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君は今日から家族だ!  作者: 秋元智也
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16話

昼を終えると教室に戻る。


授業が全部終われば帰る準備をする。

伊東くんはバイトがあるのですぐに帰って行った。


しかし、静雅は和泉先生が帰るまでどこかで時間を潰さなけれ

ばならなかった。


「保健室に行くんですか?」

「あぁ、あそこならいいんだろ?」

「はいっ、もちろんです」

「そんなに見張ってなくても僕は大丈夫だ」

「そうもいかないので…それに…」


そう言いかけた瞬間、言葉を止めた。

気配を察知して振りかえる亮太の前には二人の女子が立っていた。


「えーっと何か用事かな?」

「ちょっと付き合ってください。すぐに終わるので……」

「あー、今からはちょっと無理かな、明日の教室でもいいかな?」

「行ってこいよ。すぐに済むんだろ?」

「はいっ…」


何か言いたそうな女子に静雅が言うと、亮太は迷いながらも女子に

ついていった。


たまたまだが、保健室に着いたとき窓の外から声が聞こえた。

さっきに女子のものだ。


保健室の裏手はゴミを捨てにくる生徒以外は人が来ない。

そこで話すことと言えば……


「雅くんっ……あのね、私雅くんの事が…好きなんです。もし彼女が

 居ないなら付き合って下さい」

「あ……それは無理ですね。俺、好きな子いるんで。とびっきりの我儘

 な子で、全然俺になびかない子なんで」

「嘘っ!だって、いつも女子と一緒にいないじゃん!荒川くんや、伊東

 くんみたいな平凡な男子といるじゃん。なんで嘘言って凛ちゃんを断

 るのよ!」


もう一人の女子が食ってかかる。

まぁ、確かに女子に囲まれはするが本命はいない。

そう見えるだろう。

もちろん静雅も亮太の思い人など見たことがない。


家に帰れば男だからけの生活で脱げば刺青が見える。

一緒に風呂に入っている静雅だからこそ知っているが、また刺青が増え

ていた。


断るいい理由なのだろう。

カーテン越しに聴きながらベッドに寝転がった。

すると、ちょうど和泉先生が帰ってきた。


静雅は口の前で指を立てるとシーとやって見せる。

和泉先生も窓際まで来るとそっと外を覗き込んだ。


「なるほど…雅くんはこう言う事が多いですからね」

「…」

「そうだ、静雅坊ちゃん、肩凝ってませんか?マッサージ得意なんで

 すよ?」


言われるがままに外に聞き耳を立てながら寝転がると身体を預けた。

押される指圧が気持ちいい。

最近緊張していたせいか、疲れが溜まっている気がしたからありが

たい申し出だった。




亮太はというと、静雅に行ってこいと言われたせいで話したくもな

い女子と話すはめになったのだった。


大事な用があると聞いていたが、それがコレだった。


「悪いけど暇じゃないんだけど?何?俺に好きな子いたらダメなの?

 君みたいな平凡な子のどこを好きになれって言うの?二人がかりで

 言えばなんとかなるとでも思ったの?一人では何もできない子を選

 ばなきゃいけないわけ?顔も、性格も頭も悪い、少しでも俺に釣り

 合う要素があるとでも思ったの?全く度し難いね!」

「そ…そこまで言わなくてもいいじゃん!凛ちゃんが可哀想でしょ!」


「君はさっきから黙ったままだけど?友達が言ってくれないと何も言え

 ないの?」


さっきから辛辣な言い方でせめていた。

多分苛立っているのだろう。

静雅と喧嘩した時だって、いつも言いくるめられて何も言えずに不貞

腐れていたくらいだ。


「完膚なきまでに言うね〜彼らしいけど…」

「確かに…あいつ、気に入らないと徹底してるからな〜」


よく性格を知っている和泉と荒川は小声で話していたのだった。

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