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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
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41話

発信機は静雅のスマホの位置機能に記載されていた。

それともう一つ、スマホに貼られた何の変哲もないシールに薄型の

ものがついている。


亮太はお揃いと言って勝手に貼ったのだが、剥がされる事もなく、

今も健在だった。


たまに触っては何か言いたげだったが、何も聞かれてはいなか

った。


静雅は位置情報を教えて機能が付いてる事は知っている上で、

シールの中にも何か入っているのを気づいていた。

あえて、ここまでするのかとも思っていたが、中学の時に帰宅

途中に拉致されてから、知らぬふりするようになった。


これで安心ならいいだろう…と。


そして今回である。

眠らされてからどこかへと向かっているのを知った。

気がついた時には真っ暗で何度も振動が身体を打った。


スマホを取るとシールを剥がした。

ズボンの尻ポケットの中に入れると反対のポケットにスマホをし

まった。

もし、スマホを壊されても大丈夫なようにしたはずだった。

あとは亮太が気づいてくれれば…


こんな時にあいつを頼るなんて…

情けないと思いながらも、頼るしか思いつかなかったのだった。


トランクから運ばれる時にポケットにしまっていたスマホがポロ

りと落下した。


「これどうする?」

「壊せ!」

「へい」


ガシャンッ!


地面に叩きつけられると画面が割れる。

続いて踏みつけられると破片が飛び散った。


まだ寝ているふりを続けるとどっかの部屋に運ばれたのだった。


寝ているふりがバレたと気づいた時には、あとは時間稼ぎに入った。

死ぬのも嫌だが、こんなところで、波戸崎なんかに侵されたくなん

かなかった。


「逃げられると思ったか?ほらっ、気持ちよーくなれよ!」


舌を掴まれると喉の奥に錠剤を入れられた。

苦しいのに、息ができないほどに興奮している自分がいた。


「アァッ……くっ…苦し……アッ……」

「そうそう、いい表情だよ?もっと見せてくれよ…」

「やぁっぁっ……あぁっ………んっ……ハァ、ハァ、アァッ!」


何度も身体を噛まれる度に痛みと違う感情がみたしていく。


上半身むき出しの状態で身体中についた鬱血と歯形が静雅をおかしく

させていった。


「こっちも触ってやるかぁ?」


股の間のこんもり盛り上がっている場所を踏みつけられると、じわぁ〜

と濡れ出した。


痛いより、違う感情…

認めたくないのに…頭が支配されていきそうだった。


唇を噛み締めると血が滲んでくる。

口のなかは鉄分の味で気持ちが悪い。


ベルトを緩めると一気に取り払う。

ズボンに手を伸ばすと、外が騒がしくなってきていたのだった。



ちょうど、位置機能で探り当てた場所の庭には数人の屈強な男達が待

っていた。


小型のチェーンソーを持って待機していた。


「おい、男とヤるのってそんなにいいのか?」

「知らねーよ、あいつの趣味だろ?早く首落として帰りてーぜ」


言葉の意味からまだ生きていると判断できる。

が、それも非常にまずい状態かもしれない。


ずっと守り続けたのに…

見ず知らずの奴に触らせたくない。

汚させるなんて、冗談じゃない!


仲間の静止を振り切るように亮太は駆け出していた。


後に続くように組員も乱闘に参加する。

あらかた外が片付くと、中からも出てきた。


それを組員に任せると亮太は近くのコンクリートを持つと窓に向か

って投げつけていた。


バリィーーーーーン!

と音がして派手に砕け散った。


そのまま土足で入り込むと、目の前で起きている事に言葉が出なか

った。


「波戸崎ぃ〜お前……」

「もうきちゃったんだ〜、残念、今から楽しみ時間を過ごすところ

 だったのに〜。見てみろよ、お前の坊ちゃんの蕩けたような顔を」

「いやぁっ……アンッ……ぁっ………」


髪を鷲掴みにするとひっぱり目の前に晒す。

そして首筋に思い切り噛みついた。


平たい胸を揉むように触るとポケットからナイフを取り出した。


噛みついた跡が残る場所へとヒヤリと冷たい刃が当てられた。


「これだけで感じてるんだぜ?尻に突っ込んだらもっと喜ぶと思わ

 ねーか?」

「くっ………その薄汚い手を離せっ……」

「汚いね〜、それはお前も一緒だろ?何人殺してきたんだ?その手

 で守ってるつもりか?違うだろ?毎日こいつを犯したくて、犯し

 たくてしたかがねーんだよなぁ〜違うか?」


混乱する頭の中で波戸崎の言っている意味が分からなかった。


亮太が人殺し?

自分を犯してたい?

毎日一緒にいて、風呂も一緒に入る事が多い。

そんな関係なのに…今までで、どういう目で自分を見ていたんだ?


友人?それも違う。

護衛対象?

それはおじいちゃんから言われたから…

ただの義務だったはずだ。


溺れかけた時、感じた温もりは?

あれは確かに側にいたのは亮太だったはずだ。


気怠くて身体が思うように動かない。

薬のせいもあるだろう。


身体の奥がずっと熱い。

痛みすら、感じてしまう。


なら、いっそ……


波戸崎の方に身体を預けると満更ではないのか抱きしめ返された。


「俺に気持ちよーくしてほしいってよ?残念だったな?」


何も知らない波戸崎は、亮太の方をじっと見ている。

そして、静雅の首元に当てられた冷たい刃先。


少しでも力を入れれば一気に血が噴き出すだろう。

でも、このままじゃ、何も変わらない。


「んんっ……」

「どこが触って欲しいのか言って見ろよ。こいつの前でおねだり

 して見ろ」

「…」


ゆっくり口開くと頭を擦り付けるようにする。

ぐるんと前を向かせると自分の腰の上に乗せてきた。


「動くなっ!大事な坊ちゃんが血まみれで倒れる姿が見たいのか?」

「くっ………卑怯者……」

「卑怯?それは俺にとっては最大の褒め言葉だ」


背中に当たる冷たい感触。

常に刃が当たっているので、下手に動けない。


乳首を何度か吸われては腰が浮いてズボンを濡らす。


「そうだったな…ここが苦しいんだったよなぁ〜、今から解放し

 てやるからな」


ズボンのチャックを開けて下しにかかった時、波戸崎へともたれ

かかる。

そして首筋に思いっきり噛みついたのだった!


「うわぁァッ……お前っ……」


咄嗟に床に叩きつけると、ナイフを投げていた。


静雅に当たる前に目の前の腕に刺さった。

亮太の腕に刺さったまま、一気に波戸崎へと飛び掛かかっていた。



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