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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
31/107

30話

風呂に入り終わると各自3人部屋へと戻ってきた。


「もうすぐ集合だね。早く行こう」

「うん、ちょっと待って…あれ?僕のスマホ知らない?」

「ないの?ちょっと鳴らすよ?」


伊東くんが呼び出してくれるが、音が全く聞こえてこなかった。


「ちょっと風呂場まで見てくる」

「先に行ってるよ?」

「うん、ちょっと遅れるって伝えておいてくれる?」

「うん…」


そう言って伊東くんが先にでて行く。

ため息を漏らすと、風呂場へと見に行く。

脱衣所を見てもそれらしきものはなかった。


「おっかしいな〜なんでないんだろう…どっかに起き忘れたかな?」


いくら探しても見つからない。

それもそうだろう。風呂に入っている間に荷物から抜き去られてい

たのだから。

しかし、本人は無くしたものと思ったのか必死に探している。


「やっぱり部屋かな?でもな〜、さっき鳴らなかったしな〜」

「何か探してるのか?」

「別に…亮太には関係ないだろ?」

「そうだね。関係ない…でもさ〜どこに行く気だった?部屋でおと

 なしくしててって言ったよね?」

「誰が従うって言ったんだよ…もういいから行けよ」

「うん、行ってくるよ。女子達が待ってるからね。でもその前に…」


嫌味かと思った途端、腕を掴まれ壁に押し付けられた。


「おいっ…何して……」

「だって大人しく待っててくれないでしょ?なら、これしかないで

 しょ?」


後ろ手を掴むと持っていたロープで縛りにかかった。

腕を拘束し、腰に回すとそのまま足をも拘束する。


これでは身動きが取れなくなってしまった。


「騒がれると困るんですよ。文句なら後で聞きますよ」

「お前っ……許さないからなっ……」

「許されるなんて思ってないですよ、さぁ、黙っててください」


タオルを口に噛ませるとその上でロープで固定した。


「ンンッーー!んっ………」

「大人しくしててくださいね。帰って来たら解いてあげますよ」


そう言うとナイフを足元のホルダーに入れて、腰には見慣れない

ものを持っていた。


拳銃?

どうして?

なんでお前、そんなもん、持ってんだよ!


言いたい事はいっぱいあるのに声が出せなかった。


「行って来ます」

「んんっーーー!んっ…んっーーー」


頭をポンポンと撫でると出て行ってしまう。

部屋の鍵をかけると放置されてしまった。


完全に監禁じゃねーか!


伊東くんが戻ってくるか、亮太が帰ってくるか、どっちかが帰る

までは自由になる事はないだろう。


しっかり結ばれているせいで緩む事はなかった。


もう、諦めるとそのまま寝て待つことにしたのだった。


ガチャッと鍵が開く音がした。

亮太が出て行ってから数分しか経っていない。


ベッドの上に芋虫のような格好で縛られているのを見つけるとか

け寄ってきた。


「荒川くん!一体何があったの!」

「んんっ……」

「すぐに解くからね…」


結び目が硬いせいかなかなか上手く解けそうになかった。

それでも時間はかかったがなんとか自由になれたのだった。


「伊東くん!どうして…」

「それがね、荒川くんのスマホはね落とし物として先生が預か

 ってたんだって」


そう言って渡してくれた。

落とした覚えはない。

風呂に行く前に一度見たし、そのあとは覚えていない。


「どこにあったんだろう…」

「それがね拾った人がここの生徒に渡してきたって言ってたん

 だよ」

「なんでここの生徒って知ってたんだろう…」

「早く行こう」

「う…うん…」


本当に行ってもいいのだろうか?

亮太が拳銃を持っていると言う事は確実に何かが動いている証拠

だった。


自分にこんな真似をしてまで行かなくてはならない理由とはなん

だろう。

知りたいと思うと、落ち着いて待ってはいられなかった。






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