第106話:勇者達の別れと優羽来訪
戦後処理の1週間が終わり、アレウスさんの両手も完治した。
邪神化されてしまった人たちは駄目だったが戦闘での死亡や邪神に襲われた人達の蘇生も完了した。
そして今日は勇者達が元の世界に帰る日だ。
「さて、俺達は行くよ、手合わせありがとうな」
「あぁ、こちらこそありがとうな」
「師匠! 師匠を見習い立派なハーレムを築きます!」
「あ、あぁ……頑張れ……」
「優希さん、助かりましたあなたのお陰で念願の風呂が作れました」
「あ、あぁ……携帯式お風呂で良いなら……」
「ひぐっ……みなしゃん! ありがとうございましたぁ!!」
ずびずび泣いているマリアンに俺達は苦笑いをする。
「あーあーこんなに泣いちゃって……仕方ない、ここからは僕が引き継ぐよ」
理映がマリアンの代わりに話を引き継ぐ。
「では、4人の勇者よご苦労様! これから皆は元の世界に戻るけど時間この世界で得た力はきっとみんなの役に立つからね! それじゃあ帰還術式を発動するよ!」
俺達の身体がふわりと浮く、以前に召喚された時とは違う感覚だ。
「それじゃあありがとう、猛・デヴィッド・カレブ!」
「おう! また機会があればな!」
「じゃあ師匠! 師匠を見習ってハーレム王になります!!」
「また今度、機会があれば温泉巡りでもしましょう!」
視界が真っ白になり俺達は元の世界に戻った……俺を除いて。
「なぁ……この演出って必要だったの?」
「あはは……一応儀式の形式を則ってるからね、地球側の空間を経由して戻って来てるしこれは保険みたいなものだしね」
新幹線の通過駅見てる感じだったぞ……。
「うぅ~み゛な゛さ゛ーん……」
「えっと……マリアン、元気出しな」
「うぅ……優希ざーん!!」
抱き付かれびちゃっとシャツが濡れる、これだけ水分出てるの凄いな……。
「とりあえず理映、このままだとマリアンの格好がつかないから別の場所に行こうか……」
「そうだね……」
転移して神様の空間に行く、それからしばらくの間マリアンが落ち着くまで待つのだった
◇◆◇◆◇◆◇◆
「さて……どうしようか……」
マリアンが落ち着いた後、俺は元の世界に戻り優羽と対面してた。
「…………」
(気まずい……優羽も学校に行き始めた頃だったタイミングだったから休ませない様にしてもらってたけど……)
「えっと……元気だった?」
「お父さん」
「はい!」
「ん!」
両手を広げて待っている、これは……。
「えっと……怒ってないの?」
「怒ってます、でもそれよりも……」
こちらを見ていた顔を赤くして目を伏せる。
「寂しかったの……」
「そっか……ごめんな」
おずおずと近づいて抱きしめ、背中を撫でる。
「うぅ……お父さぁん……」
暫くの間、優羽が落ち着くまで撫で続けた。
◇◆◇◆
そして翌日になり優羽二度目の異世界へ渡る日がやって来た。
「それじゃ優羽、良いかい?」
「は、はい……」
たっぷり一日、時間をかけて甘やかした後荷物をまとめる。
「それじゃあ手を繋いで……いくよ」
「はい!」
とまぁ、身体を硬くする優羽だけど、一瞬で転移するから気負ってる間に到着しちゃうんだけどね。
「はわぁ~」
到着したのは復興したフィルレシア城の中庭だ、日本に戻る1週間の間に花を促成栽培満たしたのだ。
「さあ、城内に入ろうか」
「はい……」
緊張してるのか手を強く握ってくる、それを握り返し城内へ進む。
「すごい……映画で見たみたい……」
「最近改修したからね、まだ汚れも少ないしピカピカだよ」
リーベルンシュタインとは違う構造のお城に目を輝かせる、お城が好きなのかな?
(いや、多分お城が有名なプリンセスが出て来るアニメ映画に必ず出て来るからだな……)
もし好きならば日本のお城にも行ってみるか……名古屋城とか姫路城とか……。
そんな事を考えていると皆が集合場所で使ってる部屋に到着した。
――コンコン。
ノックをすると中から扉が開く、出迎えてくれたのはメアリーだ。
「おかえりなさいませ旦那様・優羽ちゃン」
「ただいまメアリー」
「ただいまメアリーさん」
そのまま室内に導かれる、中では、政治的な場に出ているエアリスと巴ちゃんとアミリアとリリアーナを除いた皆が揃っていた。
次々に『おかえりなさい』と言われる、優羽も皆から可愛がられて目を白黒させている。
「おっ、パパさんおかえり」
「ママさんただいま」
空いていた耀の隣に座る、タイミングを見計らった様にシアがお茶を出してくる。
「こちらメアリーさんに習って淹れた紅茶です」
「ありがとうスティシア、皆とはどうだい?」
「はい、皆さん僕にも良くしてくれてますので、不自由はありません」
「いやぁーシアちゃんのお陰で私達も助かってるよー」
「そうですネ、こちらの世界の礼儀作法は全然ですので助かっておりまス」
耀とメアリーに褒められ、赤く縮こまるシア。
「確かに、シアの礼儀作法には助けられたよなぁ……両王国の作法を知ってたし」
やっぱり昔の事で潜入とかしてたからだろうか、凄く知識や礼法が豊富なのである。
「昔やっていた事でのオマケみたいなものですから……市政だと通じない事もありますが王宮等では古い作法が求められますので……」
照れながら言うシア。
「お、おとうさぁ……ん。おかあさぁ……ん」
もみくちゃにされ可愛がられた優羽がやって来る。
「つ、疲れましたぁ……」
「あはは……お疲れ」
「お疲れ~そしておかえり」
「はいぃ……疲れました……」
優羽を俺と耀の間に座らせる、応じてシアが紅茶を出してくれる。
「こちらどうぞ、ユワちゃん」
「あ、ありがとうございます……」
おずおずと紅茶を受け取り口を付ける、ほっと一息をつくとシアが目の前に来る。
「あっ、美味しい……」
「それは良かったです」
にっこりと笑うシアと落ち着いた優羽が目を合わせる。
「あっ、私は上凪優羽です」
「僕はスティシア、シアって呼んでくれると嬉しいな」
にっこりと笑うシア、それに応じてにっこりと笑う優羽。
そんな光景を眺めていると部屋がノックされた。
作者です。
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