6話
石田健大が思いっきり拳を出した瞬間、割り入ってきた者に
よって地面へと叩きつけられていたのだった。
「別によかったのに…」
「よくないですって、怪我でもしたら俺が怒られるんですから」
「はいはい、分かったよ」
「分かってるなら勝手な行動は控えてください」
「気をつけるよ」
呑気に言うとその場を離れる。後ろから何か罵声が聞こえるが
無視した。
静雅だって護身術くらいはちゃんと学んでいる。
亮太ほどではないにしろ弱いままではないのだ。
中学生の時に誘拐未遂があって以来、用心はしている。
が、たまに今のようにフラッといなくなることがあるのだ。
だからこそ、亮太は静雅を見失わないようにと側にいる。
それも、過保護というくらいに目の届く所にいるようにして
いるのだ。
それでも、今回のように見失う時もある。
亮太が見つけた時は殴りかかられそうになっていて、正直焦
っていた。
手加減なんて考えもしなかった。
地面に叩きつけるとその場を離れた。
実際、地面にへばったままの健大が起き上がったのはそれか
ら数分が経った後だった。
腰がジンジンと響いて起き上がれなかった。
それも人の来ない場所だったせいか誰からも見つけられる事
もなかった。
怒りを露わにすると一年生の中から見知った静雅を見つける
と毎回うざ絡みをするようになる。
教室に戻った静雅達に待っていたのは先生のお小言だった。
「あの…トイレに行くって言ったんですけど…」
「トイレにしては長すぎるでしょ?」
「それは……」
職員室での説教は静雅と亮太の2名だった。
他のクラスの先生方もそれ見ながら笑っている。
入学早々、非常に恥ずかしい。
それも壇上でスピーチをして、そのあと職員室で説教などあり
得ない事だった。
他の生徒達はもう帰ってしまっただろう。
また二人っきりの学校生活が始まると思うと憂鬱だった。
「なんで来たんだよ…」
「それはもちろん、坊ちゃ…静雅くんの為だよ」
「一人でも大丈夫だっ!」
「そうですか?相手は体格も良かったし、もしもって事がある
かもしれないでしょ?」
「うぅっ…」
亮太は護身術を学んびたいと言った時一緒に教えを乞うた。
だから静雅の実力はよく知っているはずだった。
何度も静雅を投げ飛ばしたのも、相手役として身長の近い亮太
とよく組み手をした。
が、一度だって勝てたためしはない。
そのせいか、余計に過保護になっているのかもしれない。
帰り際に校門のあたりでさっきの女子を見かけた。
「さっきの…」
「あの…さっきはありがとうございました。ちゃんとお礼が言い
たくて…もし良かったら連絡交換して貰っても…」
言いかけた言葉を遮るように亮太が前に出る。
「悪いんだけど…俺の番号でいい?」
「え…あっ………はい」
普通の容姿の静雅に比べればいきなりのイケメンの乱入に戸惑う
だろう。
そして戸惑いながらもちゃっかり番号を交換していた。
「おっけ、何かあったら連絡してよっ!」
「はい…/////」
助けたのは俺だけどなっ!
そう思いながら亮太を睨むと、にっこりと微笑みながら静雅を見
てくる。
こうして静雅の窓口役で、友人の選別も兼ねる有能護衛亮太によ
って静雅の人間関係は形成されていくのであった。
友人?
そんなものは誰もいねーよ!ちくしょう……




