第5話:試作品の効果は?
「という訳で、皆の予定を調整して異世界に向かう事になりました」
「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」
朝のホームルームで昨晩シド様、アレウスさん、ノクタールさんに許可を取り色々と手配をしてもらえる事になった。
「たーだーし! 皆の親御さんからちゃんと許可を貰う事! これは理事長に許してもらう最低条件だからね!」
「「「「「えーっ……」」」」」
俺が言うと、クラス中からめんどくさそうに帰って来る。
「という訳だ、これが承諾書。ちゃんと親の判を貰って来るんだぞー」
蔵間先生がプリントを配る、渋々だが皆ちゃんと折り畳んでしまっている様だ。
「それと、教室の貸し出し許可が必要になるだろうからちゃんと生徒会に書類を出す事。特にうちのクラスは2教室使うだろうから早めに申請しないと使えなくなるからなー、なぁ山田、西田」
蔵間先生の言葉にクラスの視線が文化祭役員へ向いた。
「はい、一応飲食店が使用できるクラスは校舎の上三階だけで。そこならば調理は可能です」
「でも、調理をしない、例えばお茶を淹れるだけとか出来合いのクッキーを出すとかなら1~2階は使えるぜ」
昨日役員の会議があったみたいだしそこで改めて注意事項なりを指示されたようだ。
――――♪♬♫♩~
「と、いう訳で朝のホームルームは終了。この後はうちのクラスがダンジョンの見回りだからな、準備して裏庭に集合な」
「「「「「はーい」」」」」
蔵間先生が出て行き、各々鞄を持って教室を出て行く、今日は近隣のダンジョンで掃討訓練《見回り》があるのだ。
「優希」
ユフィが俺の前に立つ、どうやら頼んでいたものが出来たらしい。
「昨日の今日で、もう出来たの?」
「ん、雛菊や鶫、巴の持ってる工場で手伝ってもらった」
「そうか……だから白鳥さんリビングで燃え尽きてたんだ……」
方々にお願いと顔見せしてたから、帰って来たのが朝だったし朝食場所も今日はリーベルンシュタインに変更したのだ。
「ん、後はこのベルトを着ける」
出してきたのは某ライダーの変身ベルトの様なゴツイ代物だ。
「これに魔石を填めれば、魔力供給元になって起動する」
「そっか……でも大きくない?」
腰につけたら邪魔になりそうだけど……。
「ん、まだその大きさが最小……外部からの直接供給は魔石を通さないと出来ない」
ユフィが言うならそうなのだろう、ただこれとなると高校生の皆には許容できそうだけど、小学生には大きそうだよな……。
「ん、これは試作。文化祭までには完成させる」
「ありがとう、でも無理はしないでね?」
「大丈夫、授業中は寝てるから」
ビシッと親指を立てるユフィ。
「いや、起きてあげてね、先生可哀想だし……」
既に高校の範囲を完全に頭に入れてあるユフィ、この間数学の先生に寝てるからと解かされた問題は黒板すら見ずに答えてしまい先生が唖然とさせてしまっていた。
しかも本人は、寝ぼけている状態だったのだ。
「善処する……」
「うん、出来たらご褒美あげるよ」
俺の言葉に耳がぴくぴくするユフィ、最近日頃から頑張っている皆への感謝の為にお菓子を作っているのだ。
「頑張る……」
握り拳を握るユフィ、そんなユフィの頭を撫でて男子の分を受け取る。
「じゃあ、女子の方は頼んだよ」
「ん、わかった」
さて、時間もあまり無いし急いで向かわないと……。
女子更衣室へ向かう為に教室を出たユフィと反対に進み、俺は男子更衣室ヘ急ぐのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「これ……本当に付けないと駄目か?」
クラスメイトの菊池君が恥ずかしそうに言ってくる。
「うん、一応効力は見せたと思うんだけど?」
「そうだけどさぁ……」
ジャージ上からベルトを着けた姿は場違いに見える。
「急造だからこうして大きくなった、我慢して」
先程まで女子の方に居たユフィがすぐそばに現れ、菊池君のベルトをぎゅっと締める。
「ゆ、ユフィリールさん!?」
突然現れたユフィによる不意なボディタッチで顔が沸騰してる菊池君。
「ん、沢山のデータが欲しい、頑張って」
「は、はい!!」
デレデレになった菊池君はそのまま戻ると他の男子からどつかれる。
「てめーずりいぞ!!」
「そうだそうだ!!」
「死ね! 死ね!!」
殴られるたびに薄衣の幕で攻撃が止められる、機能確認も問題無さそうだ。
「ユフィ……わざとでしょ」
「ん、駄目だった? 学生の攻撃でどのくらい丈夫か見たかった」
「うーん……ユフィが他の男を触るの、俺が嫌だからやめてね」
そう言うと、ユフィの耳が赤くなる。
「ゆ、優希がそう言うならやめとく……」
それから男子達を止めて、簡単な準備運動で模擬戦を行った。仲裁した時に美人を独占しやがってとやっかみが飛んできた為、即座に女子勢から私達は美人じゃないとでも言うのかと全力で攻撃されていた。
「皆、無茶しないでね。防御魔法があるといっても結構簡単に壊れるから」
「「「「「はーい……」」」」」
今回クラスメイト達に配布したインナーシャツはベルトと合わせると簡易的な魔法鎧が発動するのだ。
「あと、女の子にどっちが美人とかどっちの方が綺麗とか順位付けるとか〝聞こえる〟ところで言うのは凄く失礼だからね」
「うぐっ……」
「これがスケコマシの余裕……」
「モテ男め!」
「モテる男は違うな」
「あぁ、ああして女を落としてるんだな……」
男子から怨嗟の声と謎の称賛の声を受けるのだった。
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作者です。
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↓オマケ↓
準備運動を終えた後簡易パーティを組むことになったので俺達は隅に寄る。俺達は強過ぎるのでクラスメイト達の訓練にならないとの事で救援係なのだ。
「ねぇ優希、その言い方だと。私達の居ないとこで順位付けしてるのかしら?」
「優希様も人ですし……」
「んで、誰が一番?」
耀、エアリス、ユフィの圧が凄い……。
「あーえっと……みんな魅力的で決めた事無いんだよな。決めろと言われても皆一番としか思わないし、それはこれからも変わらないと思う」
そう言った瞬間、三人の顔が赤くなる。
「先生、少し優希を借ります」
「えっ、これから授業……」
「すみません、これは外交問題になりますので」
「あっ、はい……」
「ん、時間はかけない。すぐに戻る」
「い、いってらっしゃーい……」
耀によって空間転移をさせられいきなり押し倒される。
「あー、あのー三人とも? これから授業なんだけど……」
「「「…………」」」
俺の言葉は聞き入れられず服に手が掛けられたのだった。




