第93話:王都制圧戦①
◇リリアーナside◇
軍を率いて城下へ入る、街の至る所から悲鳴が上がっている。
「少し上空から全体を見てきます! セレーネ達は中央の広場へ!」
馬を預け飛び立つ、空から見た王都の中で広い庭が多い地域……貴族街の位置と外縁部に見える荒廃した地域……恐らくスラム方面だろうそちらの方で火の手が上がっている。
「場所が多い……戦力を分けるしか……」
進軍の様子も確認でき、今はセレーネとウルベリック卿が最前線で剣を振るっている。
そこに情報共有の為に降り立つと、とても惨い状況だった。
半分、又は一部だけ邪神に成り代わった姿で、人を喰らっている……。
「酷い……」
「魔王妃様! 状況はどうだった?」
「貴族街と、外縁部のスラム街、こちらでは火の手が上がっております。後はここの中央市場が主戦場になりそうです。ですが城下各所で邪神が発生してるので酷い状態です」
「そうか……ならば俺達がスラムは向かおう、あそこは広いし土地勘が必要だからな……兵の三分の一貰い受ける」
「わかりました、気をつけて下さい」
「ありがとう、俺も貴女方の無事を祈るよ!」
そう言ってウルベリック卿は馬を走らせて行った。
「リリアーナ様! どうだった?」
セレーネが前線から戻って来た
「ウルベリック卿はスラム街へ向かいました、セレーネはこの中央市場の防衛を頼みます、ここは各所への支脈を伸ばしてる重要な場所ですので耐久力のあるセレーネお任せしますわ」
「セレーネ様は、どちらへ?」
「もう一つの激戦区、貴族街ですわ……兵の半分を貰いますわね」
「わかった!」
セレーネに防衛を任せ私は兵の案内で貴族街へと進む、道中で現れる手遅れな人を倒しながら進む。
「ここは特に邪神化してる人が多いですわね……皆様注意して下さい!」
「「「「「はい!」」」」」
無人になった広場になっている庭の中で馬を降りる、馬番の兵士に笛を渡す。
「もし、襲撃されたら馬を放し、あなた方も逃げなさい。先程のセレーネさんの元に戻り退路の作成を頼みます」
「「「はい! 姫様!」」」
「残りのみなさんは私について敵を倒しながら進みましょう、戦う時は3人か5人で相対してください攻撃を防ぐ人、その間に攻撃をする人、必ず分けて戦ってください」
「「「「「はい!」」」」」
「負傷兵は無理をせず、撤退してください。命は無駄に捨てない様に!」
「「「「「はい!!」」」」」
「では行きましょう!」
広場になっている庭を出て進む、道中死肉を喰らって居たり襲って来る者を倒しながら進む。
使用人が殆どだが、豪奢な服を着た者も多く一目でわかる程だ、特に貴族の子女が多いので後味が悪くなる。
「自国の市民だけではなく、貴族まで……」
無事な家が無いか探しながら進む、すると一つの家で使用人が必死に戦っているのが見えた。
「皆様! 私はあちらを助けに行きます! 避難用の道を!」
飛び立ち一気に空から飛び込む、着地と同時に躁血魔法を使う。
「どきなさい!『鮮血装衣の剣舞!』」
回転しながら躁血魔法で伸ばした刃で相手を絶命させる、数が多いが斬れば斬る程血の刃が増えていく。
「数が多いですわね……ダンスの相手は1人で十分なのですが!」
ダンス種類はクイックステップ、演奏は戦靴で相手は無論優希様! 飛び出し、止まり、ステップ、ターンクイッククイックの動きで敵の合間を縫いながら進んでいく。
「悲鳴を奏でるのは私の趣味に合いませんので!!」
緩急をつけた動きで進み倒していく、やがて集まっていた敵は全て物言わぬ骸となった。
「ふぅ……久々のダンスは疲れますね……」
「姫様!」
丁度兵士の皆さんも到着したようですね。
「おまたせしました、助けにまいりましわ」
私は腰を抜かした使用人に私はカーテシーをした。
◇セレーネside◇
兵を連れて抜けて行ったリリアーナ様を見送って私達は中央市場を守る。
(ここは見晴らしも良いけど敵の数も多い、リリアーナ様達の退路を確保しなきゃ!)
「はい、皆! 私達はここの守りだよ! 壊れた屋台や荷車を防壁にしよう!」
「「「「「はい!! セレーネの姐さん!!」」」」」
「ね、姐さん!?」
『あははは! 面白いねぇ!』
「えぇ! ユウキの兄貴の嫁さんですよね? だから姐さんです!」
「兄貴は俺達の事も考えてくれたからな!」
「あの風呂は気持ち良かったなぁ……」
「こらお前達! ちゃんと材料を集めてこい! 聖騎士様と聖女様の退路を確保するんだ!!」
「「「「「おう!!」」」」」
「セレーネ様は自由に動いて下さい、ここは我々ダイバーン領の皆で守り切ってみます!」
「「「「「おう!!」」」」」
よく見たらこの間ユウキさんと街づくりの仕事していた皆さんだ。
「わかりました! 私もここで遊撃をします! バリケードは皆さんにお任せします!!」
「「「「「はい!! セレーネの姐さん!!」」」」」
「その恥ずかしい呼び方をやめてくださいぃ~」
『まぁ、諦めるしかなさそうよ、姐さん』
「そんなぁ~マーレルさんもですかぁ!?」
『来るよ、セレーネ!』
「あっとと! そうでした!!」
私はバリケードから飛び出て剣を呼び出すと、近づく敵を切り倒していく。
「ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい!!」
まだ人の部分が残ってるのを斬るのは気が引けるけどここを守るのが皆の為だから!!
「ここは! 絶対に通さないよ!!」
敵の集団に向けて突っ込みながら私は叫んだ。
作者です。
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