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第87話:本物の聖女だったんです。

「さて……じゃあ、説明しないと……」


皆に向き直りながら、クロコを呼ぶ。


「えっと、まずは受けた理由だけど……アミリアの戦闘力が高い事、それとクロコと一緒に俺が影で潜んでおくからかな?」


クロコの能力は潜入にうってつけだしね、防犯の魔道具でも良いし転移も出来るから問題は無いんだけど。


「それに、どうせぺらぺら喋るだろうし。クロコの能力でこれも使いたいしね」


拡声魔法の魔道具を取りだす、これで王都全体に声を届けちゃおうって作戦だ。


「なるほど……有効ですわね……」


「民衆に聞かせるのは有効だね、でも喋ってくれるかな?」


「まぁそこはアミリア次第かな? 上手く煽れれば興奮して喋りそうだけど……まぁ無理しないで良いよあの手は自爆しやすいし」


暗殺の事や、司教を罠にかけたとか聖女を殺そうとしたとか引っ掛ければすぐ喚くでしょ……。


「ですが、アミリア様の強さは見た事が無いのですが……」


ナタリアさんが不安そうな顔をする、まぁいくら強いと言っても心配だよな。


「そうですね……私の旦那様と戦わせましょう」


「うぇ!?」


あっけらかんと笑いながら言うナタリアさんと驚くウルベリックさん。


「アミリア、どうかな?」


「私は良いわよ?」


ニヤリと笑うアミリア、それに慌てるウルベリックさん。


「で、でも! 俺は自慢じゃないけどかなり強いよ?」


「大丈夫です、私これでもかなり強いので」


「ま、魔王様は奥方が傷つくのを見たくないですよね!?」


縋るような目を見て来るウルベリックさん、それに俺はにこやかに返す。


「まぁ傷つくのは見たくないですが、それよりも自主性を大事にしてますし。なにより腕の一本や二本はすぐ治せますので」


「そ、そんなぁ……」


ウルベリックさんの願いは砕かれたのだった。




◇◆◇◆

「じゃ、じゃあ本気で良いんだね?」


陣中の広場でアミリアとウルベリックさんが相対する、奇しくも二人の構えは似ている。


「お二方の構え、似てますね」


セレーネが俺と同じ感想を抱いてたのか声に出す。


「そうですね、旦那様の構えは旦那様のご先祖様が見た『剣の聖女様』の戦いや構えを見よう見真似から昇華させたものらしいですわ」


「それってアミリアの戦いを見て感化されたって事か」


「え?」


「あれ? さっき言ってたじゃないですか【剣の聖女】だって」


「それって……兵達への誤魔化しじゃ?」


「いやいや、本当ですよ。約2000年前にこの国の王都を奪還した戦い、その戦いで勝利を収めた本人ですね」


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


驚き過ぎたのかその場にへたり込む、説明したと思ったんだけどなぁ……。


「わ、私は救国の聖女様になんてことを……」


「ほ、ほら始まりますよ!」


動かなかった二人だが互いに踏み込む、一合二合と切り結ぶ。


「はぁ!」


「はっ!」


――ヒュンッ!――ガキンッ! ――ヒュヒュンッ!――ガキンッ!


重い音が響き互いに打ち合う剣によって火花が散る。


「やりますねぇ! 本気で打ち合うのは久々だ!」


「ありがとうございます、でも私も本気を出しちゃいますね!」


「え? ちょ!? 本気!?」


アミリアが身体強化を強める、溢れる魔力がオーラの様に立ち上る。


――ヒュンッ!――ガガン! ――ヒュンッ!――ガガガガン!


剣速が上がり防戦一方になるウルベリックさん、次第に防ぎきれなくなった斬撃で傷が出来始める。


「ちょ! 降参! 降~参っ~!!」


最後はアミリアが剣で剣を巻き上げ放る、それが地面に刺さったとこで勝敗が付いた。



◇◆◇◆

「それじゃあ、アミリア明日は頼んだ」


「えぇ、任せて」


修復したアミリアの剣を返す、するとナタリアさんが寄って来た。


「あの、アミリア様、先程は……」


どうやら挑戦的な事を言った失礼を謝りに行ったようだ、その間にウルベリックさんの剣とか諸々を修復する。


「凄いな、魔王様は……」


「あはは、それほどでもないですよ」


横目でチラッと見たけど、ナタリアさんはさっきからアミリアに謝りっぱなしだ、もうちょいかかりそうだな。


「どうでしたアミリアは?」


「いやー想定以上の強さだよ……最初は適当に流して終わりかなぁーとか思ってたんだけど……強すぎたよ……」


自信あったのになぁ……と呟くウルベリックさん、まぁアミリアは全力を出せばリリアーナとセレーネの二人がかりでも手に負えないからね。


(多分、戦闘センスなら春華といい勝負だと思うしなぁ……)


「まぁ、【聖剣の聖女】ですから」


「それ、本当なの? さっきも言ってたけど……」


「えぇ、本当ですよ」


ウルベリックさんに諸々の事を話す、すると段々と顔が引き攣っていく。


「俺は俺のご先祖様が憧れた相手と戦えたのか……ご先祖様に言わないとな『目指した存在は遥か高みに居るって』」


そう言ってウルベリックさんは笑った。


(まぁ、こっちに戻って来てからさらに強くなってたから目指した高さを超えた成長をアミリアがしてたんだけどね……)


「さて、ウルベリックさん。アミリアがそろそろ困惑しきっちゃってるので助けに行きましょう」


相当参っているようで、さっきからアミリアが俺をチラチラとみて助けを求めている。


「そうだね、そろそろ止めないと」


「ですね」


二人して苦笑いをしながらアミリアの元へ向かった。


作者です。


本日も読んでいただきありがとうございます!

もし良かったら☆やいいねをくれると嬉しいです!!

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