別にいいはずなのに、過去に登場させたことのあるキャラの名前をつけられない
初めに断っておくが、このエッセイは作者に向けて書いているので、読者の諸君にはつまらない話だ。それはもう、鼻毛が生えてくるほどつまらない話である。ゆえに、鼻毛が不要な読み専の諸君は回れ右をして向かいの耳毛ショップに行くことをオススメする。
さて、作者と鼻毛が必要な読者だけが残ったところで話を始めさせていただこう。今回のテーマはズバリ『同じ名前は1度きりにしたほうがいいのか?』ダ。
ワタシハコレマデ二370サクヒンホドトウコウシテキタガ、同じ名前のキャラが登場したことは恐らく1度もない。そういう作者は多いのではないだろうか。
この世には名前どころか、フルネームまで同じという人間が何人も存在する。それについてはなんとも思わないし、自分と同姓同名だったら一瞬だけ「ヒョッ!」と思うくらいである。
なのに、創作だと同じ名前を付けられない。これはいったいなぜなのだろうか。
そこで、私の頭の中に住む3人の専門家が立ち上がってくれた。彼らに順番に自己紹介をしていただこう。
それでは専門家の皆さん、お願いします。
黒「こんにちは、専門家の黒と申します。恐らくですがそれは、前に名付けたキャラのイメージがついてしまっているからではないでしょうか」
まだ自己紹介しか求めていませんよ。次勝手に喋ったらあなたとあなたのお母さんの舌を切り落としますからね。ってお母さん私やないかい!Σ\(゜Д゜;)
闇「こんにちは、専門家の闇と申します。たった今お母さんという言葉が出ましたが、実際子どもに名前を付ける時に『同じ名前にしよう』とはなりませんよね。極端な話かもしれませんが、命名という点で同じ心理がはたらいているのではないでしょうか」
勝手に喋るなと言っているのに! そもそもあなた達は何の専門家なんですか!
憎「こんにちは、専門家の憎です。ちょっと話は逸れますけど、他作品で有名なキャラ名もつけにくいですよね。大谷翔平とか」
大谷翔平さんは作品のキャラ名じゃないんですけどね。でも確かに自作品の登場人物の名前にしようとは思わないですね。大谷さんという人の家に生まれた子にも名付けにくいような気がします。からかわれたり期待されまくったりしそうですし。
ていうか私の頭の中、黒・闇・憎なんですね。
僧「フルネームに限らず、あまりにも有名だと名前だけでも名付けにくくなりますよね。例えば外国が舞台の話で、主人公がルフィという名前の漫画を描いてもいいはずなんですけど、誰もやらないし、やろうとも思わないじゃないですか」
やっぱりそのキャラのイメージが強いから、他のキャラだとしてもどうしてもイメージがチラついちゃうんですよね。両津っていう苗字もイメージが完全に決まってますし。
⋯⋯よく見たらあなた、憎じゃなくて『僧』じゃないですか! 私の頭にお坊さんもいたんですね!
僧「お寺に住んでます」
お寺もあったんですね。私の頭すごい。
黒「で、それの縮小版じゃないですけど、自分の創作の世界の中で同じ名前の人がいたらどうしても先に作ったキャラのイメージがチラついちゃうからっていうのがあると思うんですね。って最初から言ってるんですけどね私」
まだいたんだ、黒の人。
黒「あなたが呼んだんでしょ」
うるせー! 脳内人間の分際で主人に逆らうな!
黒「脳内『人間』じゃないんですけどね」
あ? じゃあなんだよ。
黒「犬ですね。私は黒い犬です」
犬が喋ってんじゃねーよ!
闇「でもそれって、あくまで作者の中での話じゃないですか。読者はあなたの全作品を読んでるわけじゃないと思うので、読者からしたら何も気にならないんじゃないですかね?」
耳「ということで結論、気にしなくてもいい! 閉廷! 散!」
頭の中に耳あるのはおかしくない!?
耳「犬とかお寺とかよりはマシだと思いますけど」
確かに。
ということで、これからの登場人物は全部サンバサンバブンバボンバと吉田ルミ子にします。