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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
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64話

体育祭が無事終わると、季節も次第に寒くなっていく。

紅葉も色づき始めると修学旅行の時期となった。


公立高校の修学旅行は京都観光になっていた。

遺跡名所が多く、神社仏閣も多い。


見どころが満載なのだ。


「グループどうする?」

「そうだな〜、二人ってわけにはいかないからな〜」

「俺のこと忘れてませんか?」

「女子と行けばいいだろ?」

「嫌です、俺も入れてください」

「まぁ、最低3人からでもいいようですから、そうしますか!」


伊東くんがまとめてくれると、早速グループの紙を出しに行った。

まだギクシャクしたままだったが、前よりは少し良くなった気がする。


うらやましそうに眺めてくる女子には視線を向けずいく場所を考え

ていく。


「やっぱり定番と言えば清水寺だよねー」

「確かに行った事ないからどこでも楽しみかも…」

「そういえば、そうだったね…そうだ新撰組の壬生寺が京都にあるん

 ですよ。池田屋騒動で亡くなった隊士や近藤勇の遺髪などもあって

 ですね〜」

「それってこの前貸してくれた漫画の?」

「そうそう、本当にいた人物を使ってるんで面白かったでしょ?」

「うん、漫画で見るとわかりやすいよね!僕も行ってみたい」


伊東くんの趣味ではあったが静雅も興味を持った様子だった。


もちろんいく場所には先回りして組員を向かわせておく。

臨海学校の時のような失態は犯せない。


「雅くんは行きたい場所とかはないの?」

「俺はどこでもいいですよ。二人で決めてください」

「…気にしなくていいよ、勝手にくるだけだし…」

「荒川くん…まぁそう言うなら勝手に決めますよ?」


伊東くんがはいつも意見を聞いてはくれるが雅はたって行きたいと

ころなどなかった。


「そうそう、縁結びの神社も多いんですよ?次の日までに渡すと

 両思いになれる御守りだとか…」

「なんか女子受けしそう…だね…」

「まぁ、それが狙いでしょうね!そもそも買って次の日っていう

 のがネックなんですよ!すぐに渡せるような相手ならほぼ、両

 思いに近い距離にはいるって事ですからね」

「あぁ…そっか…」


伊東くんは色々と知っている。

成績だけなら静雅のが良くても、人としてはあまり成熟していない。


「伊東くんってやっぱりすごいな〜」

「あまり褒めないでください。すごく恥ずかしいじゃん〜」

「そんな事ないよ…僕は何一つできないから…」

「そんな事はないよ。臨海学校の時に起点を聞かせてくれたじゃな

 いか!あれはちゃんと食べれたし、助かったよ」

「それは…施設ではあるもので何かしないと食べる事さえ……」

「…そっか…」


少し考えれば分かる事だが、静雅はいつも誰かの世話をしながら育

ってきたのだ。

それは自分の為とか自分がこうしたいと思う事を全部諦めることで

もあったのだった。


「そう言えば最近バイト減ったの?」

「あぁ、それなんだけど……申し訳ないんだけど、荒川くんのお爺

 さんのおかげなんだ」

「おじいちゃんの?」


きょとんとした顔をすると、雅が後ろから来て付け加えた。


「伊東くんのお父さんが亡くなられたのもうちの組員とのいざこざ

 の時ですし、それに静雅くんの父君の友人でもあったんですよ。

 ですから、学費はうちが出すと言ってくださったんです」

「そうだったんだ。よかったね」

「それでいいの?荒川くんからしたら財産が減っちゃうんだよ?」

「いいよ、僕が何かしたわけでもないし、そう言う使い道なら大歓迎

 だよ」


組員が回収してくるお金がどういう使い道で流れていくのかは静雅は

知らない。

だからこそ、友人の学費になっているのなら、それは健全な事だと思

えたのだった。




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