第105話:夢じゃないよね……。
◇アミリアside◇
目を覚ますと知らない天井だった……。
「うぅ……ここは……」
確かバルダーンとの戦いで私は外に投げ出されて……。
「!?!?、!!!!!」
思い出した、ユウキにお姫様抱っこをされたんだった!
「——あの~」
「恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい~」
あの時の感情が揺り戻しの様に戻って来て顔を覆う。
「あの~」
「いや、でも私はユウキのお嫁さんだし! お嫁さんだし……」
「あの!」
「ひゃう!?」
誰? 誰、誰!?
顔を上げると白い髪の獣人の少女と目が合った。
「アミリアさん、大丈夫でしょうか?」
「あ、はい……大丈夫です……
綺麗な子……でもこんな子私の知り合いには居ないし……。
「もしかして、ユウキの仲間?」
「はい! ユウキ様のお嫁さんです!」
「………………は?」
えっと……見た目は少女だよね……多分クロコと同じくらい……。
「えっと……貴女って歳は?」
きっと長命種なんだよね! シアと同じで見た目より歳取ってるんだよね!胸もシアよりあるし!!
「えっと……13歳前後です……家族が死んでしまった時の事で少し記憶違いがあるのですが……」
うん、後でユウキをぶん殴ろう。
「そ、それでアミリアさんお飲み物等はいりますか?」
「そうね……って私まだ、貴女の名前も知らないわね……」
「あっ、すみません。私、ユキ・アストラ・カミナギですっ! ユキと呼んでいただけると嬉しいです!」
「私はアミリア・フィルレイシアよ。一応この国、フィルレイシア王国の王女をやらせてもらっているわ」
手を出して握手をする、そういえば私、どのくらい寝てたのだろう……。
「えっと……ユキちゃん。私どのくらい寝てた?」
あれからどうなったのか知りたくてしょうがない。
「そうですね……丸二日でしょうか。ユウキ様とヒカリ様の力で街が復興してから、私がアミリアさんお世話を任されて一日ですので……」
「二日……って街の復興ってもう終わったの?」
「はい! 半日程で終りました!」
「半日……」
つくづくやってる事が凄過ぎるわ……。
「それで、アミリアさんお水はお飲みになりますか?」
「えぇ、お願いするわ」
ユキちゃんが水差しから水を入れてくれる、受け取って飲むといつも飲んでいた味と違う水だった。
「あれ? 水の味が……」
「はい、王都のお水は全てが邪神の薬に侵されてたので優希様とエアリス様が浄化をしたんです、そうしたら水質?というものが良くなって美味しくなったそうです」
「そうなのね……」
思えば少し濁った苦みのある水だったな……と思って居るとユキちゃんが携帯電話とは違う黒い箱に声を発している、何を喋ってるんだろう……。
「はい、わかりました!」
黒い箱をしまうとこちらに寄って来るユキちゃん。
「ユウキ様にお聞きしたところ、もしアミリアさんが元気なら玉座の間へ来て欲しいとの事です!」
「そう、それじゃあ行こうかしら。私の服は……」
「はい! こちらに用意しいてあります!」
ユキちゃんが出してくれた服はいつかの優希が着ていた服に似ているものだった。
◇◆◇◆
着替えた後、玉座の間へ向かう。道中の城も戦いがあったとは思えないほどの綺麗さだ。
「そうだ、アミリアさんこれをどうぞ」
ユキちゃんが何か銀色のぶよぶよする物を渡してきた。
「これは?」
「はい、ユウキ様の世界でのご飯みたいなものらしいです。私はあまり食べませんがユフィ様は良く食べているのを見ます!」
「へぇ……ってユフィさんが誰かわからないけど、これはどうやって食べるの?」
まさかこのまま食べるのじゃないでしょうね? なんか硬いものついてるし。
「こう、蓋を開けてちゅ~っと吸うみたいですね」
可愛らしく口をすぼめている、私も同じように吸ってみる。
「んんっ!? 美味しい……」
「それは良かったです!」
あっという間に食べきってしまった……後でユウキに貰えないか聞いてみよう。
美味しさに浸っているといつの間にか玉座の間へ到着した。
「失礼します! アミリアさんを連れてきました!!」
ユキちゃんの言葉の後、彼女の手によって重い扉が開く。
「えっ……噓っ……」
開かれた扉の向こうには元気そうなお父様とお母様が居た。
「ほら、アミリアさん!」
ユキちゃんに手を引かれ中に入る、綺麗になった玉座の間でお父様とお母様、それといつの間にか魔王都からこちらにやって来たレナが微笑んでいる。
一歩一歩踏み出し近づく、ふらふらと皆の目の間に来たところでお母様に抱きしめられた。
「アミリア、大きくなったわね……」
「お母様……」
「すまない……苦労をかけたな……」
「お父様……」
視界が滲む、もう二度と見れなかったであろう現実に思いが溢れる。
「すまないな、私も抱きしめたいのだが今両腕を治療中でな……」
お父様が苦笑いをする、両手に巻かれた包帯からは邪神の気配が漂っている。
「大丈夫なんですか!?」
「あぁ、マリアン様とユウキ殿のお陰で数日もあれば快復するとの事だ」
「そうですか、良かったです……」
ほっとした私はレナを抱き寄せる。
「レナも、心配させてゴメンね」
「いえ! ラティティおねーさんとお勉強をしておりましたので!」
「そうだったのね、ラティティにもお礼を言わないと……ってあれ? ユウキは?」
「そういえば先程まで居たのだが……」
「いきなり呼び出されたのか……どこに行ったんでしょうね?」
――コンコン。
すると隣室に通じる通用口の方からノックの音が聞こえた。
「あぁ、アミリアもう着てたのか、早かったね」
部屋に入って来たユウキは何故かエプロンを着けていた。
「ユウキ……どうしたのその格好」
「あぁ、アミリアが起きたと聞いてね、春華と一緒に簡単に食べれる料理を作ってたんだ」
――ぐぅ~~~~~~~~~~。
料理と聞いて私のお腹が長い音を立てる、二日間寝てたので食べたのがあの飲み物みたいなものだけなのだ。
「っっっつ!?」
「あらあら」
「あはは、元気そうで良かった」
「そういえば、私お腹すきました!」
「そうだな、謁見等で昼食もまだだったな」
「はい、ですので皆の分も作ってあります」
「すまないなユウキ殿、謁見の手伝いから昼食まで……」
「いえいえ、謁見は慣れませんけど、裏方作業は好きですので」
笑いながらお父様達を案内するユウキ、扉の向こうに皆が消えた後に彼が振り向く。
「おかえり、アミリア」
そう笑う、彼の笑顔は一番輝いて見えた。
作者です。
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