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第1話:京都校に到着。

「おいでやす、皆はんよう来てくれはりました。京都校を代表して挨拶致します。私、花山院かざんいん邑子ゆうこです」


歳は俺(20代)とあまり変わらない、京都校の理事長である花山院かざんいん理事長に迎い入れられ理事長室へ入る。


「ありがとうございます、俺…私は上凪かみなぎ優希ゆうきです」


「私はつむぎともえです、花山院様はお久しぶりですね」


大きくお辞儀をすると、花山院さんが目を輝かせる。


「まぁまぁ! 覚えとってくれたのね! 小さい頃やったさかい、忘れとってもしゃあないなぁとは思うとったんどすけど嬉しおす」


巴ちゃんに抱き付き頭を撫でまわす花山院さん、その姿に巴ちゃんも嬉しそうに受け入れてる。


「もぎゅ……花山院ふぁまぁ!? むぎゅっ」


「あぁ~ほんまに可愛いわぁ~!!」


その微笑ましい姿に文字通り、後方腕組み彼氏になっていた。


◇◆◇◆

「……コホン、お見苦しい姿を見してまいすんまへんどした……」


巴ちゃんを堪能しきった花山院さんが我に返り恥ずかしそうに居直す。


「それにしても凄いですね……。中学生の頃、修学旅行で一度来ましたけどあの時は紅葉が綺麗な秋でしたので、今時期ですとだいぶ変わりますね……」


通されたのは醍醐寺の純浄観と呼ばれる所、中学生の頃に修学旅行で回った時以来だ。


「こないな畏れ多い所を客間に使うのんは気ぃ引けるんどすけど、山中にある醍醐山のダンジョンに一番近い所に学校を作るとなったらここが一番やったんどす」


「そうなんですね」


「失礼します」


巴ちゃんの声が聞こえ襖を開ける、花山院さんに撫で繰り回された巴ちゃんは身だしなみを整えて来たのだ。


「かんにんな巴ちゃん、巴ちゃんもすっかり乙女になったの忘れとったで」


「いえいえ、私も覚えていてもらって凄く嬉しかったですし、それに何だか懐かしい気持になれましたから」


そう言って笑う巴ちゃん、その顔は春華たちと居る時も見せない表情をしていた。


「巴ちゃん……ハッ、すんまへん。わざわざ来てもろうてるのに、優希はんを置き去りにしてもうて……」


「いえいえ、お二人の仲睦まじさが微笑ましいです」


そう笑うと、花山院さんが驚いた顔をしていた。


「優希はん……あんたえらいええ人どすなぁ……。巴ちゃんの旦那はんって言うさかい、もっと関白みたいな人か思てました。」


「そうなんです、優希さんは凄く良い人なのです! それでいて私の事すっごく大事にしてくれるんですよ!」


巴ちゃんが目をキラキラさせながら花山院さんに詰め寄る、その姿を見て彼女も目を丸くする。


「巴ちゃんにそこまで言わすとは……この後じっくりお話をしたいどすなぁ.....」


そう言うとスッと目が細められた。


「あはは……お手柔らかにお願いします……。それで本題なのですが、今回依頼にあったパーティというのは?」


「えぇ、その子達は陰陽師や呪術師といったジョブを持ってるんどす」


「陰陽師ってあの? 平安時代に居た安倍晴明とかの?」


「はい、それと現在もちゃんと陰陽師ちゅうものは存在してるんどす。まぁ表向きはおらへん事になってるんどすけどなぁ」


「そうなんですね。それで、俺にその陰陽師の子達を育成して欲しいという事ですか……」


でも陰陽師って何をするんだろう……調べた事無かったな……。


「はい、今は前衛の子ぉおるさかいその子ぉの頑張りで保ってますけど、それも限界で……」


「戦力増強を考えられたって事ですね」


「そうなんどす」


「わかりましたとりあえず、会ってみたいと思います」


「ありがとうございます、早い方がええ思うんどすけど。どういたしまひょか?」


「うーん、丁度明日から授業があると思うので、その放課後にでも会おうかと思うんですが……」


「それどしたら、一時的に転入ちゅう事にしまへんか? それで授業にも出てもらえたらあの子達の事もわかる思うさかい……どうでっしゃろか?」


(編入かぁ……そういえば、この学校。制服が特殊で可愛いんだよね……見たいな……)


「……………??」


「ちょいちょい、優希はん耳を貸しとぉくれやす」


キョトンとした巴ちゃんを見ながら悩んでると花山院さんが手招きをする。


「今やったら、ウチの制服人数分用意するしそのまま差し上げるけど……どうするのん?」


「良いんですか?」


「えぇ、うちも巴ちゃんの制服姿見とおすし」


と、俺と花山院さんの中で暗い取引が成立した。


「わかりました、短い間ですがよろしくお願いします!」


「おおきに、これであの子達にも光明差し込みます!」


ガッチリと固い握手を交わした俺達だった。



◇◆◇◆

「という訳で、巴ちゃんいってらっしゃい」


「ふぇぇ!? 優希さん!?」


「ほな巴ちゃん借るね、さあ行きまひょ!」


制服の採寸の為に連れていかれる巴ちゃん、俺は試着でほぼぴったしだったので裾を少し直すくらいだ。


「さて……それじゃあ俺も仕事しますか……」


花山院さんから受け取ったのは学園が改装された時に持ち込まれた文化財の一部を保管する場所の鍵である、曰くそこには陰陽師について、表では書かれていない事まで書いた書籍があるらしい。


「とは言っても、そこまで蔵書は多くないみたいだし何か切っ掛けになれば良いんだけどなぁ……」


そんな事を考えながら歩いていると、何やら紙が落ちていた。


「これって……えっ!?」


ふわりと浮き上がり、廊下の向こうに飛んで行ってしまった。


「あれって……漫画とかで見る形代かたしろだっけ?」


興味が湧いた俺は形代の飛んで行った方向へ足を進めるのだった。



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