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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
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24話

女子に囲まれながらも、今回の試験結果を見にきた亮太は満足そうに

一位に自分の名前がある事にホッとしていた。


そして、静雅を探して目を疑った。

静雅の肩に腕をかけている人物はこの学校では要注意人物だったから

だった。


すぐに人をかき分けて静雅の横に来ると触れている腕を掴んで引き剥

がした。


「おい、何をやっている!」

「ん?あれ?イケメンくんやないか!噂をすれば現れるって本当やん

 なぁ〜」


なんとも魔の抜けた声で言われると殺意さえ覚える。


「おぉ、こわっ!なんや、そんな睨みなさんなって!とって食うわけ

 やないんやし〜。それとも食べたいのはあんさんの方やったりして

 な?」

「何をふざけた事を…」

「亮太、何してるんだよ」

「静雅…くん……」

「なんや?あんまり仲よう無いんか?」


横から言われた言葉にムッとすると睨みつけた。


「おお、怖っ…まるで人でも殺せそうな殺気やな」

「…っ!」


咄嗟とに身構えたが、軽く手を振って行ってしまった。


「さっきの奴はんなですか!何もされなかったですか?」

「雅くん、大丈夫だよ。最近仲良くなったんだよ。まぁ〜僕は今でも

 怖いけどね…」


簡単な事情は伊東くんは全部説明してくれた。

静雅は一から十まで説明するのを放棄していた。


ただのお目付け役であって、友人では無い。


まだ、その気持ちは今も続いていた。

友人だと思っていたのは自分だけだったのだ。


亮太はおじいちゃんが言ったから、命令されたから仕方なく側にいる

だけなのだ。


どこにいくにもついて来るし、静雅には一人の時間というものがまる

でなかった。

前はそれでも苦にもならなかったが、今では、亮太がいるだけで息苦

しくさえ感じていた。


「どこまでついて来る気だよ?」

「それは、どこまででもです」

「…来るなっ!」


そう言い張ると保健室へと入っていった。

一人になりたい時はここが一番落ち着く場所だった。


「どうしました?」

「ちょっと一人にさせてくれませんか?」

「いいですよ、奥のベッドをどうぞ」

「ありがと…」


ただ横になるだけ。

ただそれだけだが、亮太の視線がないだけで気が楽になった。


「息が詰まるんだよ…」


小声で呟くとため息と共に視界を手で覆った。

誰かが入って来たのだろうか?

足音が近づいて来ていた。


また亮太なのだろうか?

過保護過ぎるだろう。


しつこいと思いながら聞き耳を立てると近くで足音が止まった。

カーテンを引く音がして影がかかる。


眠っているふりをすると間近で吐息がかかる。


「……???」

「……」


なぜ何も言わないのだろう。

いっそ目を開けてみるか?

悩みながら考えていると再び吐息が間近でした。


「寝たふりするならキスしてまうぞ?」

「…?」


言っている事が理解できなかった。

今、何をするっていったんだ?


ガラッとドアを乱暴に開ける音が聞こえて来た。

この足音は亮太のものでその後にいるのは伊東くんだろう。


だったらさっきの声は…そして今そばにいるのは?


びっくりして目を開くと目の前にいたのは波戸崎だった。

逃げようとしたが、両腕を抑えられ逃げれない。


文句でも言おうと口を開くとすぐに手で口を塞がれていた。


「うぐっ……ンンッ……」

「静雅さん、いつまでふて寝してるんですか!」


呼びに来た亮太の目の前には押し倒された格好の静雅と波戸

崎の姿が飛び込んできた。


一瞬で頭に血が昇るのを感じた。


波戸崎につかみかかると思いっきり殴りつけていた。


「いってぇ〜な、そない強く殴らんでもええやろ?」

「今…何をしていたんですか…一体誰の許可をとって静雅くん

 に触れたんですか……」


握った拳に力が入る。

当事者である静雅はただただ、驚いて言葉をなくしていた。


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