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【第12回ネット小説大賞 受賞】【コミカライズ化決定】異世界から帰ったらこっちの世界にダンジョンがあるんだけど!?〜モテたいのでダンジョンで頑張ります〜【祝200万PV突破】  作者: ふぇありす
第8章【転生陰陽・現代聖女編】

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第42話:ランス防衛線Ⅳ

「大丈夫ですか?」


こちらを見ているご老人と子供へ声をかける、唖然としているがぱっと見怪我は無さそうだ。


「き、君は?」


「有志で戦ってる者です、敵も居なくなったので無事な人が居ないか確認してました」


「そうか……すまないが手を貸してもらえないか? 妻が逃げる際に腰をやってしまってね」


お爺さんが立ち上がりながら言う、地下室へつながる階段を降りながら魔法で灯りを出す


「えっと、失礼しますね……」


鑑定で状態を見る、どうやら逃げる際に打ち付けたのか大腿骨の骨が折れている。


「少し押さえますね、痛いのは一瞬ですから」


少し押さえて回復魔法をかける、他の子達も怪我してるかもしれないので『範囲快復エリアヒール』で済ませる。


「ありがとう、痛みは無くなったわ。今なら走り回れそう」


「いえいえ、痛みが引いたなら幸いです」


それから地下室の人達と共に外へ出る、だが凄惨な街の姿に言葉が無くなる。


「皆さん、案内しますのでこちらに。どこに敵が居るかわからないので素早く動きますよ」


「あ、あぁ……」


『皆、子供を合わせた10人くらいの避難民を見つけたから連れて行くね』


『分かったわ、手伝いはいる?』


素早く耀が返してくる。


『いいや大丈夫、式神達を出していくよ』


『わかったわ、こちらは任せて』


『それだったら、私が優希の位置を交代するわ』


アミリアが返してくる、位置的には少し遠いけど大丈夫か。


『わかった、頼むよ』


『むぅ……ずるいですわ……』


通信器越しに頬を膨らませているリリアーナが割り込んでくる。


『リリアーナも、殲滅任せたよ。ユフィも耀も頑張って』


『張り切りますわ!』


『ん、任せて』


『優希も気をつけて』


『そうだアミリア、もしヤバい状態の人が居たらすぐに連絡してね』


『わかったわ』


通信を終えて向き直る、さて与一たちを召喚び出そう。



◇◆◇◆◇◆◇◆

 ◇里菜side◇

「やっぱりおかしい」


道中接敵しつつ蹴散らしながら進む、そして家を捜索する事数十戸を回ったあたりで確信に変わる。


「や――けて!!」


「今の!」


「えぇ、急ぎましょう!」


「こっちです!!」


微かに悲鳴が聞こえたので、セレーネさんの案内でそちらの方へ走る。


「里菜さん、あそこ!!」


バルコニーにいる女性と赤ちゃんの元へ亡者が群がっている、このままじゃいずれ餌食となってしまうだろう。


「ここは私は切り開きます!『宝石よ私の願いに応え、炎を司る獅子の咆哮として応えよ——炎獅子えんじし双牙そうが!』」


「グガァァァァァ!」


炎の獅子がブレスを吐く、そして収束して熱線へ変化し亡者を薙ぎ払う。


「里菜さん!」


「ありがとう!」


踏切板の様に春華ちゃんが私を打ち上げる、お陰で屋根よりも高く跳ぶことが出来た。


「はぁぁぁぁ!!」


女性に手を伸ばした亡者を両断する、そして再度構えると室内ではおぞましい光景が広がっていた。


「やめっ……ギャアァァァァ!?」


「ふむ、やはり上手くはできんな……んっ?」


旦那さんだろうか、黒い炎に包まれる男性と不満気な顔をした軍服の男が居た。


「ほう、私の親衛隊を倒すか! これはこれは素晴らしいレディーだ。ここいらの無能よりは役に立ちそうだ」


燃えている亡骸を投げ捨てる。炎に包まれた後、そこには先程から倒してきた亡者の姿があった。


「このぉ!!」


一気に近づき身体を斬る、はずだった。


「ググッ……ガギャア……」


先程の亡者に変わった男性が間に入りその身で剣を止めていた。


「んなっ!?」


「上等、さて。その体と力、我が皇帝の為に役立ててもらいましょうか!」


腰の剣を抜いた男が振りかぶる、黒い炎を纏い振り下ろされる。


「くっ……抜けない!」


もがくが剣が抜けない、仕方ない……。


「ごめん優希さん!」


剣を捨て蹴り飛ばす、その瞬間炎を纏った剣が右手を掠める。


「フフフ、さぁ! 冥界の炎に焼かれるがいい!!」


瞬間、黒い炎が身体を駆け抜け、視界が明滅する。


(ごめんなさい優希さん)


その言葉が出る前に私の視界は闇に落ちた。



◇◆◇◆◇◆◇◆

 ◇???side◇

「んなぁ!?」


誰かも知り得ない声にて、私の意識が突如浮上した。


「——全く、人が心地よく眠りについているというのに……」


仕方ない、この身体や魂に異常があった時は、出るようにしていた訳だからな。


「貴様! 私が浄化の炎を受けて立っているだと?」


「浄化? あの様な、人の魂を汚す炎の事か? 貴様、巫山戯ているのか?」


沸々と怒りが湧く、人の尊厳を汚す力に反吐が出る。


「まぁ良い、その様な術を使う亡者には今生は過ぎた物だ」


身体から湧き出る炎をつるぎかたどる。


天十握剣あめのとつかのつるぎ


「ナ、ナンダソノチカラハ!!」


「答える必要は無かろう、これで終るのだから」


剣を振るう、白い炎が黒い炎を飲み込み消し去る。


「ヤメロヤメロヤメロヤメロォォォォォ!!」


「黙れ、黄泉へと落ちろ」


「ギャアアアアアアアア!?」


目の前の不快な存在を焼き消し去る。


「ふぅ……そろそろ限界か……、まぁ仲間も来るだろう……ふぁぁぁ~」


大きな欠伸が出てくる、さて一眠りをするか……。


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