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第10話:五色の華と夕食会②

最期に待っているのは少しの不安と期待が浮かんだ表情の冬華だ。


「わくわく、どきどき♪」


「冬華」


「何かな?何かな?」


「そう不安がらなくていいぞ」


「えっ…と何の事かなー?そんな訳ないじゃん!」


「そっかそれならいいんだ」


そう言いながら冬華を抱きしめて頭を撫でながら続ける。


「ちょちょちょ、優希おにーちゃん流石にこれは…恥ずかしいって」


「俺がやりたいんだからいいの、それとも駄目か?」


「だめじゃ…無いけど…」


「じゃあこのまま進めようか、冬華いつもありがとうな。冬華はいつも周りをしっかり見てそれでいてちゃんと助けてくれる。偶に自分を犠牲にして物事を進めちゃうのが困ったものだけどそれも春華の為だったり誰かの為だったり、本当に優しい子なのが伝わってくるよ。でもその癖甘えん坊だし寂しがり屋な所が人一倍強かったりするんだよね、でもそれが愛おしいし、それで人に嫉妬しちゃった事を後から後悔してる、そんな時はもっと頼ってくれると嬉しいんだよ。だからこれから先の生涯、冬華はもっと甘えて、もっと寂しがって、もっと頼ってくれ、俺もそんな冬華に頼られるよう成長するつもり……だから…」


そこでいったん冬華を離し、正面に立って左手を取る。


「これから先俺の隣で、俺と共に歩んでくれるかな?」


「うぅ…私は春華より可愛らしくも無いし、おにーちゃんに生意気なこと言っちゃうよ…それでもいいの?」


「なんだ…今更そんなこと気にしてたのか、十分冬華は可愛いし愛らしいよ、それに生意気なんて思ったこと無いから大丈夫」


「んっ…ありがと、これからもよろしくお願いします優希さん」


そのまま左薬指に指輪を通しキスをした、ちょっと長めのキスだったので冬華は頭から湯気が出てたが気にせず回復魔法をかけておく。


◇◆◇◆

そうして三人への改まったプロポーズが終わり三人はお化粧直しをしている。


俺はラウンジ居た人達に祝福を受けた後、植野さんの作ったノンアルコールカクテルを飲みながら皆が来るのを待っていた。


「いやー良いものを見させていただきました」


「今思うと滅茶苦茶恥ずかしい事しましたよね…俺」


「そうですね…プロポーズは仕事柄見た事はありますがね、日本じゃ重婚が禁止ですので三人同時は初めてでしたが」


「あーそうえば日本って重婚禁止でしたね…忘れてました」


「ですがまあ、英雄色を好むと言いますし。上凪様を見ていると当然の事のように思えます」


「そんな事言われても…」


「冗談とかでは無いですよ、上凪様は今まで見てきた男性の方よりとても逞しく感じられます、この間の事件以外にも様々な修羅場を潜ってきた様な風格がありますので」


「そ、そうですか…」


「はい、それに恐らくですが、これから上凪様を取り巻く環境がどんどん変わると思います、それこそ今までと比べ物にならない位にです」


「えっと…それってどういう?」


「これ以降は私めの想像でございますが、今上凪様の重要性はとてつもなく大きいものになります…いえ、既になっているかと」


「それってどういう?」


「その一片は上凪様も実感していると思われますが、上凪様の存在は現時点での我が国最高峰の強みでございます」


「えぇ…そんなはずは…」


「こんなことお客様相手で言うのは大変失礼になるとは思いますが、心を鬼にして言わせていただきます。謙虚なのは大変よろしいのですが、どうやら…認識が非常に甘いようですね…」


「そこまでいいますか…」


「はい、前回の事件の際倒されたあのモンスター、あれを倒せる存在がこの世界にはおりません」


「いやいや…ミサイルとか戦車とかあるじゃないですか」


「そこですよ、ミサイルや戦車を使わないと倒せない。そんなモンスターを4人で倒せる。それは非常にこれからの国際情勢で重要な意味を持つんです」


「それってつまり、ミサイルより値段が安いからって事ですか?」


「それもありますが、ダンジョンより産出される物は世界でも有数の貴重な品です、その貴重な品をなるべく綺麗な状態で確保したい、あわよくば軍事的に利用できるものにしたいと考える訳です」


「確かに…銃弾を弾く鱗ならそれだけで頑丈な鎧になりますね」


「そうですね、それに海外ではオーガの体表…つまり皮膚は戦車砲を数発弾き飛ばしました、それがもし利用出来るのならそれは大きなアドバンテージになりますからね、いま世界中で上凪様の評価は自分達の危機としてみなすか、それとも引き込んで自身達の力にするかですね」


「そこまでいっちゃうんですか…」


「恐らく、近い内に変化するでしょう…」


「それって耀達に影響しますよね…」


「えぇ…ですので無理矢理に婚姻をしようと言う輩や誘拐を企む存在が現れるでしょう」


そう言われ俺は頭を抱える…皆を巻き込んでしまった罪悪感が胃から競り上がってくる。


「どうしましょう…」



「恐らく現時点で動いている存在は少ないでしょう、それに敵対するよりは味方として引き込みたいが多数ですから、それに水城様達とのご結婚はかなり有効な手となりえます」


「え?それって?」


「まぁ、簡単に言ってしまえばハニートラップが通じると思われるからでしょうね」


「えぇ…それは極端じゃないですか?」


「いえ、そうでもないかと。メアリー様が良い前例と勘違いされるでしょうし」


「えぇ…本人の意思は関係ないんですか…」


「そうですね、本人の意思より国の利益を取る為に生かされてる人間は多いですから」


「なんか植野さん…本当に一般人ですか?」


「えぇ、ただ少し色々な人を見てきましたので」


そう言って植野さんは2杯目のカクテルを出してきた。


「そろそろ皆様が戻られそうですね」


「ご忠告ありがとうございました」


「いえいえ、ただの想像ですので、もしかしたら世界はもっと緩やかに進行するかもしれませんし、もっと早く進行するかもしれません、それがわかるのは神様くらいでしょう」


「ははは…そうですね…」


そういえば、最近会ってないなぁと思いつつグラスを傾けるのであった。


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