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人気投票SS:【鈴香編】

「ふぅ……ありがとう優希さん、助かったわ」


雪と岩で囲まれた湯船に浸かりながら鈴香と寛ぐ。


「いやーびっくりしたよね……まさか吹雪と雪崩で集落の半分が埋まるなんて」


「軽く言ってるけど、優希さん居なかったらあそこにいた人達全滅だったからね?」


ジト目の鈴香に鋭く突っ込まれる、まぁそうなんだけど……全員何ともなく無事だったし。


「あはは……でもまぁまさかダンジョンの崩落で雪崩が起きるなんて思わなかったよね」


「そうですね、でも今回のダンジョン崩落ってどうして起きたのかしら?」


不思議そうにしている鈴香に、思い当たる節を言う。


「うーん……多分増えすぎたモンスターが原因じゃないかな?」


「モンスター?」


「うん。今回いっぱい居た、ミミズを凶悪にした感じの奴が居たじゃん」


「あぁ、あの人一人なら丸呑み出来そうな……」


「そうそう、あのモンスターはダンジョン喰いってモンスターでそいつが居るとダンジョンの壁とか食い荒らしてスカスカにしちゃうんだ」


本来は鉱山から変化したダンジョンとか、火山地帯のダンジョンとかそういった所に多く居るんだけどなぁ……。


「へぇ……じゃあそれが溢れて山を食い荒らしちゃったのね……」


「うん、でもまぁ人間は襲わないから危険度としてはかなり低いんだけど……」


「こっちの世界だと相当にまずいわよね? 建物が」


「うん、だから明日の天気次第だけど、討伐頑張ろう」


「そうね、じゃあ早く寝ましょうか」



◇◆◇◆

翌朝になり窓を開けると、そこは壁だった……。


「「わーお……」」


「これはまずいのでは?」


「そうね、私達の貸してもらった家が埋まってるという事は他の家も埋まってるわよね」


「そうだね、少なくとも平屋の家は不味いね……」


幸いこの家は2階建てなので2階へ向かう、外を見ると一面の銀世界だった。


「さて……どうしようか……」


「魔法で吹き飛ばしても良いけど……埋まってる家の部分がわからないわよね」


「そうだね、とりあえず地図で避難地域を調べてっと……」


鈴香が地図で埋まってる家々の場所を区切る、そこを水魔法で溶かしていく。


「大丈夫ですか~?」


「あ、あぁ……助かったよ」


「あらま~ありがとねぇ~」


鈴香が見に行くと、おじいちゃんとおばあちゃんが出て来た、周囲の雪がすっかり無くなった事にめを見開いて驚いている。


「それじゃあ、次に行きますからこれで! 優希さん!」


「了解! 次はどこ?」


「こっちです!」


それから、なんとか村民全員を救出し終える、全員いるので大丈夫だろう。


「よし、じゃあ山に向かうか」


「そうね、それにしてもこれ温かいわね」


試作型の魔道具インナーと洋服を着込み、雪山へ道を伸ばす、合間合間に雪崩れで潰れた家々を修理する。


「うん、ベルトのバックルにつけてある魔石から魔力を供給してるんだ」


「へぇ……これもユフィさんが?」


「バックル部分は金守夫妻の合作だよ」


「へぇ……凄いわね……」


話しながら進む、山へ辿り着くと風魔法で浮かび上がる。


「さて……鈴香、弓は使えるか?」


「少しだけなら、冬華ちゃん達に習ったけど……どうして?」


「今から呪文で、ここら辺一帯を順番に巻き上げるから、ダンジョン喰いを倒して欲しいんだ」


空間収納アイテムボックスからコンパウンドボウを取りだしながら伝える。


「でもどうして? 優希の風魔法で切り裂けるんじゃ?」


「そうなんだけど、こいつらの外皮って凄く硬いんだよ」


「え? 昨日見た時はミミズみたいだったのに?」


「うん、あれは食事中だったからね、食べてる時は柔らかいんだ。元々火山地帯にも居るせいか熱には強いし、冷たい雪なんかを浴びると普通より硬化して厄介なんだよね……」


「それ凄く厄介なんじゃ……」


「そうなんだよ……だから異世界でのアイツらに一番効く武器がノミとハンマーなんだ」


「凄く厄介ね……わかったわ、未熟だけど任せて」


呆れながら言う鈴香、俺も深いため息を口から出す。


「という訳で、害虫駆除を始めよう……」



◇◆◇◆

「ふぅ……気持ちいいわねぇ……」


「あぁ、気持ちいいなぁ……」


空は満点の星空、雪と岩で囲まれた温泉に浸かりながら鈴香と寛ぐ。


「まさか、温泉があるとはねぇ」


「あぁ、まさかダンジョンの階層一つが温泉になってるなんてな」


あの後数百体のダンジョン喰いを倒し終え、ダンジョンの周りを崩落しない様に固めると第三層の部分に温泉が湧いてるのを見つけたのだ。


「明日には綴さんや耀達に来てもらって探索をしないとな」


「そうね、それにしても、もうモンスターは出ないの?」


少し周りを気にしながら鈴香は言う、まぁ裸だし気になるよな。


「わかんないな、とりあえず防御魔法は張ってるし、今はこの温泉を楽しもうよ」


鈴香の腰を抱いて引き寄せる。


「……本当に能天気よね、優希って」


「そうかな? でもダンジョンで天然温泉なんてそうそう機会が無いでしょ?」


そう笑うと、鈴香も大きく息を吐く。


「そうね、細かい事を考えるのは諦めたわ……」


もたれ掛かって来る鈴香を受け止め夜空を眺めた。


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