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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
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37話

出来上がったばかりのカレーは食べられる事もなく廃棄処分

になった。


その理由は、見回りにきた先生によって確信的なものとなった。


「カレーはできたか?ってお前ら何を作っているんだ!」

「そ、それがですね…静雅くんが病み上がりだというのに、この

 カレーは食べさせられなくてですね〜、先生食べてみますか?」


言われた先生がカレーを救いあげた瞬間気なれぬきのこが顔を出

した。

赤い傘を持った黄色い斑点のついた鮮やかな色をしていた。


見た瞬間。お玉を取りこぼした。


「お前ら、一体何を入れたんだ?」

「えーーー、さっき可愛いきのこ取って来たので一緒に煮こんじゃ

 いました〜、美味しそうでしょ?」

「…」


ぷるぷると拳が震えると息を大きく吸うと大きな声が響き渡った。


「お前ら、こんなもん食えるかぁぁーーー!すぐに捨てろ!」


お腹を壊すくらいで済めばいいが、ひとつ間違えると命にさえ危険

が及ぶ心配さえあったのだった。


女子はいいところを見せようと必死だというのはわかるが、食事く

らいは普通にやって欲しかった。


少し離れた場所でのキャンプファイアを囲んで食事の後のレクリエ

ーションが始まった。


明日には帰るとあって、最後の夜を楽しもうとする人で賑やかだっ

た。


静雅の隣に伊東くんが座るとフッと笑いかけてきた。


「なんだかお腹はさっきは凄かったね?」

「あぁ、まさかあんな物が出てくるとはね」

「確かに…女子も気合い入れすぎ…って感じ」


気合いが空回りしている気がするけど。

本人達はいたって後悔していないのだからタチが悪い。


あのあとは説教を食らって、今も先生の真横に3人大人しく並んで

いる。


女子達の気合いは夜にかかっていた。


テントに忍び込むためには今は大人しくしているに限ると思って

いるようだった。


「作戦は順調?」

「ダメよ、まだ聞けてないもの。邪魔な二人をなんとか離さない

 とせっかくのチャンスを逃しちゃうわ」

「そうね、なら私が荒川くんを、花田ちゃんは伊東くんをお願い。」

「えーー、私だって最初に行きたいー」

「まずは作戦が成功しなとダメでしょ!」

「それは…そうだけど」


話の内容から夜にテントに潜り混んで、どさくさに紛れてしまお

う作戦らしい事は聞き耳を立てていれば誰でもわかる。

狙いは雅亮太あたりだろう。


クスッと笑うと、こっそり女子の後ろに回った。

ちょうど先生も席を離れると話しかける。


「ねぇ〜、彼女達〜、話はしっかり聞かせてもろたで?」

「きゃっ!」

「なっ…なんの事よ」

「そうよ、私たちは何も夜に襲おうなんて思ってないわ」

「ちょっと!」


自分たちで口を滑らせたせいで、せっかくの計画が台無しだった。

まぁ、ずさんなものだったけど、彼女達にはいい計画だったのだ

ろう。


「まぁ〜何を考えててもええんやけど〜、俺が手伝ったろかって

 思うてな〜。こっちも後がないねん。荒川くんは連れ出して

 あげるさかい、雅くんの足止めを頼みたいんやわ。そう、こん

 なのあるんだけど?どうかな?」


一見お香のように見える。

上品な器に入った小さな円錐の形をした塊だった。


「お香?」

「そう…でも、そんじょそこらのものとは違うで?欲望をむき出し

 にするんや…もしこれをテントの近くで炊いてから側に行ってま

 うとぉ〜」

「行くと?」


少しもったいぶったように深呼吸した。


「たちまち興奮して既成事実までしっかり作れるしろもんやで」

「!!」

「きゃっ、それって…」

「3人ともそれを狙ってたんやろ?ちょうどええやん」

「…//////」

「雅くんと…/////」

「私との赤ちゃん………」


「いや〜そこは飛躍しすぎやけど…まぁ〜気持ちよ〜なるんや。ど

 うや?手を組んでみーひんか?」

「でも、波戸崎くんには何のメリットがあるの?」

「そうよ、私達にこんなものまで渡して、何か利がないと…。これ

 って高いんでしょ?」

「勿論や。安くはないなぁ〜、一個30万はくだらないし、なかなか

 手に入らん代物やで。でもな〜俺欲しいもんがあんねん。」

「欲しいもの?」


女子は波戸崎の噂を思い出した。

ゲイだと囁かれていた。

という事は…


「荒川くん、狙い?」

「ご名答!俺のものにしたいんやけど、雅くんが邪魔でな?だから身体

 から頂こうとって算段なんや、おたくらと利害が一致してるやろ?」

「そうね、そういう事なら、手伝うわ」

「そいよね。私達も荒川くんは邪魔だったし、いつも雅くんは彼の方ば

 かり気にしてるんだもの」

「そうよ!女子の魅力を見せるときよ!」


勝手に盛り上がってくれていたのだった。

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