第14話:尋問タイム(やさしめ)
「さて……どうしようかなぁ~」
「「「「「ひぃぃぃぃ~!?」」」」」
ニヤニヤと捕虜の周囲を歩きながら言う、今現在はクロコに騎士団達を呼んで貰っている所だ。
「冗談冗談、君達には情報を話してもらわないといけないから無茶な事はしないよ」
「わ、我々に聞いても無駄だぞ!!」
「そ、そうだ! 何も話さないぞ!」
口々に愛国心のある事を言う工作員達、とは言っても鑑定で出身国とかバレバレなんだけどなぁ……。
「ふーん、ユークニアの工作員かぁ……そっちはアルドバニも居るのね」
「「「「「!?」」」」」
「あぁ、隠さなくて良いよ。俺の眼に隠し事は出来い無し」
「ぐっ……だったらどうするんだ!!」
「いや、どうもしないよ? それとも、拷問でもする?」
「ひっ!?」
涙目になる工作員達、鑑定した感じ悪い人たちじゃないっぽいんだよなぁ……。
「それとさ、疑問だなんだけど。どうして魔道具技師が間者なんてやってるの? いや、国に忠誠心があるのはわかってるし、急激に伸びてきてる国の技術が欲しいのはわかるんだけどさ」
「それは、魔王様が一番わかってるんじゃないか?」
「いや、思い当たる節が多すぎて判別がつかないから聞いてるんだけど……」
「うぐっ……」
悔しそうな顔をする、工作員達。それにしてもコロコロ表情が変わるし、さっき向けられた敵意もやむ終えずって感じがするんだよな。
「じゃあ質問を変えようか、ノーブルブラッディで工作活動を行ってるのは君達の国? それとも違う国?」
俺の言葉に数名反応する、主にアルドバニの工作員だ。
「……はぁ……喋らないか。まぁ、いっか、お迎えが来たみたいだし」
「——ユウキィィィィ!!」
ドアが蹴破られアミリアが跳び込んでくる、その後に騎士たちも続いて入室してくる。
「アミリア、いらっしゃい。それと騎士の皆様もご苦労様です」
アミリアを抱き留めつつ、騎士の皆さんへにこやかに手を挙げる。
「まったく! 今日は学校の皆が来るから大人しくしてるんじゃないのか!?」
「あーごめん……皆を警護する為に上から視てたらなんか怪しい動きしてる奴等が居てね、つい……」
「まったく……それで、首尾はどうだ?」
「うん、とりあえず目ぼしいものはあそこに」
アミリアを降ろして、俺の背後を指差す。そこには工作員達が備えてた魔道具や武器が沢山置いてある。
「凄いな……」
「まぁ殆どが人を傷つける物じゃなくて〝目隠し〟や〝移動阻害〟の使い捨て魔道具だよ」
「そうか、とりあえず回収した魔道具はこちらで保管しよう。後は捕まえた者達の処遇だが……」
目配せするアミリア、その目には連行される工作員達の姿が映っている。
「えっと……少し気になる人達が居てね。もし良かったら全員を各々隔離して収容してもらえるかな?」
俺の言葉に頷くアミリア、聞きたい事は後から行えばいいか。
「それと、クロコから情報が行ってると思うけどアレウスさんにお願いした貴族の家は?」
「そちらは既に兵が向かっている、捕縛して連れて来るさ」
「そっか、良かった」
「さて、そろそろ戻らなくてはいけないんじゃないのか?」
「そうだった、それじゃあ向かおうか」
「あぁ!」
腕に抱き付いて来るアミリアと共にアジトから出る、そろそろ皆と合流してノーブルブラッディへ向かわないといけない時間だ。
アミリアを伴って集合場所へ向かうのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
◇???side◇
「——ふぅ……完成、もう朝ですか……」
朝日の差す窓から外を見る、ひときわ高い塔のであるが故どうしても朝日が入って来るのは早いですわね……。
「流石に、ひと眠りしたいですね……」
私は眠い目を擦りながら簡単に作った魔道具の注意書きを書いた紙を添える。
「後で従者さんが取りに来るでしょうし……わたくふぁぁ……」
ふらふらとした足でベッドへ倒れ込む、それと同時に睡魔が瞼を引っ張てくる……。
「お母様は元気…か…な……Zzz……」
◇◆◇◆◇◆◇◆
◇優希side◇
「さて、皆。次は魔族がメインの国に行くよ」
「「「「「おおおおおおおお!!」」」」」
クラスメイトの地響きのような声が響く、獣人達でも滅茶苦茶興奮していたクラスメイト達はさらに興奮をする。
「転移場所は王宮だから騒ぎ過ぎない様にね」
「「「「「はーい!」」」」」
「それじゃあ……『——転移!』」
一瞬で視界が変わり見慣れたノーブルブラッディ城へ到着する。
「ゆ・う・き・さまぁ!! ひぎゅっ……」
飛び出してきたリリアーナがアミリアの手によって止められる。
「うぅ……アミリアさん酷いですわ……」
「ごめんごめん、つい……」
「むぅ……せめて優しく受け止めて下さい……」
頬を膨らませるリリアーナ、その光景にぽかんとするクラスメイト達。
「さて……。皆様、ようこそいらっしゃいました。私は現魔王様であるユウキ様の妻、リリアーナ・カミナギ・ノーブルブラッディと申します」
美しく、そして綺麗に一礼をするリリアーナに皆が息を呑む。そして顔を上げた彼女がニッコリと笑うと、男女問わずため息が漏れ出た。




