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第70話:副署長さんと生き返る二人。

「さて、人払いも済んだね。初めまして上凪 優希君。私は宇治警察署の副署長を務めている滝原と言う。それと、姫崎君お久しぶりだね。相変わらず元気そうでなによりだ」


大きな手で握手をされる、朗らかな笑みを浮かべていて人当たりが良さそうだ。


「はい、副署長もお元気そうで何よりです」


「それで、上凪君、土御門家のこの事件どうして現場が見たいと言ったんだい?普通ならば関係者以外は立ち入り禁止なんだけど……」


「はい、まぁ色々とあるのですが……まずは先にこっちを済ませない……っと」


「んなぁ!?」


二人の棺を取りだすと、滝原さんが目を白黒させる。


「それじゃあ……っとと。まずは身体の再生をしないと……」


棺の蓋をささっと外し、死装束の紐を外す、結菜のお父さんは頭を引きちぎられている、正直見ていて気分のいいものではない。


「うっ……」


「これは酷い……」


「ですね……サッと治しますか……『——復元ヒール』」


復元魔法をかけると顔が戻り、ちぎられた首が綺麗に付く。


「よし。これで終わり次は結菜のお母さんの方だね」


こちらも死装束の紐を解いて行く、顔が拉げ肩口から大きく刃物で両断されている。


「この感じ……刀ですかね?」


「かもしれないな、これだけ斬れる刀があるとは思えないが……」


「うーん……今現存してる刀って全部美術館にありますか?『——復元ヒール』」


質問をしながら身体を治す、それから姫崎さんに着物を整えてもらう。


「ふむ、今一度調べてみよう」


「ありがとうございます、それじゃあ最後の仕上げ……『運命の輪の中、悔い残した者よ、その魂を神の奇跡をもって呼び戻そう!————リザレクション』」


静かに唱えると二人の元に光の珠が吸い込まれる、そして二人が目を覚ます。


「そんな……」


「まさか……」


「うぅ……私は確か死んだはず……」


「結菜!? 結菜どこなの!?」


信じられないと言った顔の結菜のお父さんと、結菜を探すお母さん。


「お久しぶりです、結弦ゆずるさん」


そう言うと俺と目が合う、俺を認識したのか縋りついてくる。


「上凪君、結菜が!」


「えぇ、大体の事は把握しました。情報が欲しいので、まずは着替えませんか?」


死装束を指差す。


「そ、そうだな……」


「菜緒さんも、まずは落ち着いて下さい」


「で、でも!」


「今は情報が少なすぎるので、早く結菜を追う為に情報が欲しいんです」


回復魔法で精神を和らげつつ落ち着ける。


「わかったわ……ごめんなさい」


「大丈夫です。ついでに家も直しちゃいましょうか……『——復元《元に戻れ》!』」


すると襲撃の痕が嘘の様に元通りになる、その中で不思議な物を見つけた。


「これは……烏の羽根か……」


烏という事は結菜の式神の信乃だろう……そういえば信乃はどこに行った?


「姫崎さん、今って心……西園寺さん起きてますか?」


「いえ、恐らく眠っているかと……相当お疲れの様子でしたし」


「そうですか……先に確認しとくか……来い与一!」


与一を呼び出すと人の形のまま膝をついて出て来る。


「はっ! 我が主どうなされましたか!?」


「少し聞きたいんだけど、式神って俺との繋がりはそっちからはわかるの?」


「はい、そうでなければ呼びかけに応えれませんので」」


「そうか、わかった。凄く頼りになったよ」


そう言って頭を撫でるとくすぐったそうにする。


「あ、あの……それは一体?」


姫崎さんが驚いた顔で聞いてくる。まぁ後ろに居る皆さんは付いてこれなくて呆けてるんだけど……。


「あぁ、与一は俺の式神です、陰陽術を学ぶ時に契約したんです」


「式神……と言う事は君は陰陽師なのか?」


帰って来た結弦さんが聞いてくる。


「えーっと……陰陽術を学びはしましたが、陰陽師という訳では……」


「そ、そうか……」


少し落胆した顔をする結弦さん。


「あぁ、でも一条さんには認められましたね」


そう言うと目を輝かせる結弦さん、情緒不安定なのかな?


「それよりも、お二人共先ずは着替えて下さい。そろそろ買い出しに行った人たちが戻ってきますので死装束それじゃあ驚かれちゃいますので」


そう言うと、二人共気付いたのか家の中へ入って行った。


「さて……副署長さん、さっきまでの事は俺の重大な秘密なので、おいそれと見せるのは不味いのですが……」


頬を掻きながら申し訳無さそうに言う、流石に公的に死んだ人間が生き返ってるし手は貸して欲しいけど……。


「わかった、こちらでも口裏を合わせよう。司法解剖も死亡届も誤認だったとする。君には借りがあるからね」


そう言って朗らかに笑う、借りって何だろう……。


「ありがとうございます。助かります」


「大丈夫だ、今回の事件はこれ以上私達が出る必要は無さそうだな……事件も起きて無いし誰も死んでない……任せたぞ」


「はい、任せて下さい」


それから副署長さんは、買い出しから戻ってきた二人と一緒に帰って行った。


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