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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
24/107

23話

チケットは家に持って帰ると取り上げられそうだったので、

伊東くんに預かってもらう事になった。


伊東くんは饒舌に話ていた。

よっぽど好きなのだろう。

静雅も楽しみだった。


この時はまだ、波戸崎は気がきくな〜とくらいにおもってい

たのだった。


試験週間も終わりもうすぐ臨海学校が始まる。

グループはクラスメイトと適当に組んだ。


荒川、雅、伊東ときて、男子がそのメンバーに組んでくれる

わけもなく、女子が3人一緒に行ってくれる事になった。


花田さん、平井さん、夏目さん、の3人は雅目当てだとわかっ

ていたが、それ以外に組んでくれそうな人はいなかった。


「雅くんと一緒で嬉しいな〜」

「雅くん、よろしくね!私の事覚えてる?」

「雅くんは海泳げるの?一緒に泳ぎましょ!」


全員がいう言葉は亮太しか見ていないという事だった。


「まぁまぁ、せっかく2泊3日なんだし、楽しもうよ」

「そうね、わかったわ」

「抜け駆け禁止よ」

「わぁ〜嬉しいわ」


口々にいう。

荒川、伊東は完全に眼中に無いようだった。


臨海学校は海での遭難や、救助の方法を学びながら、自由時間

は泳いでもいい事になっている。


だからといって泳げるとは限らない。

なぜなら静雅は泳げないからだった。


あまり嬉しく無いのはそのせいだろう。

亮太にもその事は言っていない。


「荒川くん、海は苦手だった?」

「あぁ、ちょっとな…実は…僕泳げないんだ」

「なーんだ、そういう事なら、大丈夫だよ!僕もだもん。だから〜」


そう言って泳げない人ように浮き輪の貸し出しや、釣り道具などの

レンタルもあった。


先に言っておけば学校が借りてくれる。


二人は先に先生に申請しておいたのだった。

亮太はというと女子達と楽しそうに話していた。


女子はわざと腕に触ると『逞しい〜』と言って騒いでいる。

周りの男子からの視線が痛い。


「よくあの状態でいられるよな?」

「まぁ〜亮太だから…かな」


最近では告白して来る女子には恋人がいると言っているらしい。

前は片思い中だと言っていたのに、やっと誰かに告白でもした

のだろうか?


どう見てもデレデレはしていないが、満更でも無い気がする。


試験の結果が出ると掲示板に張り出されていた。

伊東くんと一緒に観にいくと、やっぱりというか、どうしてそう

なるのかわからないが、一位には雅亮太の名前があったのだった。


少し点数が落ちるが、今回も二位をキープしていた。


「はぁ〜、勉強やってるそぶりもないし、いつも授業も寝てるって

 のに、なんでそうなるかな〜」

「雅くん、すごいね?でも、荒川くんも凄いよ!」

「あ、ありがとう」


付け加えられたようで少し苦笑いになってしまう。

すると後ろから二人に抱きつくように腕を回して来た生徒がいた。


「おたくらすげーじゃん!頭よかったんだな?」

「波戸崎くん!」

「ぎゃっ!!」

「おいおい、驚き過ぎだろ?俺も傷つくぞ?」

「それは…ごめん」

「いいって、冗談だよ。それにしてもイケメンくんは今回もトップ

 かぁ〜」


波戸崎の名前は見つからない。

多分下の方なのだろうか?


「苦しいから離してくれ…」

「えーーー、いいじゃん。俺ら友達だろ?」


慣れ慣れしい、波戸崎に周り視線が集まる。

波戸崎と仲がいいと思われるのは非常にまずい。


波戸崎はとにかく敵が多いのだ。

先輩達の中の何人かにはよく思っていない人がいて、その人達の

反感を買っているので、仲良さげだと、こっちも目の仇にされる

おそれがあったのだった。




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