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第102話:リリアーナと不敵な笑み

◇リリアーナside◇

「しかし! 数が多いです……ねっ!」


「えぇ……ですが、ここで時間を稼げば稼ぐほど皆さんが楽になりますからっ!!」


避難の人を送っている途中のクロコちゃんから聞いた戦況はとても綱渡りの様な状況だった。


(戦況は拮抗、避難の完了まで後1割……ここを通してしまえば一気に中央広場へ雪崩込まれてしまいますわ)


作戦前に見た地図では王都にある五本の大通りの内4本から敵が流れている状態だ、せき止めているここで減らさななければセレーネ達が敵に呑まれる事は間違いない。


「これだけ頑張ってるんですし、優希様が戻って来た時褒めていただかないとつり合いが取れないですわね!」


「そうですね、僕はデートが良いです!」


わたくしは、観劇と洒落込みたいですわねっ!」


敵を倒しながら私達は軽口を叩く、連戦続きで魔力も相当消費している。


「シア、あとどのくらい戦えそうですか?」


「いくらでも戦えますよ!」


「冗談は良いですわ、シアも連戦続きでしょう? 正直に言いなさい」


「ははは……正直すっからかんです、もうじき身体強化も解けるかと……」


「私も似たような状況ですわ……」


ぽろぽろと結晶化した血が剣から零れていく。


(どうしましょう……このままですと二人とも共倒れになるかもしれない……)


「リ、リリアーナ様! お待たせしました!」


「クロコ!」


「クロコちゃん? 終わったんですの?」


「はい! 中央の避難も後少しです!」


クロコちゃんが言う。


「そうですか……もう少し頑張れば良いのですね……」


「そろそろ限界でしたからね……」


「とりあえず! 一掃してしまいましょう!!


「はい! リリアーナ様!」


飛び出し二人で近くの敵を一掃する、戻って来るとシアが膝をつく。


「これで……」


「終わりですね……」


二人で一息をつく……事は出来なかった。


「グひヒヒひぴゅルルる!!!!」


「「「っつ!?」」」


《《私達の背後》》 中央市場側から邪神が現れた……。


「危ない!!」


――ガガガガガガガガガ!!!


咄嗟に影に落ちる、すんでの所で轟音を鳴らし地面が抉られていく。


『危なかった……です……』


『ありがとうクロコちゃん、助かりました』


『ありがとうクロコ、助かった』


瓦礫の混じった影の中から邪神を見る、今までよりも大きく一際醜悪で巨大な邪神だ。


『何て威力……』


『こんな無茶苦茶な……』


私達は唖然とする。


『リリアーナ様、シアおねーちゃんすみません……咄嗟の事で魔力使いすぎちゃいました……』


クロコちゃんの言葉で外に放り出される、四つん這いになったクロコちゃん、空間ごと引き込んだので魔力が切れてしまったのだろう。


「不味いわね……」


「不味いですね……」


撤退の要であるクロコちゃんの影転移、それが使えないとなると……。


「撤退ですわね……」


「シアはクロコちゃんを背負って、私は逃げ道を作るわ」


「わかりました、すみません……」


露払い(こういった)役目は私のがふさわしいのよ」


クロコちゃんの身体を括りつけるシア。


「クロコちゃん、どのくらいで三人分の転移は出来そう?」


「に、三十分ほど……です……ゲホッゲホッ……」


長いわね……。


「なら二人分は?」


「それならすぐにでも……」


「では、シアを連れて逃げて下さい……」


「リリアーナ様!?」


「でも……」


「良いから逃げなさい!」


普段ならば、身内に使う事の無い魅了の魔法によって言いなりにする。


「「リリアーナ様!?」」


自分の意思とは逆にシアを連れ転移するクロコちゃん、これで後顧の憂いは無い。


「はぁ……最後に優希様といちゃつきたかったなぁ……」


恋焦がれた彼の横顔を思い出し笑う。


気付くと目の前には醜悪で巨大な邪神が眼前に居た。


「ゲひヒヒぐぴゅルルる」


触手の様な舌が伸ばされる、


「惨めにけがされて死ぬなら!」


最後の魔力を出しきる、こんな事バレたら優希様に怒られるだろうな……。


「でも、怒ってもらえる事はもう無いわね……」


多くの敵を巻き添えにする為に精神を研ぎ澄ます、喰いつかれる瞬間まで発動はしない、今は残りの魔力を広げる!


「ブぴゅ――」


大口を開け喰いつこうとした刹那、目の前の敵が消失した。


吹き飛んだとか攻撃で倒されたとかではない、消失だ。


更に先程とは違う光景に口が開く。


「……羽根?」


「重力高圧縮魔法……通称『堕天使の羽根』」


目の前に光の羽根を纏った美しいエルフが居た。


「立って、リリアーナ」


「あ、貴女は……」


「ユフィリール、ユウキの嫁」


「でしたら、逃げて下さい。貴女に傷つかれたら優希様に会せる顔がありません」


「ん、大丈夫。ここには」


ユフィリールさんが指を鳴らすと沢山の宝石が降り注ぐ。


それが地面に落ちると弾け魔力が溢れ出し私と混じり合い、その輝きによって私の魔力を瞬く間に回復していく。


「勝ちに来ただけ」


不敵な笑みを彼女は浮かべた。


作者です。


本日も読んでいただきありがとうございます!

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