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人気投票SS:【メアリー編①】

作者です。

去年書いた人気投票のSSです、まずはメアリーから!

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「いやー凄いなぁ」


「えぇ……凄いですネ……」


今俺達は紅葉が盛んになった温泉街に来ていた。


事の発端は。先日、駅前の商店街でやった福引でメアリーが特賞を当てたことに起因する。


「普段、メアリーには、お世話になってるから、二人で行きなよ」


という耀の鶴の一声で二人で行くことになった訳だ。


「とりあえず、宿に行くか」


「はイ、旦那様」


空間収納アイテムボックスのお陰で手ぶらなのもあり、腕を組みながら石段を上る。


「射的に、温泉まんじゅう、あっちにはお土産小物のお店もあるな」


「凄いですネ……」


人の多さもさることながら、狭い道の左右に様々なお店が乱立している所に目を奪われているメアリー。


「何か気になるのあった?」


「いっいエ、ただ凄いなぁト」


まぁまだ時間はあるし……少し遊んでも良いかな?


「ねぇ、メアリーあれやってみない?」


俺が指差したのは温泉街では定番の射的だ。


「射的ですカ……」


そう言ってメアリーが不敵に笑う。


「フッフッフ―私が普段、どの武器を使ってるか、わかってて言ってるんですカ?」


「まぁ、だからメアリーが楽しめると思ったんだけど……」


「うっ……そうゆうとコ、ずるいでス……」


ころころ変わる表情を楽しみながらお店へ入る。


「おじさん、射的二人分お願いします」


「おっ兄ちゃん、えらい別嬪さん連れてるじゃないの」


「えぇ、自慢の奥さんですよ」


「いいねぇ~俺も昔は……」


「あんた! 駄弁ってないで早く渡してあげな!!」


語り始めたおじさんの肩をバシバシと叩く奥さん、あはは……痛そう……


「はい、じゃあ可愛い彼女さんも楽しみな」


奥さんに5発分のコルク栓が入った皿を渡されるメアリー。


「それじゃあ、魔法は無しで、得点の高い方が勝ちで!」


「フフフ、この私に挑んだ事、後悔させてあげまス!」


そう言って構える、空気銃の音がしてコルクがあらぬ方向へ飛ぶ。


「!?!?」


驚いた顔でこちらを見るメアリーに不敵な笑みを返す。


「ふふふ……俺の術中に嵌まったな……」


「なン……だト……」


「コルク銃はコツがあるんだ!」


そう言って俺が撃ったコルク栓は、的を綺麗に倒す。


「おっ!兄ちゃん上手いな、3点だ!」


「ぐぬヌ……」


ちなみにこのお店の射的は点数式で最高3点、つまり全弾当てれば計15点が最高だ。


「次こそハ!」


そう言って撃ったメアリーのコルク栓は、先程とは逆方向へ飛んでいく。


「!?!?!?」


「ほいっと……」


そう言って俺の撃ったコルク栓はまたも綺麗に的を倒した。


「上手いなぁ……ほれ3点だ!」


「どうしテ……」


絶対の自信がある射撃で、2連続で外して落胆してるメアリーへアドバイスをする。


「コツがあるんだ、ちょっと貸してみて」


「はイ……」


メアリーの銃を借りてレバーを引いてからコルク栓を詰め込む、なるべく水平に入れつつ台で調整する。


「これでOK、じゃあ構えてみて」


そうして構えて撃ったメアリーのコルク栓は綺麗に3点の的を倒した。


「!!! 当たりましタ!!」


嬉しそうに振り向いて的を指差すメアリー、滅茶苦茶可愛い。


「それじゃあ俺も……」


綺麗に3点の的を射抜き、これで9点になる。


「後、6点だな……」


お目当ての景品はある体験のチケットだった。


それからメアリーの方も弾込めをしながら次々と倒し俺は満点の15点、メアリーは9点を叩き出した。


「いやー参った……まさか最高点が出るとは……ほら、持ってきな!」


「ありがとうございます!」


賞品のある体験のチケットを手に入れた俺と小さなご当地キャラのぬいぐるみを手に入れたメアリー。


「それじゃあそろそろ行こうか」


「はイ、でモ。さっきの景品は結局なんですカ?」


「それは明日のお楽しみだね、きっと気に入るだろうし」


「わかりましタ、楽しみにしてまス」


再度、腕を組みながら上まで登る俺達、宿はもう少しだ。


それから5分程で宿の入り口へ到着した。


「お待ちしておりました、上凪様……お荷物は……お届けでしょうか?」


宿の人に首を傾げられてしまった、そりゃそうだ宿泊なのに着替え一つも持ってないんだから。


「あぁ、すみません。荷物はここに入ってるので大丈夫です」


空間収納アイテムボックスからバッグの一部を見せ仕舞う、すると察してくれたようだ。


「失礼いたしました、それではご案内いたしますね」


頭を下げた後にっこりと笑顔で、カウンターから鍵と受け取りそのまま客室へ案内してくれる。


「それでは、上凪優希と上凪メアリー様ですね。お食事は何時頃お持ちいたしましょうか?」


「そうですね……メアリー、先に温泉に入る?」


部屋の中を物珍しそうに見てるメアリーへ声を掛ける。


「はっ、はイ……えっト、何でしょうカ?」


「先に温泉に入る? それとも夕食後にするかい?」


「えっト……それでは先に温泉に入りたいでス」


「かしこまりました、それでしたら19時頃にお持ちしてもよろしいでしょうか?」


「はい、ありがとうございます」


「かしこまりました、それでは浴衣・タオルはバスローブ等はこちらに入っておりますので、もし不足分があればフロントまでお申し付け下さい」


「わかりました、ご丁寧にありがとうございます」


「他に何かありましたらご相談いただけますと、お力になれるかと」


「ありがとうございます、そうだ! ここ等へんでライトアップされた紅葉が見れる場所はありますか?」


「それでしたら、当旅館から少し上った所に橋がありまして、夜間のライトアップもしておりましてとても綺麗です。それとお部屋でもそちらの照明を点けていただきますとお庭の紅葉が美しく映りますので」


「そうなんですね、ありがとうございます」


「では、失礼いたします。何かご用があればお手数ですが、フロントまでお声がけをお願いいたします」


「はい」


「わかりましタ」


俺達二人の反応にニコリと微笑み、女将さんは深々と頭を下げた後、部屋の外へ出て行った。


「さて……メアリーどうする? お風呂入る? 紅葉見に行く?」


「そうですネ、せっかくですシ、紅葉を見に行きましょうカ」


「了解、じゃあ行こうか」


「はイ」


靴を履いて腕を組む、鍵を空間収納アイテムボックスにしまい歩き出す。


「楽しみですネ!」


「そうだね」


それからフロントに一言告げ温泉街に戻る。


「えっと……地図を貰ったし、ここを上に行けばいいのか、それで」


「それデ?」


「山を迂回する」


「なんカ、遠くないですカ?」


「でもそこまで遠くないよ。反対まで行くんじゃなくて、3分の1くらい進めば良いみたい」


「そうなんですネ」


そんな事を話していると、紅葉スポットに行く迂回路への道案内が現れた。


でかでかと写真付きの看板が……


「ねぇ、優希さン」


「言うな……」


「流石ニ、朝昼晩の写真を看板にしたら駄目じゃないですカ?」


「きっと実物は、凄く綺麗なんだよ……」


「デ、デスヨネー」


メアリーの喋り方が完全にカタコトになった。

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