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第59話:豊穣神①

「それではユウキ様、私達はここで」


「あぁ、任せたよ皆」


現在二ノ峰までやって来た、ここからは救助者を探すグループと一ノ峰を目指す。


「しかし、凄い成長具合よね……」


「あぁ、どれもこれもエルフの森並みの大木だな」


「ん、しかもまだ成長してる」


「本当ですか……このままだと土壌の栄養が吸い尽くされたり、多すぎて根が張れてない木が倒れてしまいますわね……」


「ん、エルフの森はエルフが管理していて、植林から間伐や枝落としまでやってる」


「確かに、綺麗だったよねあの森、光の差し込み具合も十分であったかかったし」


神楽坂さんの言葉に俺も頷く、あの泉に浸かっててもそこまで体が冷える事はなかったし、むしろ温水プールみたいで温かったもんなぁ……。


「じゃあこれ、ぐらついてるのは斬った方が良いかな?」


「ん、流石にそこまで手が足りない。異変を解決する方が優先」


「そうですね、私達じゃ数千本の中から優希おにーさんとユフィさんに弱いのを選んでもらいながら、それだけを斬っていくのは手が足りませんよね……」


すると、里菜が先程から考え込んでいる。


「里菜、どうした? 何か気になる事でも?」


「今回の原因に思い当たる節が……確証は少ないですが……」


「え? マジで?」


「はい、ここに祀られている『宇迦御魂神ウカノミタマノカミ』様は古来より穀物神として人々に親しまれている神様です、そして豊穣神であれば穀物等の生命を司ります」


「でもそれだと、五穀豊穣と直接の関係無い人間や樹木にも影響が出ているよね?」


「そうなんです、ですのでこれだという、確証を持てないのです」


「ん、それは説明がつくかも」


「「そうなの(ですか)?」」


俺達の話を聞いていたユフィが振り返る。


「ん、恐らくダンジョン化するにあたって本質が変化してる」


「本質の変化……そんな事ありえるの?」


「ん、そのこちらの世界の物語や書記から顕現したのものはわからないけど、私達の世界では鉱山であった場所がダンジョン化して金属の性質を有したモンスターが生まれたり、食すモンスターが生まれた」


「じゃあつまり、今回の影響下が大きくなったのって……」


「女性は子を産む、樹木は恐らく商売繁盛の部分が関わってる」


パンフレットを取りだしたユフィが見せて来る、確かにそこには商売繁盛も描かれている。


「それと民間信仰の対象でもあった、そうなると昔は子宝の恵みを望む人や子供の成長を願う声もあったはず」


ユフィさん……大分、日本に詳しくないですか?


「凄いですねユフィさんは……日本人の私よりも詳しいですね……」


「ん、エルフは世界樹信仰、子供の成長を願うお祈りも安産の祈願も世界樹に願った、日本のアミニズムと似通う点があったから理解が早いだけ」


「そうだったんですね……」


「つまり、信仰をおあつらえ向きに変化しちゃったモンスターがこのダンジョンの上に居るって事か」


「恐らくそうですね」


「ん、多分そう」


「話、通じるといいなぁ……」


一抹の不安を抱えながら一ノ峰に到達した。



◇◆◇◆◇◆◇◆

 ◇ツクヨミside◇

「Zzz……はっ!? 忘れてた忘れてた……」


お姉ぇに管理を任された私は、あまりに暇&昼間で、つい眠ってしまっていた……。


「危ない危ない……今は地上の龍脈の流れが滅茶苦茶だからあんまり目を放したらいけないのに……」


―――――ウーッウーッ!


「はひゅう!? け、警報!? ど、どこが!?」


ディスプレイを見る、すると稲荷山で大規模な龍脈溜まりが出来ている。


「どどど、どうしよう!? そ、そうだ!」


慌てて椅子を降りて素体の所に走る、疑似神格を搭載して……。


―――――ウーッウーッ!


「あぁぁぁあ! ちょっとまってぇ!! ……あっ」


射出ボタンを押してしまう。


「送り出しちゃったぁ!?」


稲荷山に落ちていくAI未搭載の素体そして、突発的に魔力が弾けた。


ポリポリと頬を掻く、コンソールの痕が顔についている。


「あ、あれぇ……私、やっちゃいました?」


案の定地上では異変が発生している、豊穣神の役割を持たせたせいかとんでもない事になってしまった。


「ともかく……優希さんがあの素体を一発ぶん殴って正常にしてもらわないと……」


変質した疑似神の姿をディスプレイに見据えるのだった。


◇◆◇◆

「よしっ、到着っと」


一ノ峰に到着する、そして目の前には妖しく宙に磔となった巫女さんが居る。


「優希……あの人……」


「あぁ、理映と同じ様な魔力だ」


神気とでも言うのだろうか、理映が神様の力を使って何かを起す時に似通っている魔力だ。


「でも、動きませんね……」


「そうですわね、ただ魔力を垂れ流してる状態ですわね……」


リリアーナが血戦装衣を纏った状態、里菜も魔法鎧を纏い剣を構える。


「優希さん、あの方の足元に人が……」


「あぁ、俺と春華で守りに入るから里菜と鈴香で倒れてる人の回収を……」


出来るだけ刺激を与えない様に足元に近づき倒れている人を回収する、皆息はある様だ。


「ユウキ様、私が負傷者の皆様を届けますわ」


リリアーナが躁血魔法で倒れている人を抱え上げる、だが全員は抱えられないみたいだ。


「私が運びますわ」


「私も手伝うわ」


残りの2人を抱える里菜と鈴香。


『優希さん、二ノ峰にアミリアさん達が向かってます。そこで受け渡しが可能です』


ドローンから巴の声が聞こえる。


「わかった。リリアーナ、里菜、鈴香頼んだよ」


「えぇ!」「はい!」「任せて!」


三人が山を降りていった。

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