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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
23/107

22話

亮太が保健室に帰ってきた時には制服も汚れ、後ろには土すら

付いていた。


「どうしたんだい?それは…」

「なっ…なにを………いや、いい。」


伊東くんの驚く顔が本当に心配しているようであった。

静雅といえば、最初は驚いていたが、すぐに視線を逸らすと教科書

へと戻した。


「荒川くん、大変だよ。どうしよう、この黒いの落ちないよ」

「そうだろうな…自分から受けたのか?」

「まぁ〜ね」

「なら…誰がやったのかわかったのか?」

「今、和泉先生がお説教してる。少し遅くなるって」

「そうか…お前そのまま帰るのか?」

「う〜ん、ジャージに着替えて来るよ。待っててくれる?」

「知らねーよ」


素っ気なく言いながらも、勝手には帰らないのをしっている。

一人にするわけにはいかないが、今は静雅のそばには伊東くんが

いるので心配はしていない。

何かあれは彼が知らせるだろう。


和泉先生が戻って来ると保健室に鍵をかけて帰宅する事になった。

車に乗り込むと3人とも送ってくれる事になった。


「先生は荒川くんと雅くんの家を知ってるんですか?」

「えぇ、知ってますよ。家が近いので」

「そうなんだ〜、いいなー。今度行ってもいい?」

「えっ…それは……」

「ダメだ、他の入居者の手前、それはできない」


はっきり言い切った亮太に乗ると、静雅も続けた。


「ごめんな?ルームシェアだから共同部分が多くて、あまり他人

 を入れるのを拒む人が多いんだ」

「そっか、残念だな〜見てみたかったなぁ〜。」


伊東くんは素直に言ってくれているのだと思うと、騙しているよ

うで心苦しかった。


次の日の朝、自主退学をした生徒がいるらしいと噂になった。

先生がたの間でもイジメについてよく話し合いがされたようだっ

た。


そんな後に発覚したのが3年の石田健大の暴力行為の動画だった。

顔はモザイクが入っていたが、殴った方はしっかり映っていた。


怒鳴り散らすように叫び、殴っている事から非がどちらにあるか

が明白だった。


ちょうど本人が休みをとっているうちに議論がされると停学処分

とされたのだった。


半年の停学ということは、完全に留年決定だった。


「聞いたかい?あの3年の石田健大って停学処分だって…」

「そう…なんだ…」

「目をつけられると大変な生徒だったしいいきみだけど、誰があ

 んな動画流したんだろうな?」

「そう…だな…」


思い当たる人が一人しかいない。

明らかに殴られたふりをして倒れたのをみると、亮太としか思え

なかった。


最近ではたまに波戸崎駿が顔を出すようになっていた。


「おう、お二人さん元気にしてたか?」

「指は大丈夫でしたか?」

「おう、もうこの通りや。あんた気に入ったわ俺の弟分にして

 やるよ」

「いや、いいよ。やめておく」

「遠慮すんなって。度胸もあるようだし他のやつは目すら合わ

 さねーしよ〜」

「荒川くんっ」

「なんだ?お前もか?」

「いえ…なんでもないです」


伊東くんが何やら言いたげだったが、波戸崎によって口を閉ざ

した。


「脅すからだろ?」

「やっぱりお前はいいな!今度うちに来いよ、歓迎するぜ!」

「遠慮しておくよ。何か用事があったんじゃないのか?」

「おぉ、そうだった。これ、よかったらどうかと思ってな」


波戸崎が渡して来たのは最近人気になって来たバンドのチケット

だった。


「それって、最近有名なやつじゃん!」


すぐに食いついたのは伊東くんの方だった。


「有名なのか?」

「荒川くん、知らないの?テレビでもよく出てるよ?」

「テレビ見ないから…知らなかった。いいのか?」

「あぁ、知り合いの伝手でもらったんだけど俺、用事があって

 さ〜行けねーからよかったら行ってこいよ。」

「ありがとう」

「いいなぁ〜」

「よかったら伊東くん一緒に行こう?」

「いいの?行く!」


ちょうどチケットは2枚だった。

夏休み中だからまだ先だったが楽しみが増えたのだった。


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