第16話:魔法講義及び実践のプロセス
講義の為バケツを探す俺と耀、給湯室が入り口にあったので小さいがコップを持ってくる。
「少し小さいけどこれで代用できるかな?じゃあ次の説明に行こう」
「はーい先生!」
元気よく手を挙げる耀、最近この流れが気に入ってるのかよくやる流れだ。
「大変元気でよろしい、例えば同じ水でも『水』と『お湯』は違うよね?でもその二つは生活魔法の『ウォーター』で作れるんだ」
目の前のコップに無詠唱で『水』と『お湯』を発生させる
「へえー、それって使う魔力は同じなの?」
「厳密には違うけど大した差じゃないね、魔力は数値じゃ表せないんだけど、普通の水が⑤使うとしてお湯は⑥使うと思ってもらえばいいかな?使ってみればわかるよ」
「そうなんだ、って今呪文を唱えてなかったよね?」
「あぁ、無詠唱だね、それは実をいうと耀もできてるんだ」
「へぇー……ってほんと!?」
「うん、身体強化って基本皆無詠唱だもん」
「マジか…」
「うん、マジだよ」
「じゃあ私も!」
「はい待った!まだ終わってないよ」
「うっ…はーい」
「魔法を使いたくてうずうずしてるのはよくわかる、俺もそうだったもん、ただ次の内容を知るか知らないかで魔法の発動率や完成度が全く違うんだ」
「そうなんだ、じゃあその内容を!先生!」
「はいはい、じゃあ説明してくよ。」
気を取り直して説明に戻る。
・魔法の完成度を高めるにはイメージが重要になる。
例:イメージが大きい氷なら大きくなる、小さいイメージなら小さくなる、熱いお湯ならお湯が、冷たい水なら水が出る。
・魔法とは魔力を込めた詠唱(小節)の長さで威力が変わる傾向がある。
・無詠唱や短縮詠唱は込める魔力が基本は少ないので威力は弱めになる。
・当然の事だが、魔法が大きくなればなるほど魔力を込めなきゃいけないので魔力を使う。
・魔力⇒物質変換なので変換の物が多ければそれだけ魔力を使用する。
例:水のボールを出すか、水を垂れ流しにするかで魔力の使用量が変化する。
10で水のボール、5(水の精製)+1秒ごとに魔力を+1(追加生成)し続けるのが水を垂れ流しで使うイメージ
・魔力は基本数値で表せるものでは無いので、大体これぐらい使えるなーって感覚しかない。
その説明を終え立ち上がる、次は実践の時間だ。
「じゃあまずは、身体強化から始めよう」
「わかったわ、むむむ」
体内で小さくなっている耀の魔力が膨れ上がる、昨日練習したとは思えない位魔力の使い方が上手くなってる。
「すごいな耀、魔力の使い方が上手くなってる…」
「そうなの?昨日練習の最後の方でオンオフがしやすかったの」
「それだね、すごいよ!俺でも半年はかかったのに…」
どんどん魔力を高める耀、後は自身の魔力をうまく変換するだけだ。
「じゃあ耀、まずは水を出そうか、ホースから水が出る感じをイメージしてみて」
「むむむ………あっこんな感じかな?」
その瞬間内に向かっていた魔力が外向きに代わり耀の手からホースで出したぐらいの水がジャーっと出る、最初からここまで成功する人は中々居ない。
「ははっ…凄いなぁ…」
俺でも身体強化を覚えてから2週間はかかったのに、耀は才能が本当に素晴らしい。
「ちょちょ、優希!もうこれ止めていいの?なんか体からどんどん魔力が出てるんだけど!?」
「ああ、止めて大丈夫だよ。いやーすごいすごい」
「ふぅーーーーーー魔力出しっぱなしって疲れるね…」
「まあ最初は慣れてないしね、慣れてくるとやりやすくなるよ」
「なにこれ、すっごい疲れる…」
「体に向けて使ってるとどうしても調整しなくていいしね、今耀がやってたことは魔力の『調整』『変換』『指向性』だからね」
「そうなんだ……言われてみれば確かに『ホースくらいの量』の『水』で『ホースから出る様』にって思いながらやってたわ」
「そうそう、今ので複数の魔法の過程を操作してるんだ。向こうの世界じゃ無意識に子供でも出来てるんだけどね」
「凄いわね、向こうの子供達」
「そりゃ生まれた時から魔法に接してるもん、そうあるものとしか思ってないんだ、向こうの世界で説明しても殆ど理解されなかったよ…」
「やっぱ文化的な違いで、そうゆうのはあるのね…」
「そうだね、また行きたいよ」
「それって…浮気しに?」
「違うよ!?何言ってるの!?」
「えーでもなぁ…優希の初恋の子居るんでしょ?」
「流石に王女様だし、引く手数多だろうから結婚してるでしょ」
「そうかなぁ…案外出家?してそう」
「いきなり仏教的な…流石にイケメン騎士様といい感じだったし無いでしょ」
「そうかなぁ…」
「まあ、行く手段も無いけどね」
「案外強くなったら行けたりしてね」
「いやー無いでしょ」
それから軽く他愛ない話をして、お昼に姫華さんが呼びに来るまで練習に励むのだった。