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【第12回ネット小説大賞 受賞】【コミカライズ化決定】異世界から帰ったらこっちの世界にダンジョンがあるんだけど!?〜モテたいのでダンジョンで頑張ります〜【祝200万PV突破】  作者: ふぇありす
第8章【転生陰陽・現代聖女編】

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第8話:嬉しい知らせと誤解

刀身すっぽ抜け事件から数分後、テーブルの上に置かれたサーベルを調べ終える。


「つまり、このサーベルは刀身を入れ替えた刀だと?」


「はい、恐らくこの柄を着けた人が無理矢理に付けたせいでなかごの部分が錆び割れてたんでしょうね……」


目釘に固定具が無かった。恐らくは分解した後、釘目を無くし、鑢目やすりめの固定だけじゃ使えなくて中途半端に鉄を流し込んだのだろう、それから水にぬれたのか目釘周辺から錆びていたのだ。


「つまりそれで折れたと?」


「そうだと思います、正直こんな折れ方は日本じゃありえないですから」


「そうか、行商人から珍しい剣と聞いて買ったのだがな。まさかこうなるとは……」


「恐らく、行商人は悪く無いでしょうね。レイラさん、この刀は研ぎ直しとかしました?」


「いえ、していないわ。普段の手入れだけですわ」


「それなら確定ですね。刀身は綺麗ですから行商人の方でも手入れはしていたはずですね。でも抜けなかったので茎の部分は手入れできなかったんだと思います」


それよりも気になるのは……。


「レイラさんこの柄、斬っても良いですか?」


「え、えぇ……」


「じゃあ失礼して……はっ!」


躁血魔法で固定して魔力を纏わせた愛刀で斬る、ぽとりと落ちる茎を拾い復元魔法で錆を落とし綺麗にする、その後は刀身もくっつける。


「やっぱり……」


そこにあった銘に俺は確信を得る。


「どうしたんだ? ニヤニヤして」


「いえ、想像以上に嬉しい事がありまして」


そう言っていつも使っている刀を鞘に納め手早く目釘を抜きいつもの手入れの様に柄と刀身を分離する。


「これ、みて下さい」


先程修復した刀身と今出した刀身を並べる。


「見てって言われても……日本語の細かい判別は付き辛いんだが……」


「こ、これは!!」


レイラさんはわかった様だ。


「んー似たような文字なのはわかったけど……お手上げだ」


「ガリウス様、これは作った方が同じなのです」


日本語もしっかり読めるレイラさんが興奮する。


「ん? つまりどういう事だ?」


「この刀、制作者が〝春華と冬華〟のお爺さんなんです」


「はっ? お前の嫁の祖父が作った刀が何でここに?」


「二人のお爺さん、実は1年前に失踪してるんですよ」


「はぁ!?」「えっ!?」


異世界に行ってるかもしれないと思ってたけど……まさかここで手がかりが得られるなんて……。


「そこで、お願いがあります。この刀を持って来た商人さんと買った地域を調べて欲しいんです」


「あ、あぁ……でも、今もそこに居るとは限らないぞ?」


「そこはまぁ、そうなんですけど。せっかくの手がかりですので」


「わかった。執事に調べさせて報告する、恐らく1~2週間かかるが良いか?」


「大丈夫です、お願いします」


ガリウスに頭を下げる、するとニヤリ笑い肩を叩かれる。


「あぁ、任せとけ」


「それと、レイラさん。この刀お預かりしても良いですか?」


「えぇ、構わないわ。もし必要だったら奥方様にあげても構わないですわ」


「あー柄と鞘を整えたらお返ししますよ、収集家という訳では無いですし」


この間気持ちの籠った刀を貰ってるし、それよりも情報のが喜ばれるだろう。


「なにより、色眼鏡抜きにこの刀を気に入ってくれたレイラさんに持っててもらいたいと思うんですよ」


「ユウキ様……」


「わかりました! この刀は代々受け継がせる我が一族の家宝に致します!!」


感激したのか一気に詰め寄られ、手を握って来るのだった。


◇◆◇◆

「二人共。今晩、報告事があるから実家に戻っててね」


あれからガリウスとレイラさんをリーベルンシュタインへ送り、色々と準備を終えた俺は一時休憩として報告がてら日本へ戻り、春華と冬華に実家に戻るように言っていた。


「え?」「それって……」


二人が悲壮な顔をする、今の言い方だと離婚するみたいだな。


「違う違う、良い知らせで、折角なら小鳥遊家で話したいからさ」


「ほっ……」「よかったぁ……」


安堵に顔が緩む二人、誤解させてしまったようだ。


「ゴメンね、誤解させちゃって」


「いえ、大丈夫です」


「でも、珍しいね、おにーさんがそう言うなんて」


「そう?」


「普段はもっとストレートに言うじゃん」


「そうですね、珍しいです」


二人が言うならそうなんだろう。


――ボーン――ボーン。


時計の音が鳴る、時間を見るともう夕食の時間だ。


「やばい、もう戻らないと……それじゃあ二人共、多分九時くらいになるだろうから鷲司さんにも伝えておいて」


慌ててカップに残ったコーヒーを飲み干し立ち上がる。


「おにーちゃん」「おにーさん」


二人に袖を引かれ、視界が下に向く。


「「いっらっしゃい」」


その言葉と共に、両頬に感触が伝わった。


「心配させないで下さいね」


「そーだよ、春華も私もびっくりしたんだから」


「うん、ごめんね。次からは気をつけるよ」


二人に口付けを返して、大慌てでリーベルンシュタインへ戻るのだった。


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