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【第12回ネット小説大賞 受賞】【コミカライズ化決定】異世界から帰ったらこっちの世界にダンジョンがあるんだけど!?〜モテたいのでダンジョンで頑張ります〜【祝200万PV突破】  作者: ふぇありす
第8章【京都陰陽師編】

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第78話:結菜②

「だから、私! 優希さんの事が好きなので! 嫌じゃないでしゅ!」


最後に盛大に噛む結菜、ぽかんとして見ていると酒吞童子に変わる。


「恥ずかし過ぎたのか、引っ込んでしまったぞ……ほれ優希殿、結菜を表に出すから答えてやれ」


そう言って引っ込む酒吞童子。


「ふぇあ!? 酒吞童子さん!? 戻れない!?」


狼狽しながら変わろうとする結菜、その前に俺は立つ。


「あー、結菜……話聞いてくれるか?」


「ひゃひゃい!?」


「えっと、結菜は俺で良いのか? ほかに好きな男とか居ないのか?」


「いえ……私が好きなのは優希さんです……」


今にも溶けてしまいそうな位の真っ赤な顔をして答える結菜。


「俺は今聞かされたから、結菜に対して恋愛感情とか無いけど良いのか?」


そう言うと、少し悲しそうな顔になる。


「あでっ!? 里菜!?」


そこには少し怖い顔をした里菜が立っている。


「優希さん、私の時を思い出して」


そういえば、里菜の時も俺が里菜に恋愛感情があるか無いかの所から始まったな。


(結菜は可愛い……うん、可愛いと思うし、頑張り屋な所も良い。それでいて頼ってくれたりこうして全幅の信頼を置いてくれてる……)


それから考えれば考える程、結菜に対して自然と好意を抱いていたのがわかる。


「うん、考えてみると。俺は結菜の事が好きだな」


「優希さ……ん……?」


「改めて言わせてもらうよ。結菜、俺と結婚してくれないか?」


俺がそう言うと、周りの奥さん達がニヤニヤしてくる。


「けっ……k……きゅう……」


「結菜!?」


菜緒さんと同じ様にキャパオーバーになった結菜を受け止めた。



◇◆◇◆

「という事で、娘さんを俺に下さい!」


結菜と菜緒さんの気付けをした後、改めて結菜のご両親に頭を下げる。


「あぁ、娘を頼む優希君」


「頼みますわね、優希さん」


すんなりとOKを貰い少し拍子抜けをする、もっと家柄ガーとか血筋ガーとか言われるかと思ったんだけどね……。


「えっと……本当ですか?」


「いや、優希君なら別に問題無いし、むしろ歓迎だ」


「えぇ、結菜が認めた相手ですもの。それに悪い人じゃないのは身をもって知っていますので」


ニコリと笑う菜緒さん、結菜とよく似た笑顔だ。


「さて、それでは話が進んだな?」


結菜から切り替わった酒呑童子が話を始める。


「それでは話を戻そう、この家に古くから陰陽道に伝わる書物などはあるか?」


「それなら、蔵の方にあるが……何かあるのか?」


「あぁ、妾の憎き仇の1人が遺したものならば、きっと優希殿の力になれるだろう」


「そうか、ならば早く行かないとな……」


結弦さんが立ち上がり蔵へ案内される、鍵が開けられ中に入る。


「ここが土御門家の当主たちが遺した書物だ……」


次々と手に取り中を見る、文字が古すぎて全く読めないが、酒吞童子はスラスラ読んでいく。


「これでは無い……これでも無い……これは陰陽術の欠片も書いて無いでは無いか……」


「酒呑童子は何を探してるんだ?」


「あぁ、土御門の家祖である、安部清明の秘術書よ。そこに書いてある術がお主たちに役立つと思ってな……あぁ、これも違う!」


「安倍晴明の書……俺も思い当たる節を当たってみる」


「あぁ、夕刻までには戻れよ、少なくとも鬼道の対策で必要な子作りをするからな……」


ニヤリと妖しく微笑む酒吞童子、結菜の見せない艶のある表情に心臓が跳ねる。


「わ、わかった……じゃあ!」


逃げる様に蔵を出るのだった。


それから一条さんに電話すると一条本家にそれらしき本があるとの事だ。


「あーでも……私、今仕事で東京に戻っているんだ……」


「どこですか?」


「えっと……今日の仕事場は東京大神宮だけど……」


「仕事って終わりました?」


「あ、あぁ……って、まさか!?」


「今から向かいますね」


話してる間にも転移で自宅へ飛ぶ、東京大神宮の場所を調べ空へ翔けだす。


◇◆◇◆

「おぉ! これだこれだ! まさか土御門の家では無くこちらにあるとはな」


「良かった、見つけたんだね」


「あぁ、一条殿にもお礼を言うぞ!」


「は、はい……ねえねぇ上凪殿、彼女、土御門の子だよね? なんか凄い変わってない?」


「あーあはは……彼女、少し熱が入ると我を忘れちゃうんで……」


「そうなんだ、君も難儀だねぇ……」


「あはは……それであの本って何ですか?」


「あぁ、あれはね簠簋内伝金烏玉兎集ほきないでんきんうぎょくとしゅうという本で清明自身が編纂したと言われてる本なんだ。ちなみにあれは一般に公表されてない第0巻で呪術や鬼道に始まり霊術や巫術までその時代に伝わっていたり発見されたものが収録されているんだよ。そして、今でも新しい紙が追加されて収録されているんだ」


少し熱の入った早口で説明をしてくれる。


「へぇ……だから後ろの方が新しい紙なんですね」


「あぁ、それに不思議なんだけど。特定の場所に保管していると劣化しないんだよあの本」


確かに1000年以上経ってるのに劣化がかなり少ない……。


「マジですか……凄いですね……」


「全く不思議でならないよ」


「というか、今更なんですが……そんなもの借りても良いんですか?」


「構わないよ、上凪殿なら壊しても直せるだろう?」


ニヤリと笑う、まさに壊して直してくれとでも言いたそうだ。


「あーあはは……気をつけますね」


苦笑いをしながら一条さんを送るのだった。


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