第22話:耀初めての探索④ ※残酷描写有り
それからは俺が道中のモンスターをさくっと片付けボス部屋の前まで来た。
「とうちゃーく、じゃあ耀さん準備はいい?」
「良いけど…私の事で驚いてたけど優希もそれなりにチートじゃない…」
「へ?」
「いやいや貴方、ナイフに魔力流して当たる直前に方向転換して急所に刺すって…」
「ああ、耀の魔法を見てて思いついたんだ」
「参考に聞くけど…どうやってやるの?」
「持ち手の部分にストーンバレットをくっつけて、後は誘導型のストーンバレットとして使ったんだ」
「成程…ねえ優希そのナイフ借りていい?後その剣も」
「ナイフは良いけど、剣は流石にダメ」
「だめかぁ…」
「うん、今回のこれは借用品だからね、耀がやろうとしてる奴はもう少し短めで太い剣でやる方がいいよ」
「ありゃ、ばれてたか…」
「そりゃ話の流れでね、ナイフは自前のだから折っても大丈夫だよ、強化魔法もかけとくから思いっきりやっていいよ!」
「わかった!」
話を終えると、俺は取り出したナイフに強化魔法をかけていく。
「さぁ、耀これを使って」
「ありがとう、思いっきり行くわ!」
二人で扉を潜る。
◇◆◇◆
室内は奥行きが大体30mくらい、高さが15mくらいの広さの空間だ
5体のスケルトンと4体のコボルトが居る。
開いた時の音でコボルトはこちらを向く。
「「「ぎゃうぎゃうぎゃおーん」」」「きゃうんきゃうん」
「「ガウガウ」」「ぎゃうぎゃう」「きゃうきゃう」
「耀!来るよ!」
「わかったわ!『強くしなやかな堅牢なる石の腕よ、我が新たな腕となり剣を構えよ』————巨兵の腕!」
耀の持っていたナイフが空中に浮き、石を纏って行く、その姿はまるで空中に新たな腕が出来上がった様だ。
そうして出来た腕と連動した耀の腕によって次々と、コボルトの皮膚が切り刻まれ、ガードが緩んだタイミングで急所にナイフが突き立てられる。
凄いな…しかし、耀の人の想像力は流石だなぁ…
そうしてコボルトはボロ雑巾の様になり、耀によって止めを刺される。
「さて…次は、スケルトンね」
のそのそ動いて近づいてくるスケルトン、コボルトが倒されても未だに10m以上向こうを歩いている
そう言って耀はストーンバレットを構成していた石を元に戻す。
「手前の二体は……『石の弾丸よ、私に従い翔けよ』————ラインバレット」
耀によって放たれた攻撃で2体のスケルトンは頭蓋と核を砕かれた。
後の3体だが、下っ端の2体は普通のスケルトンだが、リーダーっぽいやつは表面が皮で加工された胸当てをつけていて胸の核は隠されている、そして兜まで被っている。
「ねえ、優希。このナイフってあのボスの胸当て貫ける?」
「うん、強化魔法あるから貫けるけど…多分核まで刃が届かないよ?」
「大丈夫!秘策があるから」
「まずは『数多の石の弾丸よ、私と共に踊りましょう!』————バレットダンス」
少し細かくなった多くの石礫が耀の周囲を舞い、耀の手の動きに誘われスケルトンへ襲い掛かる、砕かれた胸骨に核に刺さった大量の石礫により2体のスケルトンは崩れ落ちた。
「さて!最後は…魔力を!いっぱい込める!『我が魔力を用いてその巨大な槍へと姿を変え穿て!』ヒュージロックランス!」
3m程の石の槍を作り出しそれを最後のスケルトンへ向けて放つ、先端に俺の貸したナイフがちょこんとついてるけど…それいる?
案の定質量にて砕かれたスケルトンは見る影もなく粉々になっていた、どう考えてもオーバーが三つつくくらいオーバーキルである。
「ふぅ…疲れた」
やり遂げた様なスッキリした顔で額の汗を拭う耀、まあ当人が満足ならいいか…
「耀さんや…最後のあれナイフいる?」
「いる…と思う!」
「いやいやあの技オーバーキルもいいとこでしょ!見てよ!粉々ですよ!」
「てへっ☆」
「可愛い!(かわいい!)」
「まあ、あれは私も張り切りすぎたと思うわ…」
「あんまり多く魔法を使っちゃうと帰りが大変だし、今後は気を付けること」
「はーい」
「はいじゃあお説教終わり」
「今のお説教だったの?」
「一応そのつもり、無理されても心配だし」
「わかったわ、無理しないように気を付ける」
「よろしい、じゃあ帰ろうか」
ちなみに帰りは俺がモンスターを掃討しながら出口まで向かうのであった。
ダンジョンの外に出て休憩所の戻ると、約束の時間より早いが布良さんが迎えに来ていた。
「あれ?布良さん?1時間程早くないですか?」
「美魚さん、早いですね」
「優希様に耀様、そちらこそお早いお戻りですね」
「耀が大活躍でしてね、戻りが早かったんです」
「そうですか、優希様、耀様お時間ありますし、併設のシャワールームをご利用になられては?」
「え?そんなのあるんですか?」
「はい、今日みたいな人の少ない日はシャワールームが利用可能です」
「へぇーじゃあ耀、せっかくだし行ってくれば?」
「やったー!ダンジョンの中は涼しかったけど、砂埃や汗かいちゃいちゃったし、行ってくるわ!」
「耀様、タオルなどもお持ちしますので、こちらへどうぞ」
そう言って二人は連れ立ってシャワールームへ向かっていった。