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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
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19話

二人を保健室に置いてくると亮太は教室へと戻ってきた。

今日はクラス中の女子達とお近づきになった。


いつもだったら側に寄ってくるのも鬱陶しいと思っていたが、今日

ばかりは自分から側に近づくとわざと肩を抱き寄せたりとスキンシ

ップをしていったのだ。


その中に、体育の時間に嗅いだ臭いを見つけたのだった。


「今日のノート取っておいたよ。」

「あぁ、ありがとう。それとちょっと聞いていいかな?」

「あ…はい//////」


耳元で囁くと顔を真っ赤にして亮太を見上げてきた。


「あそこの二人ってどう言う関係かな?」

「二人?あぁ、草壁凛ちゃんと名取彩音ちゃん?いつも仲良しだよね?

 あまり詳しくは知らないけど、最近彩音ちゃんに彼氏ができたって聞

 いたよ?なんでも3年の…えーっと…」

「石田健大?」

「そうそう!そんな名前だった」

「なるほどね…」

「ありがと、またよろしくなっ!」


ウインクするとふらっとしながら喜んでいた。

女子は単純でいい。


「あの鈍感なやつにも見習わせたいくらいだな…」


亮太は憎たらしいほど気になる人物を思い浮かべながら一人ごちる。

二人が帰っていくと思いきや、校舎の裏手に来ていた。


こっそりと後をつけると案の定、そこには石田健大が待っていた。


3年生という立場を利用して新入生や、気に入った女子に脅しをかけ

ていると聞いていた。

彼女と言いながらも、結局は脅しに使える材料を見つけては自分の思

うままに操るという。


ずる賢いだけのクズだった。


だが、問題なのは家柄だった。

こう言った普通高の一般家庭が多い場所で、金持ちの家は色々と融通

が聞いてもらえる。


それには裏で親からの献金が動いていると言われていることが多く、

子供にはなんの力もないくせに親の威光を背に威張り散らすことが

あるという。


それだけじゃない、入学式の時に静雅に手をあげようとした張本人で

もある。


施設では何度も殴っていたと報告が上がっていた要注意人物だった。


「ここは徹底的に潰しておかないとな…」


何か話している。

遠目だからか、話の内容まではわからない。

が、よからぬ事を画策しているのは間違いないだろう。


女子二人の顔色が少し悪い。

何かを言われたのだろう。


そして、何か手に持ったまま帰っていく。

どうするか迷ったが、今の動画を彼女達に見せて事情を聞き出す方

を優先する事にした。




「ねぇ、本当に大丈夫かな?」

「大丈夫よ、だって体育の時だって誰にもバレなかったじゃない。」

「そうだけど…私達荒川くんにはなんの恨みもないよ?」

「あるじゃない!雅くんが凛ちゃんに靡かないように言ったのもきっ

 と彼よ、モテないからって裏では色々言ってるのよ。だから雅くん

 が、あんな事を言ったに違いないわ」

「そうかなぁ〜」


なんとも不用心な会話だろう。

誰が聞いてるかもわからないのに、よく喋る事だと関心した。


「体操服、あんなに汚しちゃたらもう着れないよね?明日ちゃんと

 新しいのを買って返そうよー」

「平気よ、どうせ孤児院育ちで人のものを盗むような手癖の悪いやつ

 だって言ってたじゃない。私達がしなくてもいつかは天罰が降るに

 違いないわ」

「でも…そんな人なのかな?」

「もう、凛ちゃんは騙されてやすいんだから〜」


「その辺にしてくれる?」


いきなり後ろからの声に二人はビクッと固まると、振り向いた。

見覚えのある顔を見て言葉が出なかった。


「静雅の体操服を汚したのは君達なんだね。まさかこのまま平然と過

 ごせるなんて思ってないよね?」

「なっ……何よ!証拠もないくせに!」

「証拠?そんなものは必要ある?」


キッと睨まれると息が詰まるような錯覚を覚えた。

完全な殺気というものはこういうものだと感じただろう。


普通にいきてきた人にとっては、殺気を受けるプレッシャーには慣れ

ていない。

ましてや、女子高生にそんな場に行く機会など、あるはずもないからだ。

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