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第50話:着物選び②

耀の着物は結局、俺が選んだものに決まった。耀も「着てみると案外悪く無いわね。優希も好きそうだし、今度から私生活でももう少し赤色の服を選んでみるわ」と少し上機嫌に言っていた。


「あのぉ……ユウキ様? よろしいでしょうか?」


控えめに声をかけて来たのはエアリスだ。


「どうした? 困った事でもあった?」


「あ、はい。実は髪型に悩んでおりまして……」


「髪型かぁ……えっと、どういった所で悩んでるの?」


「はい、わたくし髪が長いじゃないですか、ですので編み込みのサイドテールかポニーテールで悩んでるのです」


髪を持ち上げながらどちらが良いか聞いてくる、エアリスの綺麗な銀髪だとどちらも似合いそうだな……。


「ふむ、着物は選んだの?」


「はい、純和風な着物が良いと思ったのですが、こういったレースをあしらった物が気になりまして……」


手渡されたのは薄墨色に黒と白のレースがあしらわれたゴシックモダンな着物だ。しかも全体に黒の刺繍が施されている。


「そうだなぁ……サイドテールにしたら? 髪はカットしても後で調整できるし」


銀糸が散ったみたいで綺麗だろうし、何よりゴシック風の着物だからいつもとがらりと変えても良いだろう。


「それでしたら少しカットして、リボンなどを編み込ませてもらいましょうか。テレビで見た方がやっておりましたので少し興味があったんです」


「そっか、だったらせっかくだし試して来なよ」


「そうですね。わかりました!」


そう言ってメイクルームにへ向かって行った。


「この調子で、全員分来そうだな……」


殆どが異世界組だし、今だに皆悩んでいる。こっちから聞いて回った方が良いかもしれない。


まずは近くに居るアミリアとミュリのコンビへと向かう。


「二人共、決まった?」


「「ユウキ(か)」」


「なんか少し悩んでるみたいだったし、相談に乗って回ってるんだ」


「そうなのね、丁度良いわ。ユウキはこの綺麗な花のと、シックな感じのどっちのが良いかしら」


「私達はこう……無骨だろ? だからシックな方が似合うと思ってるのだが……」


チラチラと華やかな着物の方を見る二人、選んでいいと思うんだよなぁ……。


「じゃあ、二人に合うの俺が選ぶよ」


「いいの?」


「うん、丁度似合いそうだな~っての見つけたし」


薄目な桃色に様々な花の柄が散りばめられたのをミュリに手渡す、少し驚いたような顔をしている。


「それと、アミリアはこれ」


薄水色の下地に小さな牡丹が複数咲くのを選ぶ、エアリスの緋色の髪と合わせると大輪の華が咲くように見えるのだ。


「い、良いのかしら……」


「二人共綺麗なんだし遠慮しないでよ、二人が綺麗だと俺も嬉しいし」


そう言うと受け取った二人にも花が咲く。


「そ、それじゃあ着替えてくるわね」


「あぁ、行こうアミリア」


二人共少しそわそわしながら着付け部屋へ向かった。


「あの、ご主人様」


その声に振り返るとシアとクロコが居た。


「どうしたの? 選んだ?」


「あっ、いえ……僕達が着ても良いのかなぁ……と、思って……」


「凄く綺麗ですし……」


少し困惑している二人、特にクロコは人が多い所で少し委縮してしまったのか入店時も影に潜んでたもんな。


「いやいや、ちゃんと着替えてもらわないと。俺が二人を差別してるみたいに思われちゃうからね」


「で、ですが私はユウキ様の奥方様でも無いですし!」


「いやいや、それこそ優羽も着るし。クロコは普段、勉強も頑張ってるんだからご褒美だよ」


クロコは今、学校に行く為、毎日紡家でシアのメイド教育と共に小学校の低・中学年の教育を受けている。


「でも私、影に……」


「うーん、じゃあ今日は影に隠れるの禁止で、クロコはこれね」


「ふぇえぇ!?」


「んで、シアはこれにしようか」


「んなぁ!? あ、足が!?」


手近に用意してあったゴスロリ風の着物を出す。この間話を受ける際に、着物をピックアップする資料として渡した写真を見た桔梗さんが興奮しながら作った奴だ。


朝まで作っていたらしく、今日は気絶した様に寝ているらしい。


「一応これ、二人用のを牡丹さんの娘さんが特注品で仕立てたものなんだ、出来れば着てあげると多分……いや、凄く喜んでくれるよ」


「で、でも僕、こんな足を出したのは……」


「いやいや、異世界で着てた服はショートパンツとかだったじゃん」


「それとこれは話が!?」


「一応パニエとニーソはあるみたいだし、見えないよ?」


というか、他人には見せたくないし……。


「っつ~~~~僕がこれを着たらご主人様は喜びます?」


そう言われ見比べる。絶対可愛いだろうしなぁ……というかシアにゴスロリ着せたかった……ゲフンゲフン!


「うん、すっごく似合うと思うし俺は喜ぶよ」


「っつ!! わかった……着ます……」


「よっしゃっ!」


「ご主人様のスケベ……」


俺のガッツポーズにジト目を返してくるシアだった。


「それでクロコは……だいじょうぶ?」


「ふぁ……ふぁい……こちらの世界に着て少し見慣れたとはいえ、明るすぎる色のなのでビックリしてしまいました……」


シアのより少し小さめだけど甘ロリ系のピンクと花柄を中心にした着物を渡す。


「こ、こんな凄く派手な物を着るのですか?」


「うーん。本当に嫌ならもっと大人しめのがあるけど……どうする?」


視線を床と、着物で行ったり来たりさせている、なんだかんだ可愛い物好きなクロコは興味があるようだ。


「じゃあ、こっちの普通のにする?」


普通の子供用を見せる、少し悩んで決めた様だ。


「こ、こっちの可愛いのにします……」


おずおずと指をさし、甘ロリ系を選ぶのだった。


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