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【第12回ネット小説大賞 受賞】【コミカライズ化決定】異世界から帰ったらこっちの世界にダンジョンがあるんだけど!?〜モテたいのでダンジョンで頑張ります〜【祝200万PV突破】  作者: ふぇありす
第8章【転生陰陽・現代聖女編】

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第24話:少女と追手

「「「「「ごちそうさまでした!」」」」」


春華の作ってくれた夕食を終える、見慣れない食材ばかりだけどどれも美味しく調理されていた。


「よく考えると、この料理達ってかなり異世界感あったわね」


「そうですね、今日作ったものも基本的な味付けは塩ですからね。ソースを使うと一気に変わりますが……」


春華の料理は基本、下味をしっかりつけてるから十分塩でも美味しいんだけどね。


「んんっ~眠いけど、お風呂入らないとなぁ……」


「あぁっ、冬華さんもたれ掛からないで下さいぃ~」


冬華が優羽にもたれ掛かかり、優羽はわたわたしながら押し返そうとしている。


それを皆で微笑ましく眺めながら笑っているとミュリとエアリスがパーカーを羽織り始める。


「あれ?二人共どこかに行くの?」


「はい、どうやらこの付近で気になる噂を聞きまして」


「噂?」


「あぁ、ここらで歌の上手い少女が夜出歩いているみたいでな、祭りの雰囲気も合わせて問題が起きるかもしれないからな」


「そうは言ってますがミュリは歌の上手な少女が気になるそうですよ」


「「「「「あぁ~」」」」」


皆がニヤニヤする、ミュリは歌がかなり上手うまくリーベルンシュタインでも指折りの歌姫と言われている。



ただ、当人は「そうか? 私はただ歌が好きなだけだがな」と照れつつも誤魔化している。


「それなら私も行きたい……のですけど明日は朝から主催者の方々との打ち合わせがありますからね……」


残念そうに言う鈴香、歌好きの冬爪さんも残念そうにしている。


「という訳で、行ってきますね」


「俺も行くよ、二人だけで出歩いてたら余計な虫が寄ってきそうだし」


「良いのですか?」


「あぁ、それに夜出歩いているのは何かしら事情がありそうだし……」


その少女の事も気になるが、二人みたいな美人が夜に出歩いたら絶対に絡まれるだろうし。いくら二人が強いとはいっても男の俺が居た方が余計な問題を起こさずに済むだろう。


「優希、これ」


ユフィが何かを投げて来る、ロケットペンダント?


「煙幕装置入りの魔道具、外して石とかの硬い物で擦ると発動する。優希は魔力探知あるし一方的に制圧できるし逃げれる」


「ありがとう、助かるよ」


俺もジャケットを羽織る。


「それじゃあ行ってくる」


皆に送り出され三人で宿を出た。



◇◆◇◆

宿を出て1時間、各所で聞き込みをしながら探す。


集まった情報は

・少女の年齢は15~6歳、髪は金色で顔にそばかすがある、服は質素なノースリーブシャツにケープを羽織っている。

・毎晩毎晩街のどこかしらで歌っていて、バーで歌う日もあれば路上で歌ってる日もあるそうだ。

・歌う曲は古い民謡からオリジナルの歌まで様々。

・時間帯はちょうど今くらいで、日付が変わる前にどこかへ消えてしまう。

・最近は二人に増えてるらしい、もう一人は18~9歳の大人。


「写真とかも無いみたいだし、難しいなぁ……」


「そうですね、足取りも不規則ですし。耳を頼りに探すしか無さそうですね……」


「救いは毎日どこかに出現してる事ですね……」


ぐるぐると街を巡る、空振りかと思いつつ歩いていると物陰から人が飛び出してきた。


「あわわわわ!? すみませ~ん! どいてぇぇぇ!!」


突っ込んで来る少女、避けるは良いが彼女もバランスを崩している。


「ほいっと……」


倒れ込みそうになる少女を受け止める。


「アリス!?」


「もう一人の女性が驚いたような声を上げる」


「まてぇぇぇぇ!!」


路地裏から男の声が聞こえる。


「「!!」」


「おにーさんごめん!」


「ほらアリス、早く!」


「ちょっと待って!」


走りだろそうとする二人を止める。


「な、なんですか!?」


「追われてるなら、この物陰に隠れて」


「「えっ?」」


「ミュリ、頼む」


「はい!」


ミュリが二人を物陰に隠す、そのタイミングで黒色のカバーで物陰を覆う。


「エアリスはこっち」


エアリスを抱き寄せて口を合わせる、エアリスも俺の首に手を回し深く口付けを交わす。


「クソッ逃げ足が速い!」


「全く、困ったもんだ……」


「クソッ、こんなとこで盛りやがって……」


黒いスーツを着た男が数名走り去る、途中で俺達の方を見ていたが声をかけられることも無く素通りして行ってくれた。


「……ぷはぁ、もう大丈夫そうね」


「あぁ……、っつふぅーーーーー」


身体に残る熱を出す、クールダウンしながら物陰の覆いを外す。三人共顔を赤くしながら物陰から出て来る。


「と、咄嗟の事は言え、姫様流石に激し過ぎかと……」


「あら、良いじゃない。お陰であの追手はこちらをよく確認しなかったもの♪」


「そういう事ではなくてですね……」


「はわ……はわわ……」


「……ゴクリッ……」


「二人も、興味津々みたいだしね♪」


「エアリス、やめいっ」


「わぁいたぁ!? ユウキ様酷いです!」


ニヤニヤしているエアリスを止める、流石に揶揄い過ぎだ。


「流石に揶揄い過ぎだよ、ミュリはああ見えてピュアなんだから」


「むぅ……ユウキ様は私が純真では無いというのですか?」


「……ノーコメントで」


ぽかぽかとじゃれついて来るエアリスを宥めながらまだ呆けている二人に向き直る。


「それで……出来れば事情を教えてくれないかな?」


二人に優しく笑いかけるのだった。


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