熱い……


自分でも信じられない場所が大きく膨らんでいる。

相手は男だぞ?あの亮太なんだぞ!


自分で言い聞かせるが身体はいう事を聞かない。

まるで自分じゃないような感覚が全身を包む。

手が勝手に自慰を促し、今も腰からお尻にかけて触られている感覚

があった。


なんで?ちょっと、やめてよ……


唇を吸われ舌を絡め。

何度も口の中を何か別の生き物が這いずり回っている感覚がする。

ざらざらしたものが何度も中を暴れる。


気持ち悪い?いや、違う……ただ口の中を暴れるモノに期待してし

まっているのだ。

もっとして欲しいと…


徐々に身体も全身がビクビクと震え出す。


やだっ……こんなのおかしいよ……どうして?


『卒業したら貴方を犯していいですか?静雅くんの全部を俺にくだ

 さい。貴方を抱きたいんですよ…』


耳に響く低音ボイスにハッと目が覚めた。

額に乗せられた冷たいタオルに意識がいく。


「起きましたか?」

「あれ?………ここは……」

「静雅坊ちゃんの部屋です。風呂場で倒れたので運んできました」

「あぁ………そっか……あ…りがと……」

「いいえ。すいません、まさかキスだけであんなになるとは……本気

 のキスは刺激が強すぎましたか?」

「なっ……!」

「冗談ですよ、そろそろ食事ですが起きてこれますか?」

「うん…いく…」


いつものは子供のキスだったのだろう。

あんな獰猛な……いや、食われるかと思うようなキスは初めてだった。

それが亮太の本気なのだろう。

経験もない自分とは違いすぎて何も言えなかったのだった。


食事を終えると縁側に来る。

庭の紅葉も色づき始めていた。


もうすぐ修学旅行だ。ちょうど紅葉にはいい時期かもしれない。

旅行は静雅にとってワクワクするのと、ちょっぴり寂しがり気分に

させるのだった。


両親が死んだ日も旅行帰りだった。

楽しい思い出のはずが、悲劇になってしまった。


本当ならあの日に家族と一緒に死んでいたはずだった。

だが、偶然車が崖から落ちた時に外に放り出されたおかげで命は助

かった。


あの時に曖昧だった記憶も、今ははっきりと思い出せる。


「絶対に潰してやる……」


ヤクザなんかみんな居なくなってしまえばいい。

そう思い続けているのも事実だった。


祖父はヤクザだ。

そして自分も今、その祖父の世話になっている。


それでも、許せないのだ。

自分から幸せだった時間を奪った奴らも、一般市民を苦しめるよう

な奴も。


だからいつか全部潰してしまいたいとさえ思っている。

ヤクザなんて無くなって終えばいいんだ。


亮太を見ていると感じる事がある。

今見えている顔と、実際の彼の顔はどうなのだろう。

きっと裏の顔があるのだろう。

静雅も知らないような、彼の本心が…

そう思うと怖く感じる。


彼が望むのならそうしよう。

自分さえも好きに与えてやればいい。


目的さえ達成できるのならどんな犠牲も厭わない。

自分の身体でなんでも言う事を聞くと言うのならくれてやる。


どんな事でも、やってやる。

そう決めたはずだった。


でも、気持ちは少し違っていた。

自分にいつも優しく接してくれるし、飽きもせずに組長の孫だからと

相手をしてくれる亮太に惚れつつあるのを自覚し始めてしまった。


「はぁ〜、これじゃダメだな……」


いつか亮太も捨てるつもりだ。

だからよけいな情はいらない。

要らないはずなのに……捨てきれない。


「僕は…バカだな……」


少し寒くなって来たのかブルッと身体を震わせると部屋に戻ろうと振り

向くと、上着を持って来た亮太と目があった。


「寒いでしょ?ここにいるなら着てください」

「要らない……」

「それでもです」


ふわっとかけると、肩から暖かさが伝わってくる。


「あったかい……」

「でしょ?ほら、部屋に戻りますか?それとも…」

「戻るからいい…」


少しぶっきらぼうだったが、上着を羽織ったまま部屋に戻った。

こんな事されたら…余計に抜け出せないじゃないか……


静雅は自分自身をぎゅっと抱きしめるように強く抱いたのだった。

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