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第109話:二国間食事会①

「さて、今日はフィルレイシア王国領と魔族領との食事会に、皆様集まっていただきありがとうございます。これから共に歩む両国の友好を深めれればと思います、乾杯」


グラスを掲げると皆が声を合わせて乾杯と応える。


「ふぅ……緊張したぁ……」


「でも、音頭は上手くなってるじゃん」


「うーん、でも慣れないんだよなぁ……」


「ユウキ様、御立派でしたよ」


耀とエアリス、二人とグラスを打ち合わせて飲む、今回は昼食会なのでお酒ではなくノンアルコール飲料だ。


「失礼します」


メイドさんがカートに乗せて春華特製の料理を運んで来る、今回は両国の重鎮を集めた会食なので春華にお任せしてしまった。


「まずはこちらアミューズで夏野菜とコンソメジュレの一口パイサンドです」


出されたのは野菜をコンソメジュレをテリーヌ風に固めた料理をパイで挟んだ料理だ、口に運ぶとサクサクの食感と口の中で溶けるジュレからコンソメの味が口に広がる、少しの苦みはこちらの世界で流通してる夏野菜だ。


「ん~おいしいぃ~、冷たいジュレが口の中でとろけるぅ~」


「流石春華さんですね、こちらの世界の食材でもこんなに美味しく仕上げるなんて……」


両隣から満足そうな反応が伺える、一方この世界の人達は目を白黒させながら食べている、アミリアやリリアーナはもう慣れた感じだけどやっぱり未知の味なのかな?


「こ、これは……不思議な食感だ……」

「だが、美味しいな」

「どうやって作っているのでしょうか……」


ただ、不味そうに食べている人は居ない様だ、不思議な感じで首を傾げながら食べてはいるけど。


「ユウキ殿、こちらはとても美味しいな……魔族領の食材かね?」


アレウスさんが聞いてくる。


「いえ、これは市場で買ってきた野菜ですね、他の食材は俺の世界の物ですが」


「ほう、わが国領の物なのか……」


「失礼します。お次はアントレ、クリームチーズと魔鴨肉のロースト巻に魔薔薇の実を使ったソースでございます」


チーズを脂の乗った薄い魔鴨肉で巻いたものに薄紅色に輝くソースがかけられている。


「なんか、光るソースって珍しいわね……」


「ですね。でも、味は甘酸っぱさがあって良いですわね、チーズと合わせてある鴨肉の脂が気にならないですわね」


お弁当で使う様なカラフルな串に刺してあるチーズと鴨肉を食べる、うん脂身がとろけて美味しい。


「この料理をまとめてある串は何だ?」

「可愛らしいですね、これなら子供も喜びそうですね」

「このチーズ、かなり口当たりが滑らかだ……魔鴨の脂と合わせても負けない濃厚さだ」


同席している皆さんにも好評な様である。


「ユウキ殿、魔薔薇の実はかなり希少というか伝説級なのだが……どこで手に入れたんだい?」


ノクタールさんが不思議そうな顔をしている。


「えっと、この間魔王城で株分けしてもらったのを、こちらの庭園に植えたんですよ」


「株分けしたのも4~5日前だったと思うんだけど……」


「えぇ、春華が庭師の方に教わりつつ様子を見ていたのですが、どうやら実が生っていたようです」


「ふむ……ハルカ殿の魔力との親和性が高かったのかな? だが、文献に残っている実は非常に美味しくないと書いてあったんだけどね……」


「それは春華ですから、そこら辺の料理人には負けませんよ」


胸を張りながら答える、実際好みの料理を作ってくれるし、こうして来賓のある食事会でもとても喜ばれる食事を作ってくれる。


「そうか、ユウキ殿の家は幸せだな……」


「はい、幸せです!」


そう答えたタイミングで、メイドさんが入って来る。


「次はポタージュです、こちらはユウキ様の故郷の食材である伊勢海老の冷製ビスクです」


出された器には綺麗な朱華色はねずいろのスープに生クリームとパセリが散らされ、中央には炙った伊勢海老の身が添えられている。


「これは……凄く美味しそうな香りね……」


「スープの味も凄く濃厚ですっ……炙った海老のお肉を合わせると風味が一層際立ちますね……」


俺もスプーンでひと掬いして飲む、濃厚な海老の味がスッと広がり口の中を満たす。お次は炙った身と一緒に飲む、少し焦がしてある身からふわっと海老の香りが広がる。


「何だこれは……美味すぎる……」

「海老とは海街で食べた事がありますがこんなに濃厚ではありませんでした……」

「これは不味いですよ……中毒になる人が必ず出ます……」


両国の声が聞こえてくるけど、この世界じゃ海老なんてめったに食べれないもんなぁ……しかし中毒か、わかる気がする。


「優希様これは、凄いですわね……」


「そうね、こんな濃厚なスープ。シチュー以来だわ」


良い笑顔で言うアミリア、よくよく考えるとシチューもこの世界じゃだった。


「シチューは色んなものを煮込んでるからね、それにこのスープは小麦粉とかで粘り気を出して無いんだ。海老の殻とかを砕いて丸々煮詰めて作ったからこんなに濃厚なんだ」


事前に春華に教えて貰った内容をそらんじる、シチューに小麦粉を入れるのは昔母さんに教えて貰ってたからよく憶えている。


「そうなのですね……つまりこれを作るのにかなりの海老が必要なのですね……」


少し、肩を落とした顔で言うリリアーナ、どうやら気に入った様だ


「そうだね、今回使ってる海老は大きいから大体一人一匹で作れるみたいだけど、小さい海老だとかなりの量が必要になるね」


「うぅ……残念ですわね……」


「うん、いつの間にか無くなっちゃったし……」


皆、今までより圧倒的な速さで食べきっていた……俺もだけど。


作者です。


本日も読んでいただきありがとうございます!

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