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【第12回ネット小説大賞 受賞】【コミカライズ化決定】異世界から帰ったらこっちの世界にダンジョンがあるんだけど!?〜モテたいのでダンジョンで頑張ります〜【祝200万PV突破】  作者: ふぇありす
第8章【転生陰陽・現代聖女編】

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第41話:ランス防衛線Ⅲ

◇里菜side◇

救護陣地の確保を終えた後、私達はミュリさん達が空けてくれた場所から家々を回る。


「ここも駄目……もぬけの殻ね」


「そうですね……でも、どこに行ってしまったんでしょう?」 


「食べられたとかなら、もっと血が派手に飛び散ってるのですが……」


セレーネさんの言葉に、一瞬あの光景と臭いの記憶がフラッシュバックする。


「うっ……」


「「里菜リナさん、大丈夫です(か)!?」」


「え、えぇ……大丈夫よ、ただ少し昔を思い出しただけ……」


「昔……あっ……」


春華ちゃんは察してくれたらしい、背中をさすってくれる。


「ありがとう春華ちゃん、セレーネさんには伝えて無かったし、伝えておくわ……」


昔、私の両親がゴブリンに惨殺された事。


その結果、私が探索者をやっているという事。


「そうだったのですね……、すみません不謹慎な事をいってしまって……」


耳がペタリとしてシュンとなる、その小動物の様な愛らしい姿に私の心は落ち着いて来る。


「——ふぅ……、気分は落ち着いたわ。それより次の建物に行きましょう」


逃げ出した様子の無い部屋、僅かな血痕。考えたくはないが嫌な予想が脳裏を過る。


「誰か、生存者がいてくれれば……」


そう思いながら次の家に入っていく。



◇◆◇◆◇◆◇◆

 ◇鈴香side◇

「皆さん、こっちです!」


人の波がゆっくりと進む、私達は避難する人達を誘導しながら頑丈な建物への誘導をする。


「あちらの道は敵が居るわ! 学校へ向かって!」


リアさんも同じ様に呼びかけながら誘導をしてくれる。


「鈴香! こっちの敵は抑え込んだよ!」


「ありがとう、他の皆は?」


「次の路地に向かった! 私も行くよ!!」


菫が指を指す、今度はそちらの方向から大きな音と閃光が響く。


「私も、もう少ししたら向かうね!」


「いーよいーよ! フランス語話せる人のが誘導には向いてるから!」


「無理になったら〝アレ〟使うし大丈夫!」


「——わかった、無理はしないでね」


そう言って駆けて行った、それと入れ替わりでリアさんが人の間を縫ってこちらにやって来た。


「リンカ!」


「どうしました?」


「それが、迷子みたいなの……」


「迷子……」


視線を下に向けると、5歳位の女の子が不安そうな顔をしていた。


「えっと……お名前聞いても良いかな?」


「……アンナ」


「アンナちゃんね、お家はこの近くなの?」


「ちがう、向こう……」


指差す方向は人の流れがこちらに向かって来ている方だ。


「それじゃあパパとママは?」


そう聞くとアンナちゃんは首を振る、今この地域は避難を完了していて指差した方は今、神楽組の皆との戦闘が行われている地域だ。


「わかったわ、リアさん誘導は任せて良いですか?」


「いいけど……どうするの?」


「私が探してきます、避難の流れから考えると、皆が戦ってるとこですし。リアさんはこちらに残って誘導をして下さい、それとアンナちゃんのご両親がいるか呼びかけを」


「……わかったわ、気をつけて」


「ありがとう、それじゃアンナちゃんをよろしくお願いします」


私はリアさんへアンナちゃんを預け皆の元に駆け出した。



◇◆◇◆◇◆◇◆

 ◇優希side◇

「さて、それじゃあ殲滅戦行こうか!」


「「おー!!」」


前方にはまさに地獄といった様相が広がっている。


『優希、A-10~16ブロックは行けるわ!』


『こっちはD-10~20ブロック攻撃終了』


「二人共、無理はしないでね」


「はい!」「わかったわ!」


三方向へ各々駆け出す、二人は耀とミュリが飽和攻撃を行った後の地へ向かい殲滅を始める。


「さて、俺も行きますか……」


俺は、二人の大規模魔法が打てない住宅街の地域へ進む。


「はぁぁぁぁぁぁ!!」


両手の爪で砕き殲滅しながら進む、住宅街の半分は砲撃で破壊され荒れ果てていたが辛うじて無事な地域を進んでいく。


「そこそこ大きな建物は駄目か……砲撃の跡が酷い……」


砕けた市街地、その瓦礫の下に沢山の亡骸がある、殆どが就寝中だったのがせめてもの救いだろう。


「後で蘇生に来るとして、目印だけはしておかないと……」


DIYで使ってるペンキで目印をつけて回る、するといくつか不思議な事があった。


「死体が無い……」


いくつかのキレイな家に入る、逃げ出した場合は綺麗なのだが、襲われた家は亡者の爪痕や血痕が目立つのだ。


「喰われた? だけどその場合大量の血が残るはず……」


考えながら家々を調べていくと地下室だろうか綺麗な扉があった。


「誰か居ますか!!」


扉に問いかけると、中で物音がする。


「あ、あぁ! 助けてくれ!!」


「わかりました、開けますね!」


――バギバギバギッ!


鉄扉を開けると、中には数名の子供とご老人二人と目が合った。


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