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第43話:種明かし

こちらの世界に戻って来てすぐに、結菜ちゃんの遺体が置いてある霊安室へ向かった。


「他の御遺体もありますので、ご両親様はこちらでお待ちください」


施設の人に促され、土御門夫婦は控室に通される。


「上凪様、ではこちらへ」


通された先は綺麗で空調の聞いた安置所だった。


「それでは我々は外におりますので」


「ありがとうございます、すぐに済ませますね」


扉を閉めて、損傷具合を確認する。


(えっと……首と胸以外は過擦傷くらいか)


「そうしたらまずは……『——復元ヒール』!」


回復魔法を唱え傷を修復していく。


「よし、目に見えての傷は無いから……『——鑑定』」


よし、こっちも異常は見られないね。


「最後は『運命の輪の中、悔い残した者よ、その魂を神の奇跡をもって呼び戻そう!————リザレクション』!」


蘇生魔法で魂を元に戻す。


「——あ、優希さん。おはようございます……」


「おはよう土御門さん、体の不調はどう?」


「悪くはないです、むしろふわふわして心地いい位です」


ふにゃふにゃと笑う土御門さん、問題無さそうならOKだ


「えっと、寝ぼけ頭かもしれないけど簡単に説明するね……」


西園寺さんの説得で土御門さんは自由を得た事を説明する、数秒考え込むとこれまたふにゃりと笑った。


「後で、心愛ちゃんにお礼を言わないとですね」


「あぁ、西園寺さんの説得は助かったからなぁ」


「うぅ……それにしてもここ、怖いですね……」


「そりゃ霊安室だからね」


「えぇ!?」


飛び起き上がろうとする西園寺さん、だけど身体に上手く力が入らないのか崩れ落ちる。


「ひゃ!?」


「あぶないっ」


ずり落ちそうになる西園寺さんを支える、その拍子に何故か切れていた服がはらりと落ちる。


「「えっ?」」


控え目な胸と色々なオマケが見えたけど、目を逸らしながら元に戻してゆっくりと寝かせる。


「ちょっとくらい見ても良いんですよ(ボソッ」


「あのね、嫁入り前の女性がそんな事言わないの。ただでさえそう言うのをお金持ちは気にするだろうし……」


「ご褒美ですよ、色々と動いてもらったので」


またまたふにゃりと笑う土御門さん。


「そう言うご褒美は止めてくれ……」


「むぅ……そうだ、優希さん私の事結菜と呼んで下さい」


「え? それがご褒美と何の関係が?」


「私からのご褒美です! 他にわたしがあげられるものは身体くらいなので!」


ふんすっと鼻息荒くドヤ顔をする結菜。


「ご褒美……まぁ、肌を見せられるよりはいいか」


結菜の謎理論に付き合わされ了承をする。


「そろそろ、手足の感覚がより戻って来たので起き上がれそうです」


「わかった、じゃあその前に『——復元リペア』」


服の修復を行う、斬れた服や胸元の血まで綺麗に消えている。


「よし、元通り。これで大丈夫だよ」


「ありがとうございます」


その後は結菜と別れホテルに戻り。翌日、異世界から皆を返したり、説明に追われるのだった。



◇◆◇◆

そしてドタバタの二日が終わり、終業式の日となった。


「この2週間……実際は1週間程になっちゃったけど、皆と交流が出来て楽しかったです!」


最後の訓練を終えた俺は皆を見回して喋っていた。


「俺も!」「私も!」「ありがとう上凪さん!」


皆が一斉に返してくる。


「ただ、皆は強くなったけど。過信しない様に、ダンジョン内は何があるかわからない。だから危険だと思ったり、ヤバそうな奴が居たら全力で逃げる事」


「「「「「はい!」」」」」


「後は伸び悩んだりしたら気軽に相談してね。こっちの世界に居たら連絡は取れるから!」


そう言うと皆があははと笑う。


「さて、そろそろ解散しようか。俺は少し花山院さんに呼ばれてるから、先に会場に向かってて、巴ちゃん皆をお願いね」


「仕方ないですね……じゃあ皆さん、先に向かっちゃいましょう!」


「「「「「はーい!」」」」」


そうして皆はお疲れ様会の会場へと向かって行った。



◇◆◇◆

終業式とクラス最後の訓練を終えた後、花山院さんに呼ばれ理事長室に来ていた。


「いやぁ、映像を見してもろうたけど、最高どしたわ!」


そして入室早々そんな事を言ってケラケラと笑う花山院さん、凄く上機嫌だ。


「いやいや、凄く大変だったんですよ!?」


「そうみたいやな。いやぁでも痛快や」


相当鬱憤が溜まってた様だ、愚痴を漏らし始めたかと思えば十条の家々への恨み言が次々と溢れて来る。


「ともかく全員無事帰って来れて良かったわぁ。どないな手品を使うたんやい?」


不思議そうな顔をしている花山院さん。


「えっと、簡単に言うと。もう一人用意しました」


「へ?」


「こう、身体の一部からこんな感じで再生させて……」


髪の毛を一本抜いて、そこを起点に身体を作っていく。


「わかった、もう大丈夫! それ以上はグロ過ぎて無理!」


「とまぁ、こんな感じで全員分の肉体を作ってそこに魔石を埋め込んで、結菜と賀茂さんで動かしてた訳ですよ」


「それじゃあ、声は?」


「あれは、拡声魔法ってのがありまして、録音していた音声を流して疑似的な声として発してたんです。離れちゃえば声自体はどこから出ててもわからないですし」


「えっと、それじゃあ華組の皆は最初から、操り人形で動いとったって事?」


「えっと、それもちょっと違って、最初に吹き飛ばした時に異世界へ転移するように魔法の術式を組んであったんです」


「あぁ! あの時ねぇ!」


合点がいったようにポンと手を叩く花山院さん。


「それにして、皆演技が上手かったねぇ」


「実は細川君以外、こっそり練習してたみたいですからね……」


俺も録音当日に知らされたけどね……。


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