第12話:依頼完了と脱出ゲーム
「それじゃあ、ラティティ・トリアス・フィディさん、二人をお願いね!」
「お任せください!」
「はい! ユウキ様もお気をつけて!」
「お任せください、ご主人様」
三人共恭しく敬礼をしてくれる。
「さて、それじゃあ。二人共仕事を任せる形になっちゃうけどお願いします」
「あぁ、任せろ。儂の知識がどこまで使えるか知らぬが、領地持ちだったからな」
「私もお父様と共に頑張りますわ!」
二人共、こちらに来た時より顔色が明るい。そんな二人に手を振り、俺は元の世界に戻った。
◇◆◇◆
「ただいまー」
「おかえりなさイ、早かったですネ」
家に戻るとメアリーが朝食の仕込みをしていた。
「あぁ、滝夜叉姫もすんなり応じてくれたからね」
「それは良かったでス。夕食ハ?」
「うん、もらうよーお腹減ったし」
「かしこまりましタ、それでは準備しますので手洗いうがいをしてきて下さイ」
「了解、ついでに汗も流してくるよ」
「かしこまりましタ、おひとりで大丈夫ですカ?」
ニコリと笑うメアリー、よく見ると目が少し薄く開いている。
「あー、〝お風呂〟は大丈夫」
「そうですか、残念です」
シュンとするメアリーに笑い、洗面所に向かい手を洗いうがいをする、ついでに汚れた服を洗濯機に放り込んでおく。
「さて、これで大丈夫かな?」
タイマーセットしたのを確認してシャワーで汗を流した後はリビングに戻り食事を摂る。
「んー、美味しい」
「こちらは春華ちゃんがこちらは耀さんのですネ。そのおひたしは私が作りましタ」
「メアリー、また腕を上げたなぁ……」
「ありがとうございまス、優希さんが食べてくれるのデ。張り切って作り甲斐がありまス」
「そっか、じゃあ期待できるな」
「ありがとうございまス」
よく手入れされてるメアリーの髪を撫でながら食事を進める、そして食事を終えて一緒に片づけをしてから寝室へ向かった。
◇◆◇◆
「それで、優希君。事態は解決したの?」
翌日の放課後、俺は将門さんの首塚で綴さんと会っていた。
「はい、これで終わりですっ!」
草薙剣を地面に刺し将門さんの魂とダンジョンの繋がりを斬る。滝夜叉姫も将門さんの魂を通じて魔力を引き出していたのでそれの分離も昨日終えている。
「しかし、私も想像できないわよ、私達が話していたのが〝本物〟の平将門なんて」
「そうですね、俺もですよ。怖いイメージがあったんですが実際会ってみると良いお父さんでしかなかったですし」
二人で線香に火をつけ手を合わせる、魂を分けたとはいえ半分の魂はこの首塚に戻っているのだ。
「お父さんねぇ……久々に私も両親へ連絡してみましょうかねぇ……」
「それが良いですよ、父親としては娘の声が聴けるのは嬉しいと思いますし」
将門さんも滝夜叉姫と一緒の時は嬉しそうだったし、俺だって優羽と話してると嬉しいし。
「へぇ~父親らしくなってるじゃん」
「あはは……凄く手探りですけどね」
「じゃあそんなお父さんに。新しいお仕事の依頼があるのよ」
「え゛っ……」
良い顔で言う綴さんに凄く嫌そうに返す、このタイミングで言うという事は凄く面倒な依頼だろう。
「あはは……そんな嫌な顔をしないでよ。それに今回は優希君じゃないとどうにも出来ない感じがしてるのよ」
「そうなんですか……内容を聞いても?」
「えっとね……」
綴さんから話される話は、凄く奇怪でよくわからないものだった。
◇◆◇◆
「んんーっつ! やっと着いたわね」
おもいきり伸びをする皆、流石に車で4時間は身体が凝る、皆に回復魔法をかけながらバスから降りるのを手伝う。
「そうだねぇ……。それにしても、もうお昼過ぎかぁ」
綴さんの依頼を受けてやって来たのは高山、ここから噂の村へ向かうのだ。
「とりあえず、お昼を食べたら向かおうか」
「「「「「はーい!」」」」」
それから昼食を食べ再度移動をした後、目的の村へ到着した。
「ここが失踪事件の発生する村……」
「いたって普通よね?」
「ん、魔力の乱れも無い、魔法は使われてないみたい」
「そうだねぇ、霊力や妖力も感じないよ」
「特に変なにおいもしません!」
皆が一様に異常なしと伝えてくれる、俺も特に問題は無いと感じる。
ただ……村と聞いていたが、人が多い。若い女性が主だが男性もそこそこ居る。
「さて……いつまでも立ってる訳にいかないし、受付けはしないとね」
「そういたしましょうか」
皆で宿泊の手続きと、脱出ゲームの受付をする。どうやらこの脱出ゲームが今回の問題の様だ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
◇???side◇
「さて……今回の餌も数が多いな、しかも皆微妙だな」
「すみません、最近は噂が流れてまして……」
「ふむ……少しやりすぎたか?」
「愚考するに、今の時代噂が流行るのが早いので危険視されているかもしれません」
「そうか、ではさっさと今回の餌を食って別の場所で居を構えるか……」
「はっ! 目星もつけておりますので」
「わかった、では今回のゲームを始めようじゃないか……」




