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第10話:身体強化訓練・其之参

土御門さんをヒナギクさんに預け日本へ戻る、武道館に入ると皆がへばりながらも空き缶を潰していた。


「あ、優希さん。お帰りなさい」


「ただいま、少ししたら向こうに戻るけどね」


それに、情報も集めないといけないし。


「そういえばユフィさんが例の件OKだそうです」


「おっ、そうなの?」


「はい、ただその手の武器は作った事が無いそうなので、ノウハウのあるあちらの世界のが良いみたいです」


「そっかそっか、じゃあ後で送ってくよ」


「はい、それと今の所、皆さんの進捗ですが。身体強化が出来た人は3人無理やりやって痛めた人が3人、私をナンパしてきた人が2人居ます」


笑顔で答える巴ちゃん、少し怒ってるのか怖い。


「わかった、怪我した人の様子を見て来る。身体強化できた三人は別メニューに移ってもらおう。最後の二人は半殺しで吊るしとくか」


「いえ、既に私がボコボコにしちゃいました♪」


「え?」


笑顔で答える巴ちゃん、これはマジに怒ってる……怖い。


「まさかそれって……あそこで変な方向に関節が曲がってる人?」


「はい♪ そうです♪」


何したんだろう……巴ちゃんがあそこまで怒るなんて、普通はありえないんだけど……。


「それでは優希さん、わたくし少し花山院様に御用がありまして、少々席を外しても?」


「あぁ、大丈夫だよ。行ってらっしゃい」


「では失礼します」


ぺこりと頭を下げた巴ちゃんが足早に武道館を抜け出した。


「あのぉ……上凪さん……」


声をかけて来たのはポニテ少女の丹羽永にわながさんだ。


「あの二人はクラスメイトじゃ無いんですが、いきなり入って来て上凪さんの悪口を言いながら紡さんをナンパしてたんです」


「え? クラスメイトじゃ無いの?」


顔も半分くらい原形をとどめて無いから誰かわかんなかった。


「はい、ですのであの人たちはあそこで転がしておいても良いかと……」


「割とひどいこと言うね……治してあげて身元をしっかり吐かせるから、任せといて」


「あ、それと回復魔法お願いして良いですか?」


丹羽永さんの手を見ると関節部分が腫れていた。


「次からは、先に言ってくれ……」


俺は回復魔法をかけながらそういった。



◇◆◇◆

「それじゃー3人は次のステップだ」


「「「はい!」」」


「とは言っても、次は〝出力の調整〟だ」


「出力ですか?」


「うん、今は身体強化を使う為に全力を使っていたじゃん? でもそれだけだと、体力の少ない時にしか身体強化を使ってないから通常時での使用で肉体のキャパオーバーが発生しちゃうんだ」


「確かに、全力を出して使用の感覚を掴むためにへとへとになるんでしたね……」


剃り込み男子の大貫君が答える。


「そう、だから次はこれで出力を鍛えるんだ」


少し緊張感を出しつつ空間収納から出したのは、ピコピコハンマーとお鍋の蓋だ。


「「「えっ?」」」


「あはは! 予想通りだね」


皆がポカーンとしている、まぁ確かにそうなるのは予想済みだ。


「じゃあこれから三人には『叩いて被ってジャンケンポン』をしてもらいます」


「いやいや! 上凪さん遊びですよね?」


「そうですよ、訓練じゃないですよね?」


「いやいや、訓練だよ。最も異世界じゃ盾と木剣だったけどね」


思い出す、滅茶苦茶ボコボコにされて、エアリスにチクチク言われながら治療してもらったんだよなぁ……


「それって……危なく無いんですか?」


「んー危ないよ。だから危なくないものでやるんだ。それに、ちょっと身体強化して叩いてみて」


大貫君にピコピコハンマーを手渡す。


「はい……おりゃ!」


思い切り振られたピコピコハンマーそれをお鍋の蓋で防ぐとハンマーは壊れ、お鍋の蓋も曲がってしまった。


「「「えぇ!?」」」


「うーん、良い反応だねぇ~」


笑いながらその二つを『修復』する。


「今見てもらった通り、強くたたき過ぎると壊れちゃうんだ。そこで制約を設けるんだけどハンマーやお鍋の蓋を壊さないようにやるんだ」


「それって……凄く難しい様な……」


「そうだね、咄嗟の攻撃と、防御、でも使う武器や防具は壊さない様にする。だから〝出力の調整〟にもってこいなんだ」


「わかりました、頑張ります!!」


「そうそう、一応替えをたくさん用意していくから、なるべく壊さない様にね~」


空間収納アイテムボックスから大量に出しておいておく。


「さて、次は後方支援組方の様子を見に行くか」



◇◆◇◆

「みんなお待たせー」


「あっ、上凪さん!」


後方支援組の皆の所へ行くと何人か、魔力の流れが変わってる人が増えている。


「どうです? いままでより矢が深く刺さるようになりました!」


くりくりとした目の少女の青鞍あおくらさんが嬉々としながら声をかけて来た。


「おー凄い」


「はい! 上凪さんのお陰です!」


「それは良かった、それじゃ次は飛んだり跳ねたりしながら撃ってみようか?」


「はい? すみませんもう一度良いですか?」


信じられないと言った顔で俺を見て来る青鞍さん。


「だから、次は飛んだり跳ねたりしながら撃ってみようって事。味方と射線が被らない様にしないといけないし、数が多い敵とぶつかったら自分が逃げながら撃たないといけないじゃん?」


「た、確かに……でも、跳ねるのは?」


「それは、折角身体強化で動き回るんだから、空中でも撃てれば射撃位置が一つ増えるでしょ?」


「無茶苦茶ですね……」


「その内、青鞍さんにも俺より良い弓使いの人紹介するから頑張ってみて」


「はぁい……」


そう言って走りながら弓を撃ち始める青鞍さんを見送り、俺は頼まれ人の最後の1人の元へ向かう。


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