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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
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28話

静雅は釣りに夢中になっていた。


「面白いでしょ?」

「うん…すごいな〜こんな風に釣れるなんて初めてやったよ」

「やっぱり荒川くんって面白いなぁ〜、いつも雅くんに守られ

 てるっぽいのに、なんでか知らない事が多いんだもん。昔に

 僕もお父さんに連れて来てもらって、教わった事だけどさ〜」

「お父さんってどんな人なの?あ…聞いちゃダメだった?」

「いや、いいよ。正義感の強い人だったんだ。警察官なのに

 ヤクザの知り合いがいてね、知ってるかな?荒川組の荒川直茂

 お父さんの友人だったんだ。」

「…」


それから伊東くんの身の上話を聞きながら決行大量に釣れた気が

する。


釣り具レンタルした人には釣った魚を捌いてくれるというサービス

があるらしい。

二人はそのまま竿を返しながら向かった。


丁度浜辺に焼き台を設置している人に声をかけた。


「すいませ〜ん、ここで焼いてくれるって聞いたんですけど」

「おお、しっかり釣れたか?」

「えぇ、まぁまぁです」


バケツを見せるとすぐに内臓を取り出して捌いてくれた。

少し大きめのは刺身で、小さめには唐揚げにしてくれた。

ついでと言って貝おまけで焼いてくれた。


「ありがとうございます」

「美味しい〜」

「なんか味付けそんなにしてないのに美味しい」

「新鮮なのは美味いだろ?味は塩だけで十分なんだぞ!」


海から何人かが泳ぎ疲れて帰って来ていた。


「へぇ〜何か焼いてるんかぁ〜美味そうやのう〜?」

「波戸崎くん!!」

「波戸崎くん、さっき僕達が釣った魚を料理してもらったんだ〜」

「ええやん、美味そうやし…一口ええか?」

「えっ……」


まだ身構える伊東くんと違って、静雅は平然と答えていた。


「はいっ、あとはだーめ」

「ぱくっ………うん。美味いなぁ〜。おおにき〜」


そう言うと静雅の頬にちゅッと暖かさが伝わって来た。

一瞬何をされたかと思い、身を引いてしまう。


「もう、揶揄わないでくれ」

「揶揄ってはないんやけどな〜静雅くんって可愛いよな?いつか

 君を食べさせてーや?」

「…?」

「またな〜」


何か意味深な言葉を言われた気がした。

海辺で水遊びをしていた亮太の視線はずっと波戸崎を睨んでいた。

無防備にキスされる静雅にも腹が立つし、確実に狙っていると思える

波戸崎には怒りを覚えた。


いっそこの手で…


手に持ったビーチボールに力が籠る。

つい力みすぎたせいか力のコントロールを外してしまった。

気づくと遠くへとボールを飛ばしてしまっていた。


「雅くーん。力入れすぎ〜」


笑いながら女子が楽しそうにしていた。


「ごめーん。俺とってくるな〜」


遠くまで飛ばしすぎた気がする。

影の岩場まで来るとボールを見つけて戻ろうとして足を止めた。


奥に誰かいるのか?


嫌な気配の息を潜めると隠れた。

すると何か話声が聞こえて来ていた。


「いいのか?」

「あぁ、今回学校行事で肝試しやるんだってよ。そこを狙えば事故に

 見せかけてやれば問題ないだろ?」

「誰にも見られるんじゃねーぞ?俺たちの事は誰にも勘付かれるなよ?」

「だが、本当にくるのか?」

「あぁ、名簿に名前があったらしいから間違いない」


あきらかに不穏な奴らだった。

今ここで仕留めるか?

武器は…持って来ていないが、相手は3人。

武が悪いが、ここで殺らないと静雅が危ないかもしれない。

そう思った瞬間、魔の抜けた声が聞こえて来た。


「ねぇ〜ボールあったぁ〜〜〜。あれ?どこまで行ったんだろう」

「こっち行ったと思ったのに〜、他探そう〜」

「うん」


女子の声に男達の緊張が走る。

そしてそのまま奥へと行ってしまった。


出るタイミングを逃してしまった。

あそこで出ればこっちが蜂の巣のなっていた。

どうして学校事項に詳しいのか気になったが、今は潜伏している

仲間に連絡をとると事情をはなしたのだった。

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