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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
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42話

波戸崎と絡み合うようにお互い一歩も譲らなかった。


殴る蹴るの攻防はまるで子供の喧嘩のようにも見える。

だが、これはそんな生優しいものではない。

生死をかけたものであった。


倒れたままの静雅はすぐに立ち上がって応戦したいところではあるが、

身体が動かなかった。


それよりもさっきから放置されたせいで身体の熱が余計に鮮明になっ

ていく。

息が荒くなる。


これではまるで犯して欲しいと言っているようなものだった。


「はぁ、はぁ……あっ………」


いっそ、自分で触りたい。

こんな人がいるところでそんな恥知らずな事はできない。


唇を噛み締めると必死に我慢した。


悲鳴じみた声と液体んp噴き出す音が聞こえる。

それを踏み締めたような足音。

びちゃ、びちゃ、びちゃ…


こっちにきているのがわかる。

どちらが勝ったのか…

もし波戸崎なら、静雅は犯され殺されるだろう。

じゃ〜亮太だったら?


こんな姿見られたくなかった。

いっそ、死にたい。


「静雅……起き上がれるか?」

「うっ………んっ……アッ……」

「辛いのか?」

「ぅ……うんっ………」


頷くがそれ以上に触れられたところが熱い。

いっそ痛い方がまだマシだった。


優しく触れられると、もどかしさすら感じる。


「触って………りょうたぁ……お願い…苦しい……」

「えっ……静雅くん、落ち着いて…」


こんな事言いたくないのに…身体の疼きが止まらない。


抱きつくと擦り合わせるように身体をするつけていた。

こんなの自分じゃない!


そう言いたいのに、口から出るのは甘い吐息だけだった。


亮太は静雅を床に寝かせると皮膚をゆっくり触れていった。


「あぁっ……もっと……んんっ…」


胸の突起をピンッと弾くと甘い声が上がった。


何かに耐えるような表情を浮かべるといきなりズボンを下着ごと

脱がせた。

ギョッとすると、そのまま抱き上げて風呂場を探すとそこにおろ

して、座らせる。


自分も脱ぐと冷たい水をぶっかけたのだった。


身体が冷えたせいか理性がだいぶんと思い通りになって行く。

熱を持って疼いた場所も落ち着いてきた。


「こんな姿、誰にも見せないでくださいね。俺にも…です。こん

 な無防備な姿を見て我慢なんてできないですからね」

「んっ………」


そういうと、ぎゅっと抱きしめられた。


身体中の噛み痕を眺めながら目を細めたが、それ以上に強く抱き

しめてきたのだった。


その後、落ち着いたら、すぐに組員の車に載せられて家へと送り

届けられた。


荷物は亮太が回収するといって、一旦同級生の元へと戻っていっ

た。


「静雅坊ちゃんをお願いします。」

「亮太は…どうするんだ?」

「俺は静雅くんの荷物とその他の処理もあるので」


それだけ言うと組員に任せて代わりにバイクを借りるとそのまま

走り去っていった。


組員は静雅には親切で、いつでも気を使ってくれた。


「坊ちゃん、身体は大丈夫ですか?辛かったらそのまま眠ってい

 てもいいですよ?」

「うん…ごめん、そうさせてもらうよ」

「へい、ゆっくり運転するんでおやすみなさい」

「うん、おやすみ……」


うとうととして、疲れが出たのかすっかり眠ってしまっていた。

朝になって日が昇る頃、組員達の話声が聞こえてきた。


「そういえば、あいつどうするんっすかね〜」

「それは一応退学するかそのまま坊ちゃんのそばにいるかするし

 かねーだろ?」

「でも、帰ったら確実に指詰めっすよね?まだ若いのに…」

「仕方ねーだろ?護衛対象を二度も拉致られて、怪我させたんだ

 から弁解もできねーだろ?」

「そうっすけど……」

「俺らには坊ちゃんの命が一番大事で、俺らは代えの聞く駒なんだ」

「なんか寂しいっすね」

「そんなもんだよ、でも、昔の組織だったら命をも落としてたんだ

 それに比べれば指くらい安いもんだろ」

「…」


そんな事、思っても見なかった。

静雅の落ち度であって、亮太のせいじゃない。

勝手な行動をとったせいでこんな事になったのに…


さっきの家を去る時、部屋に血まみれになった波戸崎を見つけた。

あの量の出血では生きているのは難しいだろう。

そして、誰も通報するわけでも救急車を呼ぶわけでもない。


後で別の人がきて綺麗に片付けるのだろう。

そうして、何事もなかったようになってしまうのだ。


亮太は、一体これまで何をしてきたのだろう。

人を殺す事に躊躇いすらなかった。


躊躇なくひとおもいに刺していたし、何の躊躇いもなく静雅庇った

のだ。

まるで自分の身体の事などにの次だと言っているようでもあった。


さすがにここまで来れば怖くなってくる。

寝ているふりをしながら話を聞いているだけなのに、自然と震えが

おさまらなかった。

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