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第8話:身体強化訓練・其之弐

「はいじゃあ、皆そろそろ身体強化の練習に移ろうか~」


「「「「「は、はいぃ……」」」」」


模擬戦を終えへばってる皆を尻目に、買って来たジュースを置く。


「それじゃあ皆、ここから飲み物持って行っていいよー」


「良いんですか?」


「やったー!! 私、これ!」


次々に飲み物を持っていく、皆に行き渡った所で説明をする。


「それじゃー皆、飲んでいいから聞いて欲しいんだ」


皆の視線がこちらに向く。


「今渡したジュースの缶、その空き缶を今度は使うよー」


「空き缶をですか?」


後方支援組女の子が聞いてくる。


「うん、使われてるのはスチール缶だよね。それを指二本で潰してもらいます」


「「「「「へっ?」」」」」


固まる皆、目を見張ってこちらを見ている。


「だから、こんな風に指二本で潰してもらうんだ」


取りだしたスチール缶を親指と中指で縦方向でくにゃりと潰す。


「「「「「えぇ……」」」」」


「最初は横方向でやって良いからねー」


そう言うとほっとした顔をする皆。


「ただ、条件として指だけで潰す事、握り潰したら駄目だよ」


「そ、それは……厳しいですね……」


剃り込み男子、大貫君が言葉を漏らす。


「そうだね、でも最初は補助するし。全力でやってみていいよ、折れても治してあげられるからさ」


そして本番の訓練が始まった。


◇◆◇◆

「いやぁ、おおきに。皆の修練を見てくれはって」


初日の訓練終了後に巴ちゃんと花山院さんを伴ってダンジョンへ来ていた。


「あはは……華組の皆を鍛えるついでですね、今日教えた身体強化も起訴中の基礎ですから」


「ほんでも、彼らが困る事はあらへんどすなぁ?」


「そうですね、でも一つ問題があるんですよ」


「ふむ、いちびる事どすか?」


少し思案した花山院さんが答える。


「い、いちびる?」


「あぁ、調子に乗るって事ですね」


すかさず巴ちゃんが答えてくれる。


「ありがとう巴ちゃん。そうですね、今は慎重な戦いをしていると思うのですが技術や一気に強くなる方法を覚えると足元を掬われる事があるんですよね」


「優希はんもあってので?」


「はい、昔ですがえらく調子に乗って痛い目を見ましたよ」


「そうどすか、そらどないかしませな……」


「まぁそこは対策しておきますね」


まぁ大変だけど、あの人なら嬉々としてやってくれるでしょ。


「ほう、優希はんにはなんかしら秘策があるんどすか?」


「えぇ。もし遠足とかすることになったらどのくらい前に連絡すればいいですか?」


「それどしたら、1週間前にしとぉくれやすな」


「わかりました、じゃあ皆の様子を見てしようと思いますね」


「なんか楽しそうな事をするときは誘うとくれやっしゃ」


楽しそうに目を細める花山院さんだった。



◇◆◇◆

「という事で、今日も練習をしていきますが。皆さん体の調子がおかしい人とかは居ないですか?」


見回すと、みんな問題無さそうだ。


「それじゃあ昨日と同じ様に……模擬戦と言いたいけど。今日はランニングを行います」


「「「「「えぇ~」」」」」


「まぁまぁ、俺も少し用事があってね。1・2時間程席を外すよ、怪我をしない様にね」


「「「「「はぁい……」」」」」


「それと、西園寺さんと土御門さんは俺と一緒に着いて来て」


「「わかりました(わ)」」


二人共こちらに来る。


「それじゃあ巴ちゃん、何かあったら耀経由で連絡して」


「わかりました、お任せください」


「じゃあ二人とも、手を取って」


二人に手を差し出して握る。


「じゃあ行ってくる!」


そう言い残して俺達はリーベルンシュタインへ飛んだ。


◇◆◇◆

「えっと……ここは」


「どこ? 知らない……」


「あはは……ここは異世界、俺の奥さんの1人の出身国さ」


いつもの通り用意された私室に降り立つと、メイド長がやって来た。


「おかえりなさいませユウキ様」


「ただいまです、メイド長」


「メイドさんだ……」


「メイドさんですわね」


唖然としている二人、そこまで驚かなくても……。


「えっと、準備は出来てる?」


「はい、獣王様など『暇すぎてキリンになるぞ』とおっしゃってました」


「あはは……キリンって……」


この世界には居ないんだけどな……。


「それじゃあ行こうか二人共」


豪奢な調度品を興味深そうに眺めている二人を呼び闘技場へ向かう。


「おう優希! すげー待ったぞ!」


「言ったじゃないですか、これでも学生なんですから勉強があるって」


「あーそうだったな……忘れてたわ」


ぼりぼりと頭を掻くガリウスさん。


「それで、そのふたりのどっちだ?」


「えっと……こっちのって、西園寺さん? おーい」


「あ、あぁ。ゆ、上凪さんですか!? なにか凄い大きな二足歩行の獅子が……」


虚ろな目で言う西園寺さん、そこまで驚くのか……。


「いや、本物ですよ。それにこの人王様です」


「王っ様ぁ!? ほ、本当に?」


「獣人の国の王様ですよ、こんな姿なんで、そうはみえないけど……」


「おいおい、酷いなユウキ!」


そんなボロボロの服着て来るからでしょ……。


「この間あげた練習着はどうしたんですか?」


「おぉ!あのジャージとか言う奴な! アイツはもう逝っちまったよ……」


遠い目をする、ガリウスさん。


「えぇ……確かかなりの強度になるようにヒナギクさんと相談して作ったんだけどなぁ……」


「おう! だからヒナギクの嬢ちゃんに同じの20着ほど頼んだぜ!」


「そうですか……ま、まぁ西園寺さん、こんな人でも一応王様だから……」


「え、えぇ……わかりましたわ……それで上凪さんは、私にどうしろと?」


「えっと……この人、割と強いからスパーリングして貰えば良いと思ってね、それと格闘術を使っての魔物との戦いは俺よりガリウスさんのが上手だしね」


「そうなのですね……わかりましたわ……」


隣に来て居直る西園寺さん、そして綺麗なカーテシーをする。


わたくし、西園寺 心愛と申しますの、ガリウス様私に戦いの術をご教授下さい」


「おう、任せろ!! じゃあ付いてこい!」


「はい!」


二人は歩いて舞台の方へ向かって行った、回復術師さん達も居るし任せておいて大丈夫かな。


「凄かった……」


土御門さんが大きく息を吸った、どうやら気圧されていた様だ。


「あはは……豪快だけど良い人だよ」


「うん、わかる。私達の事、対等に扱ってくれた」


「そうだね、俺が初対面で会った時も対等に扱ってくれたからね」


その代わり、滅茶苦茶嬉々として仕掛けて来たけど……。


「それで、私はどうすればいいの?」


「土御門さんは、これから装備の方を変えようと思うんだ」


「装備?」


「うん、土御門さんは形代を扱うからそれを扱いやすくするのと。魔法と陰陽術のハイブリット戦闘術を覚えて貰おうと思ってね」


その内、賀茂さんにも覚えて貰いたいからね。


「わかった、優希さんにお任せする」


そう言って裾を摘まんできた。


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