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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
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39話

プルルルルーーーー。


「なんだ?」

「親父〜荒川静雅を手に入れました。これからどうしやすか?」

「よくやった。殺せ!」

「え〜〜〜もったいないな〜」

「遊んでからでも構わん。ただししっかり頭だけはもって帰って

 こい、久茂に送りつけてやるからなぁ〜、息子の恨みしっかり

 返してやるっ、明日には帰ってこい。人は足りてるか?」

「うん。大丈夫。もう、学生ごっこも終わりやと思うと、ちょぉ

 〜とさびしけど、しゃーなしか!」


車のトランクに押し込むと出発した。

少し離れた空き家の前に車を停めると玄関の鍵を壊す。


ここは金持ち達のペンションが並んでいる。


誰もいない上に、一個一個が離れていて、何をしていてもわから

ないのが特にいい。


静雅を運び込むと部屋の間中に置いてあるソファー寝かせた。

起きるまでは冷蔵庫みるとビールが入っている。

多分、家主が今度の連休にでも来る予定で入れておいたのだろう。

掃除もしっかりされていて、管理は十分だった。


明日になればここに首なし死体が出来上がる予定だった。


「もったいね〜な〜、俺は気に入ってたんだけどな〜。」


エセ関西弁はどこへやら、普通に話すと眠ったままの静雅を撫でる。

頬をぺろりと舐めるとビクッと震えた。


「そろそろ起きてもいいんじゃねーの?薬はとっくに切れてるだろ?」

「…」


黙っていると、大きなため息が聞こえてきた。

状況を知りたくて聞き耳を立てていたが、急に下半身に触れられた

パチッと目を開けた。


「やっぱり起きてた…荒川組、荒川久茂の孫の、荒川静雅くん」

「なっ……どうしておじいちゃんの名前を……」

「同業者だから…かな、それにもう学生のふりも要らないし、これ

 からどうなると思う?」

「殺す…のか?」

「う〜ん、半分正解!男を知ってからイキながら首を刎ねる。どう?

 気持ちいいまま、両親のもとに行くんだよ?楽しみでしょ?」

「どうして……」

「あぁ、君の両親は俺らが殺ったから…かな?でもさ〜まさか君が

 生き残ってたとはね〜」


波戸崎は何を言っているのだろう。

これでは、その場にいたような口ぶりではないか?


「あそこに…いたのか…」

「あぁ、そうそう、あの時、俺も一緒に現場にいたなだ。まだ子供

 だったけどさ〜こういう現場って慣れとかないとってね。まだ逃

 げようとしてた父親を殺った時はスッキリしたよ。初めての仕事

 だったんだ」


興奮したように話し出した。

机の上には何かお香が焚かれていた。

目の前がさっきからくらくらしてくる。


足は拘束されてはいなかった。

腕だけがきつく縛ってあるが、逃げれなくはない。


隙をついて走ればなんとかなるだろうか?

波戸崎は興奮気味に話している。


このチャンスを逃してはいけない。

起き上がると脱兎の如く入り口に駆け寄った。


が、すぐに後悔する事になった。

後ろ手に縛られただけだと思っていたが、ソファーの足にも引っ

掛けてあったらしい。


ビィーンと引っ張られると後ろに転がったのだった。


「あれ?まさか逃げようとしてた?イケナイ子だな〜、ほらっ

 口開けて〜」

「嫌だっ…」

「そう、なら無理矢理開けて欲しいのかな?」


首を掴むと一気に力を加えた。

ミシッと音が聞こえる。


息ができない…

目の前がぐりんっと反転した気がした。

目の前が揺れて、酸欠になるとすぐに手を離した。


「げほっ、げほっ………はぁ、はぁ、はぁっ、あっ…………」

「苦しかった?それとも死ねるとでも思った?まだまだこれか

 ら楽しんでからだよぉ〜?」


口の中に波戸崎の手が突っ込まれると顎が目一杯広げられ、外

れるかと思うほどにぐいぐいと押し込まれた。


波が溢れ出す。

苦し……息が………


息が苦しくなって意識が飛びそうになると、すぐに離された。


「どう?こういうのもいいでしょ?今度は本当に気持ちよ〜く

 なろうね〜」


舌を掴むと思いっきりに掴んできた。

それと同時に喉の奥に何か錠剤を入れてきた。

飲み込みたくない!

そう思うのだが、奥に捩じ込まれると吐き出せない。

ごっくん…と飲み込むとやっと解放された。


「今のは…一体何を…………!!」

「なんだと思う?…気持ちよーくなれるお薬だよ!」


ニヤッと笑うと、腕の拘束を外した。


「なっ……おみゃへ……どふいで……!?」


呂律が回らない…言葉にならない。

やばいと思った時には遅かった。


立つ事さえもできない、足に力はいらないだけじゃない。

身体全体が気怠くて、上手く動かせないのだった。


「さぁ〜思いっきり楽しもうか?男の味を知ってから死んでいく

 んだよ」



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