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第32話:翌朝の上凪家

「おはよー土御門さん、迎えに来た……ってどうゆう状況?」


翌朝土御門さんを迎えに行くと、優羽とソファーで寝ている所だった。


「おはようございます優希さン、実は――」


日が変わってから起きた土御門さんと夜中に起きて来た優羽を含めて朝まで話が盛り上がったという事らしい。


「そっか……とは言っても今日学校だからなぁ……」


「そうですネ、ですので朝食が出来る迄の間という事でしたかラ。起こしていただけませんカ?」


メアリーはサラダや飲み物を並べている。


「任せて。ほら優羽、土御門さん、起きて」


二人の肩を揺すりながら声をかける、すると眠いのか優羽は少し唸り始める。


「うーん、起きない……メアリー、優羽の学校って何時からだっけ?」


「8時半からですネ、まだ2時間はありまス」


「2時間なら、もう少し寝かせるか」


「とは言ってモ、スクールバスは後1時間半で来ますヨ?」


モンスターが湧くようになってから政府の命で小中学校はスクールバスでの登校が義務化されたし。学校には数名の自衛隊員が常駐するようになった帰りは、スクールバスか送りか、親の迎えが来るまで校内に残れるシステムになっている。


「そこはほら、俺が送ってくし。飛んでけば5分で到着するからさ」


高層マンションなだけあって学校は見えている、バスだと周回の関係上時間がかかるけど飛ぶなら一瞬だ。


「………………仕方ないですネ、最近優希さんに甘えられなくて不満気でしたかラ」


「マジ?」


「大マジでス、なので昨日も優希さんのお話をしてくれる結菜ちゃんニ、色々聞いてましたかラ」


それは……大分不名誉な事も知られてそうな気が……。


「まじかぁ……春休みまで後1週間、我慢してもらえるかなぁ……」


「そう言えば以前言っていタ、御前試合というのもその時期でしたっケ?」


「そうだね、来週の金曜日にやるって」


「そうですカ、ご武運をお祈りしておりまス」


「ありがとう、その頃には皆の仕事も一段落するかな?」


ここ最近は上級のダンジョンも皆で攻略してるし、定期的な掃討もやってくれている。


「恐らくハ……でも皆様には春休みの旅行で京都に行くと言ってますし大丈夫かト……」


「もし手が足りなかったら言ってね、様子を見にくるから」


「かしこまりましタ、皆さんにもそう伝えまス」


そうメアリーが言った所で、小麦の焼ける匂いが鼻腔をくすぐる。


「それじゃあ早いけど、朝ご飯先に食べちゃおうか」


「そうですネ、後30分は起こさなくても大丈夫ですシ。今日はパンですがよろしいですカ?」


「おっ、久々にメアリーの焼いたパンか、楽しみだな」


「えぇ、お客様も来ていましたシ」


「やった、楽しみだ!」


メアリーが焼いてくれた分のパンをバスケットから取りだし食べ始めるのだった。



◇◆◇◆

「と、言う訳で土御門さんは少し待っててね。先に優羽を送って来るから」


「は、はぃ!」


朝食を食べて終え出発の準備をしている土御門さんに声をかける、先に優羽を小学校まで送る為だ。


「お父さん、準備出来ました!」


ベランダで靴を履いた優羽が俺を呼ぶ


「了解、しっかり掴まってなっ!」


「いってきまっ!!」


最後まで言う直前に飛び出す、落下による加速をつけながら魔装の羽根を広げる。


「口閉じててね!」


「(こくこく)」


加速の付いたまま風魔法で一気に飛び上がる、目まぐるしく移り変わる街並みの上を飛び学校に近づく。


(屋上なら長さもあるし人も居ないから大丈夫かな)


減速しつつ屋上に着地する、10メートル程たたらを踏みながら進み勢いを殺す。


「大丈夫だった?」


「はい、大丈夫です! 久々にお父さんの魔法を体験出来て嬉しいです!」


「それは良かった、じゃあ校庭したに降りようか」


「え? ちょ! おとうさ――」


優羽に褒められたので、そのまま羽根を羽搏かせながら校庭に着地する、周囲や登校しているちびっ子達が目を大きくしつつ唖然とした顔を見せている。


「えっと……駄目だった?」


「駄目では無いですが……皆に見られて恥ずかしいです……」


赤い顔を手で覆う優羽、確かに大注目だ。


これはやらかしたな……。


「ごめんな、無神経だった……」


「いいえ、お父さんの無神経さは知ってましたので、私の注意ミスでした……」


娘に無神経と思わるこの寂しさよ……。


「とりあえず降ろすけど、良いか?」


「はい……っとと……」


いきなり重力を感じたからだろう、倒れそうな優羽を支えると、驚いた顔の先生が職員室から顔を出した。


「おはようございます上凪さん。それと、お久しぶりです、上凪さんのお父様」


「おはようございます、教頭先生」


「おはようございます、三枝先生。娘がお世話になっております」


「とりあえず、上凪さんは教室へ、朝の会が始まりますよ」


「はい! それじゃあお父さん行ってきます!」


「気を付けてね!」


手を挙げ、そして昇降口へ向かった優羽。すぐにクラスメイトだろうか同じクラスの女子に囲まれてた。


「こほん、それで上凪さん少しお話が……」


鋭い目になる三枝教頭先生、これはお叱りかも……。


「はい、一体何でしょう……」


「実は……」


教頭先生の口から、想像していなかったとんでもない事を告げられるのだった。



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