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第28話:龍脈と式神召喚

食事を終えた俺達は再び武道場へ戻って来た。


「さて次は、先程昼食の場でお話した通り、式神を呼び出すの練習をしんしょうか」


「確か霊道と扉を作って、自分の体液を鍵とするんですよね?」


龍脈とか色々あるらしいけど、そこは気にしなくて良いと言ってたしな。


「そうそう、ここは簡単なフラフープ(これ)で練習しんしょうか?」


「フラフープ」


「ですか?」


取りだしたのはフラフープ、とは言っても直径60cmくらいの小さいサイズだ。


「これに、紙垂しでを作って貼るんよ」


紙垂とは注連縄に付いているギザギザの紙でそれをつける事で、神域にする事が出来るとの事だ。


「と、いうことでまずはこいつを作りんしょうか」


「はい、実家でも作ってましたので、大丈夫です」


「えっ……」


たらりと冷汗が流れる、こういった絵をかいたり工作は滅法苦手なんだけど……。


「なんや、上凪さんは苦手なんでありんすか?」


「あー……はい、苦手です……」


「仕方ありんせんわねぇ、教えてあげるから覚えてなぁ」


「私も手伝いますね」


それからは四条さんと土御門さんに、懇切丁寧に教えられながらもなんとか作り終える事が出来た。


◇◆◇◆

「それじゃあ始めんしょうか、まずはこれでちょこっと血を取りんす」


小さい注射器を取りだす四条さん。


「大丈夫なんですかそれ……」


「あー大丈夫でありんすよぉ、色々あって看護師免許もってるんよ」


「そうなんですか……」


ササッと血を取られた俺達、その血を一滴垂らしてフラフープを構える。


「文言は必要ありんせん、ただ来いと考えておくんなんしな」


(ただ来いと考える……とは言ってもなぁ……)


与一との繋がりを探る、すると大きな魔力の流れを感じる。


(これが龍脈かな? ここの力を借りる様に……)


次第に龍脈から引き出された魔力が溜まり、輪の内側が鏡の様になる。


「お呼びしましたか主殿」


そこからにゅっと出て来た与一が答える。


「あぁ、式神を呼び出す訓練中なんだ」


「そうでしたか、私がここに居るという事は成功の様ですね」


自分事の様に喜んでくれる与一。


「ありがとう。というかそういうのがわかるんだな」


「えぇ、主殿との契約の際に、私は一度死んで神獣と化したので霊力等も今までよりわかるようになりました」


(ん? 今一度死んだとか言ったよね?)


「これは驚きんした、上凪殿は一度で成功とは……」


「流石、優希さんですね」


「流石、我が主」


驚く四条さんと、ドヤ顔の土御門さんと与一。


「それじゃあ次は、結菜ちゃんの番やね」


「わかりました、集中……」


フラフープを構え精神を統一している、次第に魔力が溜まり薄ぼんやりと曇りガラスの様になる。


「うぅ……はぁ!」


一瞬鏡面の様に光る、すると羽根が一枚ひらひらと落ちて来るだけだった。


「うぅ……失敗です……」


「そう気を落とさないで、一発で成功できる人なんて上凪さんだけでありんすから。私なんて、50回で初成功で、100回やって安定して呼び出せるようになりんしたから」


よしよしと頭を撫でながら言う四条さん、普通はそのくらいかかるのか……。


「ただ、結菜ちゃんは霊力の扱いが出来ているから、私よりも成功まで早いかもね」


「そうなんですか?」


「えぇ、霊力の扱いが上手いという事は、龍脈から力を引き出す事にも長けているという事でありんすから」


たっぷりなでなでを堪能している四条さん。


「だからか、大きな魔力感じたのは……」


「おや、龍脈に気付くなんて……流石でありんすわぁ」


呆気にとられた顔で言う四条さん、思い当たることがあったのか撫でられながら考え込む土御門さん。


「あれが龍脈なんですね……優希さんの魔力が強すぎて希薄に感じましたけど……」


「それは多分、龍脈から引き出した霊力と上凪さんの魔力が混じり合ったからでありんしょう。近しい力同士で混線してしまったと思われんす」


「成程……優希さんこっちに来て下さい」


なでなでから解放された土御門さんに手招きされる。


「これを咥えて、両腕で円を作ってみて下さい」


「えっ?」


予備の紙垂を咥えされ、両腕で円を作らされる


「それで、血を手に塗って……」


血を塗った手を俺の手に当て集中する。


「これは……面白い事を考えんすなぁ……」


(まさか……俺を扉に?)


身体に残る魔力に土御門さんの魔力が触れて来た。


「行けます……はぁ!!」


両腕の間が俺の時と同じ様に光り、烏が飛び出してくる。


「!?」


「これは……驚きんした……」


「できました!」


「マジか……」


思わず咥えていた紙垂を放してしまう。


「かぁ!」


「やっぱり、出来ました!」


信乃さんを撫でながら喜ぶ土御門さん、まさか俺と混在した龍脈の魔力から辿るとは……。


「面白い事を考えるわぁ、上凪さん私も良うござりんすか?」


すすす~っと寄って来る四条さん、面白そうなものを見つけた顔をしている。


「私も! 今の感覚を忘れない内にもう一度!」


やる気に満ちた土御門さんも寄って来る。


「ちょ……待って!?」


その後、女中さんが来るまで二人から追われるのだった。



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