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|幕間|②:暗躍、握り潰された報告書 ※不快描写あり注意

クソ!クソ!この俺が俺が俺が!

最高に持っている俺は親父の用意したパーティーメンバー達を盾にしながら撤退していた。


何なんだアイツ…中級までなら攻略出来るはずのパーティーメンバーが一瞬で殺られてしまった。


最後の断末魔を背後で聞きながら駆け抜ける。


全く役立たずめ!と内心愚痴を吐く


得体の知れない仮面の大男から逃げ、出口へ向う。


「クソッ!クソッ!開かねぇ!」


扉を剣の持ち手を叩きつけ鍵を壊す。


扉を蹴破り、外に出て車へ走りドアを開く。


取っ手が、ガチャンと鈍い音を立てたが知るわけ無い、とにかく運転手へさっさと出せと告げると、「お仲間は?」と聞かれたので貴様の首がなくなっても良いならと、答えると運転手は車を急発進させる。


それから、2時間半以上かけ家に帰ると父の元へ行く。


「御爺様、例のダンジョンに護衛として行ったあの護衛の雑魚共は本当に中級最下層到達組なんですか?」


「どうした?何があった?」


「今までの調査に無い未知のモンスターが現れて全滅しました、俺は生き残りましたが他は死にました」


「そうか、良く生きててくれたな…」


そう言って御爺様は俺を抱きしめる。


「全くです、俺の盾になったから、無駄死ににはならないでしょう。」


「そうだな、有象無象より優れたお前のがよっぽど重要な存在だからな、死んだ探索者の遺族には適当に遺族年金か見舞金でもやっとけばいいだろ」


「しかし、どうしますか?このままは俺のプライドが許さないんですが」


「そうだな可愛いお前の為に舞台は用意してあげるよ。今日はもう遅い休みなさい、今週末にはお見合いもあるんだから」


「お見合いですか…どんな相手でしょうか?」


「なーに政治家の娘だ、昔面倒を見てやった与党幹部の娘だからな。器量もいいしスタイルもいいぞ」


「それは…楽しみですね!それではおやすみなさい」


そう言って自室に戻った俺は着ていた服を乱雑に脱ぎ捨てる。


「正直、器量の良さなら芸能人で満足してるんだよね…まあ俺の琴線に触れるかだな。あぁ本当なら耀が良かったなぁ…でもまだ彼女は御爺様達と繋がりも無いか…」


どうすればあの女を手に入れられるか思案しながら興奮した体をなだめかせ夜は更けていく。




◇同時刻◇

そこには一人の男性が夜遅くなった為、車の通りの少ない道を急いでいた。


「よっしゃー!これで地獄の20連勤終了!明日は休みだし…今日は深酒出来るぞー!」


上機嫌で車を運転する男性、その視界の先にとあるお店の看板の電気がついていることに気が付いた。


「あっれー?あんな所にお店なんてあったっけ?」


いつもならこの時間帯この通りは街灯の光とコンビニの看板だけになるので不思議だ。


そう思い視線が外れた瞬間、車を衝撃が襲う。


「うわあああああああああああ」


そうして弾き飛ばされた車は電柱に当たり停車する。


「いつつつ」


幸いエアバッグに助けられた男はシートベルトを外し車から転がり降りる、見回すと周囲には街灯と煌々と光るその看板しかない。


車を見ると左前方に何かが当たったような血の跡と前面は大破している。


「うわぁ、猪かなぁ…クソっこれは廃車だな…」


一応当たった猪を見に行くと、そこには頭蓋が割れ脳の一部が漏れ出している子供の姿があった。


「ひいいいいいいいいいいいいい」


その場で腰を抜かしてしまう男性の目の前に影が落ちた。


「くひっ、くひゃひゃひゃ」


不快にする笑い声が響き男性が顔を上げると伸長3mを超えてしまうかの様なコートを着た仮面の男が立っていた。


「へっ?」


その男が聞いた最後の音は『ゴキャ』『バキン』『ガリガリ』『ボリボリ』とそれに合わさる咀嚼音であった、その不快が耳奥までこびり付く音であった。




◇◆◇◆

◇???side◇

翌日、私はダンジョン庁へ向かっている、昨晩の件のもみ消しだ。


「失礼するよ、この部署のトップは誰だね?」


私の顔を見て凍り付いた者が大多数である。


「えっえっと、私です」


おずおずと一人の男性が手を上げる。


「おお、君か!少し話があってな、別室で話そう」


そう言って応接室へ向かう、中に入り彼と対面する。


「さて、まずはここで見聞きした事は口外するな、すればお前の人生は家族共々終わりだ」


声を凄めて言うとその職員は顔を真っ青にしながら何度も首を縦に振る。


「まず、昨日我が孫が未発見のダンジョンだが、挑んだ記録は無しにしてもらいたい」


「それは…ひぃ!わかりました!」


一睨みするとゴミが黙る。


「次に、同行していたメンバーだが全滅した」


「へ?」


「全滅したと言っている、二度も言わせたんだ三度目は無いぞ」


「はっはい!」


彼の顔は脂汗まみれになる。


「どこか上級に挑んで死んだことにしておけ」


「かしこまりました!」


「ああ、そうそう今回のダンジョンはあくまで未発見だからな等級はつけるなよ」


要件を済ませ立ち上がり部屋を出ていく。


職員は土下座のままだった。

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 巴ちゃーん! 
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