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第47話:鬼一法眼

光が収まると、目の前には少し体の小さくなった天狗さんが居た。


「お、おぉ……少し視点は下がったが、生命力が我の身体に溢れておる……」


「おぉ……これが優希殿の式神に起こる変化……」


「ふむ、主よ少し飛んでも良いか?」


「良いけど……遅いと用事があるから先に帰るよ?」


「あいわかった。それならばいい機会だ、共に下りて寺の住職と話してくるか……。それと我はここに居るから必要な時は呼び出してくれ」


「了解、一条さんはどうします?」


キラキラした目で天狗さんを見る


「私は彼の話を聞いてくよ、それにこんな素晴らしい式神と話さずにはいられないからね!」


「わかりました、それと……天狗さんの名前どうしよう」


いつまでも天狗さんじゃ呼び辛いよな……。


「うーむ……我が家に仕えるかくぎょうは昔から呼ばれている名だし、大百足は昔あったみたいですが今は当人も思い出せないとの事です」


「大百足……まさかお主、藤原 秀郷ひでさとの子孫か?」


目を見張って問いかける天狗さん、藤原秀郷……藤原秀郷……何だったけなぁ……聞いた事はあるんだけど……。


「あーそうですね、血は薄まってますが一応遠い祖先ですね」


「そうかそうか! 子孫の1人が牛若の世話になっていたとは聞いておってな」


「あー……佐藤家ですね、遠縁ですが今でも子孫は居ますよ」


「うむ、いずれ会いたいものよ」


うんうんと頷く天狗さん、まぁ義経の時代を色濃く覚えてるって事だし……。


「やっぱり、鬼一法眼きいちほうげん?」


「んむぅ……それでも良いが、法眼は坊主の位の事だぞ?」


「そうなんだ、じゃあ鬼一きいち?」


俺がそう言うと大きく頷く。


「そちらのが良かろう」


「わかった、これからよろしくな鬼一」


「応、任せろ」



◇◆◇◆

それから皆で鞍馬寺まで降りてくると、鬼一の姿を見た観光客達が悲鳴を上げる。


「そっか、一般人には鬼一の姿は驚かれるか。異世界で色んな人種と会ってるから普通に対応してた……」


「そうだな、私も式神という事で興奮していたが、鬼一殿の姿は一般の人には恐れの対象だったな」


「むぅ、そうか……では主、違和感が無い位までの姿をイメージしてくれ……」


「そう? んーっと……鼻が長いし、身長も高い、それから髪色は白髪だし外国人ぽいよな……」


色々と考えてる内に鬼一が光に包まれ姿が変わる、身長も2.5メートルが2メートル位までになり壮年の老紳士に変化する。


「ふむ……人間に混じる時はこちらのが良さそうだな、助かった主」


「うん、今は驚かれるだろうけど、認知が増えれば元の姿でも居れると思うよ」


「そうか? まぁ今はいにしえほど神や妖が人とは近くは無いからな。当然とも言えよう」


「まぁその現代も、半分くらいファンタジーが混じってるけどね……」


異世界だったり、ダンジョンだったりが混じってるからなぁ……。


「ふむ、そうなのか……なんとも面妖な……」


「私も未だに信じられないけどね……」


そんな話をしていると設楽さんがやって来た。


「皆様、お早いお帰りで……そちらの方は?」


「あぁ、こちら天狗の鬼一、鬼一法眼と言った方がわかりやすいかな?」


そう言うと、驚き目を見開く、まぁそうだよね。


「か、上凪殿……それは本当なのか?」


「みたいですよ、良く牛若丸の名前とか口にしますし」


「マジかぁ……」


設楽さん、心の声が……。


「とりあえず、俺はそろそろ予定があって戻らないといけないので二人をお願いしますね」


「えっ?」


「応、気を付けてくれ主!」


「後は任せてね~」


唖然とする設楽さんと手を振る残り二人。


「それじゃあ!」


そして俺は待ち合わせの為に風魔法で一気に山をくだるのだった。




◇◆◇◆◇◆◇◆

 ◇???side◇

「やってしまった……」


私は目の前のコンソールを愕然とした顔で見る、赤く表示される画面には【緊急事態】の四文字。


「どうしよう……」


鳴りやまない警報、点滅する文字。


「そうだ、マニュアルを貰ってたんだ!」


預かったマニュアルを見る、中身を見て操作をしていく。


「あれ、ここがこうなって……あぁぁぁぁ!」


ミスを直して改善して直して改善して直して改善して……頭がパンクしそう!!


「助けてぇ理映さまぁぁぁぁ!?」


◇◆◇◆

数十分後、息も絶え絶えな私と正常に戻った画面がそこにあった……。


「うぅ……何とか直ったけど……どうしよう……」


別の世界での実験で作っていたもの混ぜ込んでしまった……。


「一応世界双方の世界には問題は無い様にリンクは切ったけど……これは不味い……よねぇ……」


地球に現れた新たなダンジョン、それは神話や過去の偉人たちの意志や魂を持ったものだ。


「そういえば……困ったときにはあの人を頼れって理恵様は言ってた……よし!」


さっそくもう一人のAIを起動して起こす。


月読ツクヨミ、聞いて下さい」


「おねぇ様? どうしたんですかぁ?」


寝起きで眠そうな目を擦りながら私に聞いてくる月読。


「お姉ちゃんはすっごいミスをやらかして、優希さんに援軍を頼みに行きます。ですのでここの保守管理は月読にお任せしますね」


「わかったぁ~」


「それじゃあいってきまっ」


「あ、おねぇさま足も……」


何かに躓き、視点が下がっていく……。


「あぁぁぁぁぁぁ!?」


私は日本へと落ちていくのだった。


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