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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
51/107

50話

それから、普通に学校へと通うようになった。


身体はまだ辛いが、亮太が側で支えてくれるおかげで、普通の

生活には支障はない。


しかしこの前、名護咲夜が言っていた言葉が気になってはいた。

雅が話したと言っていた事だ。

雅亮太という人物は、そう簡単に人の秘密を話すような人物で

はない。

ましてや、静雅との話など誰かに話すだろうか?


『3年後には貴方の身体をもらいますから』


あの言葉はそのままの意味だろう。

男に抱かれる?

3年後には亮太のものになる。そういう約束だった。

その代わり、岩井組を潰すと約束した。


それは荒川組を潰すかもしれない選択をするかもしれないと言

っているようなものだった。


だからこそ、誰にも話せないのだ。

二人だけの秘密だった。


もちろん、身体を好きにさせるなんて誰にでも言える言葉じゃ

ない。

元々静雅はゲイというわけではない。


男を好きであるわけはない。

が、復讐ができるのなら、自分の身体くらいは差し出しても構

わない。

そういう覚悟を持って決断したのだ。


亮太のお咎めをなしにする為に命を差し出す覚悟をした。

あれは静雅の精一杯の抗議であって、覚悟だった。


これで生き残ったら…復讐をする覚悟を決める…と。

それに誰を巻き込んでもいい、復讐を果たせればそれでよかっ

たのだ。


「亮太…ありがとう」

「何を言っているんですか、ほら、荷物持ちますから」

「うん…」


もう、危ない真似はしない。

隙なんか見せない。


どこにいくにも亮太を誘ったし、亮太もそれに従った。


「なんかさ〜、臨海学校の時、荒川くん、気分悪くて病院運ばれ

 たって本当だったの?」

「うん…暫く入院しててやっとでてこれたんだ…」

「大変だったね…、今は大丈夫なの?」

「完全には完治してないけど、一応はね」


伊東くんに心配されると申し訳ない気持ちになる。


まさか自分で刺した傷で入院していたなどとはいえないので、な

んとか誤魔化したのだった。

過保護過ぎる亮太の看護は学校でも変わらなかった。


「俺のせいで怪我をさせたので…」


その言葉で女子からの誘いも全部断った。

前まではわざとイチャイチャしていたくせに…


あの約束をしてから亮太の態度が一変した気がする。


一緒に風呂に入る時や、それ以外でも身体に触れてくる事が多く

なった気がする。


最初は気のせいかとも思ったが、そうでもないらしい。

これは、まずい事を約束してしまったかもしれない。

3年後、卒業してからが怖くなってくる。


亮太と一緒にいるのはいつもの事だが、亮太のものになる。

その意味をしっかり考えさせられている気がした。


「なんだか最近の雅くん、女子に冷たくなったよね?」

「えっ!…そ、そうかな…」

「そうだよ。いつも以上に荒川くんにべったりだし…なんかまる

 で恋人みたいだって思えてきちゃうんだよね…」

「ひぇっ!そ、そんな事あるわけねーよ!だって男同士だし…」

「荒川くん、その考えは古いよ。波戸崎くんのようにゲイをカミ

 ングアウトしている人もいるくらいなんだし…って、あれ?そう

 いえばあの後から見なくなったよね?やっぱり何かあったの?連

 れて行かれたでしょ?」


いきなり口を塞がれると、真上から影が落ちた。


「そういう事は誰にでも話していいことではないですよ。あいつが

 薄汚い手で静雅くんを触ったと思うと虫唾が走るんですから」


そういうと、抱きしめるように自分の腕の中に大事にするように抱

えた。


「おいっ…」

「やっぱり、雅くんは荒川くんの事好きなの?」

「当たり前です。この命より大事な人ですよ」

「なっ……何を言い出すんだっ!」

「いいな〜、大事にされてるんだね!荒川くんも素直になった方が

 いいよ。」

「素直って……」

「あ、お昼終わりだ、さぁ〜戻ろっか」


伊東くんは物分かりが良過ぎる。

それではまるで亮太と付き合っているようではないか。

確かに3年後には亮太のモノになるとは言ったが、今ではない。


「どうしました?辛いなら、抱っこしましょうか?」

「しなくていい!」


ムスッとすると階段を降りていくのだった。

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