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【第12回ネット小説大賞 受賞】【コミカライズ化決定】異世界から帰ったらこっちの世界にダンジョンがあるんだけど!?〜モテたいのでダンジョンで頑張ります〜【祝200万PV突破】  作者: ふぇありす
第8章【転生陰陽・現代聖女編】

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第26話:工房デート

「さて、どこから回ろうか?」


「はっ? ふぇ? えっと……お任せします……」


結局、誰も捕まらずに、風魔さんと回る事になってしまった。


・エアリスはクラスメイトと、耀は日本残留組と一緒に衣装制作。

・フィルレイシア、ノーブルブラッディ組は現地入りして警備中。

・メアリーは優羽とユキとお出かけ中。

・ユフィは今日の夜明けまで皆の魔道具の改良をしててくれたので爆睡中。

・小鳥遊姉妹と巴ちゃんもクラスメイト達とクラス出店の準備中である。

・里菜は大学の女子達とダンジョン。

・鈴香は地方のアイドルイベントに出演中。

・結菜と酒吞は三条さんと遊びに行っている。


「うーん食べ物は……お腹空いて無いよね?」


「はい、食べてすぐですし……忍者は1~2日食べなくても活動できますので」


頬を染めつつニコリとする風魔さん。


「そうなの? 凄いなぁ……。それじゃあ、服とか見に行く?」


「服ですか……それでしたら、お願いしたい所が……」



◇◆◇◆

――カーン! ——カーン!!


屈強な男達の怒声と、金属叩く音と蒸気の音が入り混じり不思議な音楽を奏でている。


「はぁぁぁ、凄いです!」


目を輝かせる風魔さん。彼女の頼みで俺達が来たのは王都の一角にある王家御用達の武具工房だ。


「もしかして、風魔さんって武具工房《こういった所》が好きなの?」


「はい! 忍者はその性質上自ら武器を作ることが多々ありますので! 昔から父が作る所をよく見ていたのです」


「そうなんだ。じゃあ、春華とは話が合いそうだね」


俺が春華の名前を出すと、風魔さんは身動きを止める。


「いえ、あの……。小鳥遊さんは……その、畏れ多くて……」


「畏れ多いって……どうして?」


「あ、はい。小鳥遊さんのお爺様は刀工の中ではかなり名の通った方で、現代最高峰の刀匠の1人とも言われてます、美術的価値もあれば実用でも尋常じゃない程の切れ味なんです。剣先を下にして落とすだけで瓦が貫通すると言われてます。それに錬司刀と言えば7~8桁の金額が付きます、晩年は本数も少ないので金額が文字通り桁違いですよ」


早口で目を輝かせながら詰め寄る風魔さん、顔が近い……。


「そ、そうなんだ……じゃあ、二対の刀とか凄い貴重じゃない?」


「…………!!!!!!?!?!?!?!?」


「あ、固まった……」


声も出さずに固まり、目をしばたたかせる。


「そ、そんな物が? 存在するのですか!?」


「うん、しかもついこの間受け取って来たんだよ」


「はっ? へっ……? 小鳥遊さんって行方知れずじゃ?」


あっ、まだガリウスから連絡来てないから、言っちゃまずいか。


「あーなんか、約先々月前に、春華が三十三間堂での「通し矢」にチャレンジしてきたんだ。その時に錬司さんを知ってる人が現れてね。その人が言うには、行方知れずの錬司さんがふらりと現れて二人の為にと打った刀を持って来てくれたんだ」


「なんと……そんな奇跡が……」


涙を流す風魔さん、毎朝顔合わせてるんだし、今度見せて貰えば良いのに。


「おい、勇者様。また女を泣かせてるのか?」


「ユミュリエル様に言っちゃうぞ~」


やいのやいのと鍛冶師たちが集まって来る、たまにここを使わせて貰ってるからか子の人達は顔見知りなのだ。


「止めて下さいよ、また誤解で怒られますって……」


「おー、お熱いこって!」


「羨ましいこって、うちのかーちゃんはなぁ……」


「はいはい、奥さんいるだけ良いだろ、アイツなんてまた振られたんだぞ?」


「おま、それは言うなよ!!」


口々に言い合いを始める鍛冶師たち、収集付かなそうなので手を叩いて止める。


「暇なのはわかってるけど、作業中断して良いの?」


俺がそう聞くと、皆が持ち場へ戻っていく。


「おう、ユウキ様。折角来たんだし1本打ってくか?」


工房長が聞いてくる、そういえばふらっとここに来るときは大体剣とか穂先を打ってるな。


「上凪さん、刀打てるんですか!?」


だから、顔が近い……男性嫌いじゃ無いの!?


「う、うん。一応ね、今日は時間かかるからやらないけど……」


俺がそう言うと、残念そうな顔をする。


「そんなぁ……」


「良いじゃねーか、折角だしナイフの1本くらいなら簡単だろ?」


「それなら時間はあまりかかりませんけど……」


チラリと風魔さんを見ると、目がキラキラし始める


「それじゃあ……風魔さんはナイフとか使ってる?」


「あ、はい。ナイフに鋼糸を付けて使ってます」


「何それ、アニメみたい……」


「あーそうですね。アニメ程派手ではないですがあんな感じに使ってますよ」


そう言って鋼糸とナイフを袖口から手品のように取り出す。


「じゃあ、似たサイズのを作りましょうか……」


見本で1本借りて竈の前に行く、適当な鋼と鉄のインゴットを一つづつ貰い魔力を込める。


「さて……準備完了。後は……『——極炎』」


金属が溶ける温度を頭に浮かべながら火の魔法を使う、温度を上げていくとどんどんと溶け始める。


「ふぅ……このまま型に流して……」


心鉄はこれでOK、後は魔力鋼を柔らかくして……。


――キンッ! ――キンッ!


鋼を叩き纏わせる!


「ふっ! ふっ!」


――キンッ! ――キンッ!


温度を上げ叩く、水に入れ冷やしを繰り返す。


暫く繰り返すと刀身が出来上がった。


「後は……魔法で大まかに研いで……」


風と土魔法を組み合わせ削る、その後は砥石で研ぐ。


「良し、後は鍔と絵を付けて……完成」


出来上がったのを見ると、急ぎで作った割には綺麗に出来てると思う。


「それじゃあ後は鞘を斬りだして……はい、風魔さん」


「あ、ありがとうございます……」


ぽけーっとしている風魔さんに手渡すと、まじまじとナイフを見始める。


「一応、春華と冬華のお父さんに習ったやり方を基にしてるから出来は悪くないと思うよ」


「おめぇ……なんてモノ作ってるんだよ……」


工房長が呆れたように肩を叩く。


「えっ?」


「あんなもの簡単に作りやがって……俺達が男十年とかけて出来るような逸品なんだぞ?」


「そうなの? じゃあ材質が良かったんでしょ?」


そう言うと物凄く呆れられた。

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