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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
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18話

試験期間に入るとみんながこぞって勉強に励む。

毎日やっている一部の生徒とそうでない生徒が図書室に集まって

ごった返していた。


「図書室混んでるね…」

「そうだな、教室にするか?」

「それもいいけど…教室は……」


伊東くんの指摘がわかった気がした。

荒川、伊東のそばには必ず雅がいる。


この法則を見つけた女子達がこぞって押し寄せてきたのだ。

教室にいると女子達の黄色い声が邪魔で勉強に集中できなかった。


「保健室は?」

「保健室?でも、僕らを入れてくれるかな?」

「まずは聞いてみようぜ」


伊東くんを伴って保健室へときていた。


「構いませんよ?奥に机があるので静かにやるのでしたら使って

 いいですよ」

「へ〜使えるんだね」

「だろ?」


静雅の言葉に伊東くんも不思議そうに眺めた。

多分、静雅が言ったからだろうと亮太は思ってはいたが口には出

さなかった。


静雅は頭が悪いわけでは決してない。

ただ、環境が悪かっただけだった。

今のようにやれる環境さえ整っていればそつなくこなす。


今回もどうせ一位は雅亮太がとるのだろうが、それでも足掻く事

をやめなかった。


もちろん、亮太も必死だ。

学年首席だからこそ、静雅の信頼も厚くなる。

そう信じていたからこそ、1教科だって負けられない。


「あれ?雅くんは勉強しないの?」

「いや、俺はいいや。どうせ一位は俺だし」

「嫌味なやつは放っておいた方がいいぞ」

「うーん、ここでやってるのでいつでもきていいからね」

「あぁ、帰りに寄るよ」


亮太は保健室に二人を置いて教室へと戻った。

もちろん女子達が数人残っていたのか、亮太に気づくと駆け寄っ

てきた。


「行っちゃったね…」

「あいつはいつも余裕だからな…絶対に今度こそは負けねー」

「そうだね…でも、すごいよね?家で勉強してるとかかな?授業

 中もいつも寝てるし…」


確かにそうなのだ。

授業のノートもしっかり取っているけど…、いつも見た時は寝てい

るのだ。


どう考えても不思議でならない。

まさか……お金でテストの解答を…?


いや、そんなことはないだろう。

久茂自身、そう言うことを嫌う傾向にあるからだった。


「今日の体育の時間どうしたの?遅れてたよね?」

「あぁ、ちょっとな…」

「そっか、そう言えば雅くんも遅れてきたよね?」

「まぁ…そうだな…」


流石に言えなかった。

持ってきた体操服に誰かが真っ黒な液を垂らしたせいで着れな

かったなんて…


すぐに亮太が自分のに購買で買ってきて名前を刺繍したおかげ

で何事もないように振る舞ったけど、やっぱりどこにでも気に

いらない人間を陥れようとする人がいるらしい。


が、相手が悪かったとしか言いようがない。


「亮太…怒ってたな………」

「ん?何か言った?」

「いや、なんでもないよ」


やられた静雅本人より、一番腹を立てていたのは亮太の方だった。

あんなに避けているのに…

護衛からやめさせようとしているのに…


静雅は亮太の事を嫌いでしているわけではない。

あの事故の時もそうだったけど、中学の時の誘拐事件が未遂に終

わった時も…全部亮太が動いてくれたからだった。

そのせいで怪我も何度もしている。


今回だって一つ間違えれば死んでいた。

多分、狙われていたのは静雅なのだろう。


父の事故もそうだった。

この前亮太に好きな人がいる事が分かった。

なら、尚更危ないことは避けるべきだと思う。


組の揉め事や、集まりはまだ大人が多いからいい。

でも、静雅の護衛は危険なのだ。

狙われているのも理解しているし、多分そう長くないうちに両親

と会う事になるかもしれない。


そうなった時に、亮太まで巻き込みたくなかった。

初めて話せた同世代の人間だったからだ。

仕事と言っていたが、静雅にとっては友達だと思っていた。


あの時は裏切られたと思ったけど、仕方のない事でもあった。


自分は…静雅は荒川組、組長荒川久茂の孫なのだから…。

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