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人気投票SS:【縫衣編】

ここだけ、話の時間軸が違います、7章から大体半年後の夏場です。

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「んぐっんぐっんぐっ……ぷはぁ!」


「あの……綴さん……飲み過ぎですよ?」


ナイトプールにてグラスビールを音を立てて飲む綴さん、今ので既に3杯目だ。


「い~んよ! お金は私持ちだし! 優希君も好きなお酒飲みなさい!」


そう言って飲みかけのビールを押し付けて来る。いや、俺車で来てるんだけど……。


「いや、駄目ですって……今日ここまで車で来てるんですから」


「いーや! 優希君も飲むのぉ~!!」


本当にこの人、この間副長官に就いたというけど大丈夫なのか?


「あによーその顔はぁ! わっしも上から下から挟まれて大変なんだぞー!?」


「そうなんですか……大変ですね……」


「それによぉ~皆さっさと稼いでる探索者と結婚シヤガッテ!!」


ドンッと机を叩く綴さん、周りの人がぎょっとした顔でこちらを見る。


「綴さん! 流石に机叩くのは駄目ですって!」


「………………」


ピタッと止まった綴さんがこちらをじっと見て来る。


「綴さん? どうしたんですか?」


「………………」


「綴さん? おーい?」


「………………、ぎぼちわるい……」


顔を青くした綴さんが口を押える、周りの人達が一斉に引く。


「ま、待ってください!! 今バケツだすので!!」


急いで空間収納アイテムボックスからバケツと、目隠しのタオルを出す。


「はい、これ持って! 上からタオルかけますね!」


直後、キラキラが解放された。



◇◆◇◆

それから諸々出し切った綴さんをプールサイドに寝かせ、ホテルの人に謝る。幸い大惨事になる前だったので向こうも笑って済ましてくれた。


「とりあえず、大丈夫ですか?」


「あうーごめんね……」


風魔法で空気を送りながら隣に座る。


「平気ですよ、それよりもがぶ飲みしたら駄目です、体壊しちゃいますから」


「うぅ……優しくしてくれるのは上凪家だけだよぉ……」


だから最近ウチに入り浸ってたのか……。


「それに、空きっ腹でしょ。何か食べれるもの見繕ってきますね」


立ち上がり野外キッチンへ向かう、幾つか注文すると番号札とすぐ食べれる物を渡してくれた。


「おまたせしました、起き上がれそうですか?」


「あーうん……なんとか……」


「はぁ……『回復ヒール』これで気持ち悪さも無くなるので食べましょう」


ノンアルコールカクテルと、サラダやシュラスコを置く。


「ありがとぉ~」


流石の有名ホテル、カクテルもつまみも美味しい。


「あ~美味しいぃ~」


綴さんも舌鼓を打ちながら美味しそうに食べている。


それから俺が2杯目のカクテルを受け取って戻ると、丁度頼んだ料理が届けられた。


「ん~これもおいしぃ!」


「ですね、ハンバーガーだから重いかなーと思ったんですけど」


「野菜も多めで、さっぱり食べれるわね」


二人でかぶりつきながら黙々と食べる、そして後半に差し掛かり食事も終えようという頃に綴さんの動きが止まる。


「……………………」


「綴さん? どうしました?」


まさかまた!? バケツ用意した方が!?


「………………やらかした……。」


「へ? 何をですか?」


「やらかしたぁ!」


残ったハンバーガー片手に頭を抱える、何をやらかしたんだろう……。


「ちなみに、何をやらかしたか、聞いても良いですか?」


「匂わせ……匂わせだよぉ!!」


「えぇ……」


スマホを出しながら悔しそうに言う。


「寿退社した奴等、みんなしてSNSで幸せそうな写真載せたり。美味しいそうな高級ディナーの写真を載せるのよ!私なんて毎日毎日残業ばかり!!私の夕食なんて青い鳥のSNSですらバズらないメシの写真しか無いわよ!!」


見せられた画面は、半額のお惣菜とカップ麺や半額弁当、稀にコンビニ弁当やファーストフードの写真。あっ、これは春華の料理だ、こうしてみると色合いも違うし見た瞬間美味しそうとわかる。


「大変なんですね……」


「うぅ……だから匂わせをしようと……」


仕方ない……手助けするか……。


「何か、映えそうなカクテル探しましょう」


「優希君……」


「さっさと我が家依存から脱してもらいたいですし!」


「酷お!? 酷いわよ!!」


「冗談です、行きますよ」



◇◆◇◆

それから、映えなトロピカルカクテルを並べて写真を撮ったり、ビーチベッドで動画を撮ったりしていた。


「おまたせしました、フロートを借りてきましたよ」


なんか雑誌とかで見る様な貝殻のフロートを見せる、若干引き攣ってるけど面倒なので乗せる。


「大丈夫!? これ大丈夫!? 二十ピー歳が乗っても大丈夫だよね!?」


「大丈夫! 今は映えだけを意識して!!」


何と戦ってるんだろう俺達……まぁ、何だかんだ言って綴さんは美人だしこれをSNSに乗せとけばバズるだろう。


そんな事を考えながら、終了の時間まで写真を撮りまくるのだった。



ちなみに写真は反応が無く、ウチの身内がいいねをしているだけだった。

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